【ツアー報告】ベストシーズンの大洗航路と北海道の小鳥たち 2018年6月7日~10日

(写真:アカモズ 撮影:塚腰秀夫様)

茨城県大洗港と北海道苫小牧港を往復する海鳥観察ツアーはおかげさまで大好評をいただいており、この6月は海鳥たちの観察種数、観察個体数が多いことからベストシーズンとして企画しておりますが、本州がちょうど梅雨に入るこの時期は道内探鳥も楽しめる時期なのです。そのためこの2つをミックスした企画を3月に続いてこの6月にも企画してみることにしました。道内探鳥に関しては直前まで情報収集していたため、なかなかどのポイントをどう巡るか決めかねている部分もありましたが、ひとまず最近本州ではめっきり見かけなくなったアカモズを中心に探鳥することにしました。

7日、集合時間の22:30に全員のお客様のご集合が完了したため、資料の配布、トラベルイヤホンの配布及び取り扱い説明、そして翌日、翌々日の案内や探鳥予定などの説明などをしてから乗船を開始しました。

8日、この日は金華山沖から観察を始める予定でしたが海鳥が多い時期であることからやや早い時間から観察を開始しました。天候は曇りでデッキ上の気温は21℃。とにかく風が生温く、先週とは全く違った感じで驚きました。稀に見るベタ凪の中、遠くを見渡すとややもやがかかっていましたがオオミズナギドリの群れが飛び交い、カマイルカの姿も見ることができました。その後はクロアシアホウドリが点々と着水し、航路では珍しいアマツバメが飛んでいました。その後はオオミズナギドリの混じるハイイロミズナギドリが見られ、直後には着水しているトウゾクカモメが見られました。その後はコアホウドリが飛び、ハイイロミズナギドリに混じってアカアシミズナギドリが飛び、ベタ凪だったことから着水しているカンムリウミスズメの小群、ウトウが見られました。その後は着水している複数のコアホウドリが見られ、クロアシアホウドリがばしゃばしゃと水浴びをしていました。その後はやや風が出てくる中、オオミズナギドリの大群が採食行動し、夏羽のシロエリオオハムの姿がありました。その後は待望のオオトウゾクカモメが着水状態から舞い上がり、しばらくの間、船に沿うように飛翔してくれました。その後はやや風が冷たくなってくる中、漁船にまとわりつく大量のミズナギドリ類とアホウドリ類が見られ、再びオオトウゾクカモメの姿がありました。その後はイシイルカの群れが飛沫を上げながら移動し、この日最大と思われるミズナギドリ類とアホウドリ類、ウミネコなどの群れが着水から舞い上がり、その後はフルマカモメの姿が目立ってくる中、白色型のフルマカモメが飛んでいました。その後はハイイロヒレアシシギの小群が飛び、小雨が落ちてくる中、薄暗い海面を乱舞するフルマカモメの群れを見ながら観察を終了し、苫小牧港到着後は苫小牧市内のホテルに向いました。

9日、この日は朝食後に道内3箇所をめぐり、夜に苫小牧フェリーターミナルに到着する予定で出発しました。そもそもの天気予報はあまり芳しくなかったのですが、前日になって札幌周辺に晴れマークがつき、早朝はやや風がありましたが薄日が射していました。まずはホテルから僅かな場所にある森に向いました。駐車場付近では早速、ヒガラやセンダイムシクイが歌い、屋根の上ではハクセキレイがさえずっていました。林内に入るとキビタキやアオジのさえずりが聞こえ、愛想の良いシロハラゴジュウカラが間近にその姿を見せてくれました。また森の奥ではキバシリの声が響き、見ていると珍しく木にじっと止まってくれ、望遠鏡を使ってじっくりと観察することができました。また付近ではコサメビタキの姿も見ることができました。戻ってくる最中にはアカゲラが見られ、幸いにも巣立ったばかりのヒナを連れているシマエナガにも出会うことができました。なかなか姿を見せてくれませんでしたが、しばらくすると目線ほどの高さの枯れ木に止まってじっとしていてくれたため珍しく望遠鏡で観察することができました。その後は移動して本州ではほとんど見る機会がなくなってしまったアカモズを探しました。まずは駐車場で各自昼食をとっていただき、その後はアカモズがよく見られているポイントに向いました。少々霧雨が降ってくる中でしたが草原内ではノビタキやホオアカ、そして北海道らしくオオジュリンやノゴマの姿を楽しみながらアカモズの出現を待ちましたが残念ながらその姿はなく、一旦別の場所に移動して探すことにしました。ただここでもコムクドリ、ホオアカ、ノビタキが見られたのみで残念ながらアカモズに出会うことができませんでした。2時間ほど経ってしまったことからトイレ休憩を挟むことにしましたが、たまたまその間、周囲を見ているとどこからともなくアカモズがやってきて枯れ木に止まってくれました。そのため全員を呼んで観察開始となりました。この個体はどうやら道路脇にたまたまできた水溜りに水を飲みにきていたらしく、地面に降りたりロープに止まったりしながら次第に近づいてきてくれ、意外なほどじっくりと観察することができました。時間がかなり押してしまっていたことから最後に予定していた公園での探鳥時間が1時間ほどしかない状況になってしまいましたが、急いで現地に向かうことにしました。現地では遊歩道を歩いて行くと高い場所にじっとしているエゾフクロウのヒナの姿があり、モコモコとした可愛らしい姿を観察することができました。ただ長時間の観察は控えなくてはならないと判断して僅かな時間の観察で移動することにしました。戻る途中ではアカゲラ、そして舞台のような枝でしばらくの間さえずっているキビタキの姿を堪能することもできました。探鳥後は田中さんからご挨拶をいただき、その後は途中買い物をする時間をとってから苫小牧フェリーターミナルに向いました。

10日、この日は早朝から探鳥を開始しました。この日は早朝ということもあってかデッキ上の温度は10℃。やや風があり曇っているせいもあってか肌寒く感じました。まだまだ津軽半島の中央付近ということもありウミツバメ類に期待していましたが残念ながらその姿はなく、フルマカモメが飛び交っていました。その後はハシボソミズナギドリの群れに混じるアカアシミズナギドリが見られたほか、ウトウが飛翔しました。その後は4羽のクロアシアホウドリが着水から舞い上がって間近を飛び、06:00頃からは心配していたもやがかかってきましたが視界不良には至りませんでした。その後はハシボソミズナギドリ、ハイイロミズナギドリの大群に混じる10羽ほどのコアホウドリが一斉に舞い上がって乱舞状態になり、ミズナギドリ類を襲っているトウゾクカモメが見られました。その後はクロアシアホウドリとコアホウドリが連続して出現し、船の間近を飛翔したため見応えのあるシーンが見られ、着水していたと思われるアホウドリ亜成鳥が船体下から飛び立って、しばらく飛翔形を見せてくれたため嘴の鮮やかなピンク色を見ることができました。その後はオオトウゾクカモメがしばらくの間、船に沿うように飛翔してくれ、アカアシミズナギドリも見られ、その後はすっかりフルマカモメがいなくなり、オオミズナギドリの姿が見られるようになってきていました。その後はカマイルカの群れが船体に近づいて真上からその姿を見ることができ、今度はオオトウゾクカモメがオオミズナギドリを襲うシーンが見られました。その後は1000羽を超えるようなオオミズナギドリの大群とカマイルカが見られ、昼前からは霧雨が降りだしましたが、直後にはこの日最大の盛り上がりとなる30羽ほどのクロアシアホウドリと10羽ほどのコアホウドリが着水から一斉に舞い上がり、しばらく船体付近を乱舞する圧巻のシーンが見られました。その後は久しぶりにフルマカモメが飛び、その後は漁船にまとわりつくオオミズナギドリやウミネコの大群と、それに混じる10羽ほどのクロアシアホウドリが見られました。そして金華山沖を通過したのに合わせて観察を終了しました。

まず今回の航路探鳥は往路と復路での体感気温の差が大きく、さすがは北航路だなと思いました。考えてみれば茨城県から北海道までを移動しているわけで、しかも海の上であることを考えると納得させられました。北航路は1年中冬といった印象があるので装備がなかなか難しいのですが今回も改めてそれを感じました。海鳥に関してはさすがにベストシーズンだけのことはあってアホウドリ類3種、ミズナギドリ類5種が見られたほか、オオトウゾクカモメもよく見られました。道内探鳥は短時間ながら主役と考えていたアカモズに出会うことができたほか、北海道らしいシマエナガ、エゾフクロウ、ハシブトガラ、シロハラゴジュウカラ、ノゴマ、オオジュリンなどに出会うことができ、草原ではノビタキ、ホオアカ、ニュウナイスズメ、コムクドリ、林ではキビタキ、キバシリなど3日間の探鳥で計56種の野鳥たちを確認できました。長い船旅もありお疲れだったことと思います。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

クロアシアホウドリ(上)とコアホウドリ 撮影:森下英昭様

 

アホウドリ 撮影:塚腰秀夫様

 

コアホウドリ(上)とクロアシアホウドリ 撮影:森下英昭様

 

オオトウゾクカモメ 撮影:塚腰秀夫様

 

アカアシミズナギドリ 撮影:森下英昭様

 

クロアシアホウドリ 撮影:塚腰秀夫様

 

アホウドリ 撮影:森下英昭様

 

コアホウドリ 撮影:塚腰秀夫様

 

オオトウゾクカモメ 撮影:森下英昭様

 

アカアシミズナギドリ 撮影:塚腰秀夫様

 

カンムリウミスズメ 撮影:森下英昭様

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