【ツアー報告】ヤンバルクイナの森とホエールウォッチング 2019年3月20日~22日
(写真:ザトウクジラ)
20日、11:00 那覇空港でお客様と合流。数日前から風が冷たく真冬のような気温になった。ひとまず急いでソリハシセイタカシギの華麗な姿をみなさんで観察、撮影する(最終日にもう一度来たが抜けていた)。さらに急いで北上し、ホエールウォッチング船の事務所で手続きを済ませて出航。港から出ると海は大荒れの中、船はクジラを探しながらぐいぐい進む。波を被りながら1時間以上探しながら進むがなかなかクジラの姿が見えない。毎年、12月~3月頃に沖縄本島近海には200頭以上のザトウクジラがやって来て出産・子育てや求婚をするのである。すると他の船から連絡が入り急いでポイントへ行くと、ブローから背中、さらに尾びれが見える。それから20分ほどで浮上と潜水を繰り返すが、ちょっと距離が遠い。今日はこんなものかな、と思っていると、船から7~8mでブローが上がり、こっちへ向かって泳いできて至近距離で背中が見えて船の前方を横切って行くので、みなさんの大歓声である。そして、「では、港へ帰ります」のアナウンスと共に船のすぐ後ろでブリーチングをする。それから十数回のブリーチングを繰り返すという大サービスでみなさん大満足のクルージングだったのである。帰港後は急いでやんばるへ向かう。ヤンバルクイナのポイントで待つと直ぐにヤンバルクイナが現れるが、観光客が散歩をしていて直ぐに藪に入ってしまう。そこで、ポイントを変えると餌を食べるヤンバルクイナが出て来てみなさんでじっくりと観察、撮影する。夕方、やんばるのホテルに到着。夕食はホエールウォッチングとヤンバルクイナで盛り上がる幸先のいいスタートなのだ。
21日、早朝、やんばるの森をゆっくり走る。この時期、イタジイなどの照葉樹が一斉に芽吹き、森はブロッコリーの山のようなのだ。ところが、この数日、気温14℃と沖縄の真冬に下がったため鳥たちの囀りどころか動きがまったくない。それでも、陽が昇り気温が上がるとヤンバルクイナがあちこちに出て来てじっくりと観察、撮影する。さらに、アカヒゲの綺麗な雄もじっくりと観察、撮影、内地の亜種より色の濃いリュウキュウキジバト、リュウキュウコゲラ、リュウキュウヒヨドリ、オキナワシジュウカラなどの沖縄の亜種も次々に出現する。一旦ホテルに戻り朝食。再出発後、奥へ行くと、北へ渡るサシバたちが溜まっていてあちこちにいる。やんばるの森の中の林道をゆっくり走る。道の脇でアカヒゲが鳴き合っていたので、暫く待つと、雄が出てきて朗々と囀る。やっとアカヒゲの姿をみなさんでじっくりと観察・撮影する。「沖縄そば」の昼食後はカモ類やサギ類などの水鳥を観察してから、再び、やんばるの森の中の林道をゆっくり走る。アカヒゲをはじめ、やんばるの鳥たちが次々に出現するが、ノグチゲラは鳴き声もしない。夕方にヤンバルクイナのポイントで待つが、今日も観光客が散歩をしていて警戒しているためのんびりとは出て来ない。
22日、早朝に森へ行くとノグチゲラの鳴き声やドラミングがする。ここには隣接する2ペアがいて、今年も繁殖しそうである。しかし、なかなか森から出て来ないのでちらちらとしか見えない。世界中でこの森にしか住んでいないヤンバルクイナ、ノグチゲラ、ホントウアカヒゲを勝手に「やんばる3点セット」と呼んでいるが、見るのが最も難しいのがノグチゲラなのである。一旦ホテルに戻り朝食。再出発後は再び森へ行き、全員ではないがノグチゲラを観察することが出来た。それから南下して水田でコチドリ、ヒバリシギ、タカブシギ、セイタカシギなどのシギ・チドリ類や夏羽のアマサギ、ツメナガセキレイなどをじっくりと観察、撮影。渡り途中のツバメが数百羽と入ってきて乱舞する。その後、さらに移動し、シギ・チドリ類やカモ類、クロサギの黒色型と白色型の営巣などをみなさんで観察、撮影する。そして、最後にコアオアシシギ、アカアシシギなどを観察して那覇空港へと向かったのである。
この時期限定の、ザトウクジラとヤンバルクイナのツアーでしたが、普段は滅多に見られないザトウクジラが何度もジャンプするという感動のおまけ付きでした。みなさま、お疲れ様でした。
宮島 仁