【ツアー報告】冬の印旛沼 トモエガモの群れと湖畔の冬鳥たち 2023年1月18日
(写真:トモエガモ 撮影:島田真司様)
ここ数年、なぜかどんどん増え始めたトモエガモ。噂を聞きつけて昨冬に現地に行ってみてみましたが、それはそれは驚きの状況で、当然、これは一見の価値があると思いました。トモエガモの大群と言えばその昔、韓国に出向いて観察するツアーに同行したことがありましたが、川幅いっぱいに群れ、あたかも島のようになって川面の色が変わっていたことが強烈に印象に残っています。今回訪れる印旛沼はさすがにそこまでの規模ではないものの、数万羽単位のトモエガモが湖面に群れ、時折群れ飛ぶ様子が観察でできます。この冬も時間を見て2度ほど下見に行きましたが、印象としては昨年よりも群れが大きくなっているように感じました。今回はこのトモエガモの群れと湖畔に棲む小鳥たち、そして夕方は茨城県まで移動して猛禽類の塒入りを観察する新コースです。幸いにも天気予報は晴れで春のような穏やかな1日になるとの予報でした。
18日、天気予報は晴れながら曇り空の東京駅前を予定通り08:30よりもやや遅れて出発し、この日は千葉県に向けて走りました。移動中のバス車内ではいつものようにこの日に見られる可能性がある種の中から、特に目立った種に関して識別ポイントなどの解説を行いました。途中、サービスエリアで休憩をとっても2時間かからずに印旛沼に到着し、到着後は各自観察機材の準備を進めていただきました。堤防に上がると天気は回復傾向のようで、青空が広がり始めていました。トモエガモの群れがどこにいるかはもちろんその日その日で変わるため、事前にはわからないのですが、この日は残念ながら対岸に近い場所に群れていて期待外れの状況でした。望遠鏡で見ると群れの数はいつも通りといった感じでやや帯状に広がっているようでした。湖面を眺めるとヨシガモんも群れが見事で、ほかにもマガモ、ホシハジロ、ミコアイサ、カンムリカイツブリ、ハジロカイツブリの姿もありました。トモエガモの群れは遠く、これといって動きがなさそうなため、湖畔のヨシ原に目を向けるとオオジュリンが間近にやってきてヨシの茎をかじり、ホオジロ、アオジ、セッカ、そしてカワセミもやってきてくれました。堤防上を歩きながらも時々、トモエガモの群れに目をやっていましたが、なぜか突然、トモエガモの群れが連続して飛び始めました。慌ててみてみると群れは大きな塊のようになって飛び回り、一度は間近の湖面に降りるなどしてかなり活発な動きを見せてくれ、終わってみれば2時間ほどの間でかなりの群翔を楽しむことができました。その後はジョウビタキ、チュウヒ、ミサゴなどを見てから移動して別の堤防に行ってみました。ここではカモ類の姿は少なかったですがヨシガモの群れを間近に見ることができ、ディスプレイのような行動を見てから一旦、昼食にするため近くの公園に移動しました。昼食後は1時間ほど移動して茨城県に向かい、年末にはほとんど見られなかったシギ類をまずは探してみました。直前下見で見られていたツクシガモに出会うことはできませんでしたが、ハス田では30羽ほどで群れるタシギを見ることができ、その後はタゲリにも出会いました。ただここで芝生に降りているホシムクドリがいたのですが飛ばれてしまったことから電線に止まっているムクドリを見てみました。するとその中に混じる2羽のホシムクドリの姿がありました。その後はあわただしく別のハス田に移動しました。ここではタカブシギ、クサシギが見られ、ここ数日に見られているツメガナセキレイも探してみました。すると地面をせわしなく動き回るツメナガセキレイに出会うことができ、最終的には2個体を見ることができました。そして16:30前からは猛禽類が塒入りにやってくるヨシ原に移動しました。この日は晴れ無風ということで条件はそれほどよくなかったですが、チュウヒが続々と帰ってきて一時は同時に8羽のチュウヒが乱舞しました。そしてヨシ原から飛び出してきたハイイロチュウヒのメスが飛びまわり、そうこうしているうちに2羽のハイイロチュウヒのオスが我々の目の前を悠々と舞い始めて見事な姿を堪能することができました。そして日没から10分ほどが過ぎた17:00に探鳥を終了しました。
曇り空からのスタートとなりましたが、現地到着後はさわやかな晴れ、そして小春日和の中での探鳥となり幸いでした。主役のトモエガモはかなりの距離感でどうなることかと思いましたが、結果的にはかなりの規模での大乱舞を披露してくれ、その迫力に圧倒されっぱなしでした。湖畔ではジョウビタキやオオジュリン、カワセミ、ヨシガモ、ハジロカイツブリなどが見られ、午後からはタシギ、タカブシギ、クサシギ、タゲリ、そしてホシムクドリ、ツメナガセキレイに出会う幸運もあり、最後はハイイロチュウヒのオスの優雅な飛翔で終えることができました。この度はご参加いただきましてありがとうございました。またご一緒できましたら幸いです。
石田光史