【ツアー報告】フォトツアー夏の北海道 花と鳥のコラボレーションを撮る! 2018年7月12日~15日

(写真:ツメナガセキレイ 撮影:後藤淳様)

夏の北海道でのツアーはすでに複数回催行されていますが、その最後を飾るのがこのフォトツアーです。通常のツアーではできる限りさまざまな場所に立ち寄るようにし、さまざまな野鳥たちのさまざまなシーンが見られるように行程を組んでいますが、このフォトツアーは撮影することを主な目的としているため、ポイントを絞って長時間滞在できるようにしています。少人数にしているため、訪れるポイントも大型バスでは行けないような場所が含まれ、通常のツアーとはやや異なります。ただ今年の北海道はとにかく天候がおかしく、梅雨がないと言われているにも関わらず梅雨前線がかかったりと、過去に経験したことがないような状況になっています。今回も晴れマークと雨マークが交互にやってくるような予報の中での出発となりました。

12日、朝から蒸し暑い羽田空港にご集合いただき、資料配布、到着後の案内などをしてからご搭乗いただき現地を目指しました。飛行機は順調に進み、到着地は青空が見えているものの風は心地よく気温18℃でした。空港内で観察機材の準備をしていただいた後は原生花園に向かいました。到着後はネイチャーセンターでトイレに寄っていただいてから原生花園内の小道を進み撮影に取り掛かりました。周辺からはノゴマ、オオジュリン、シマセンニュウ、コヨシキリのさえずりが聞え、早速ソングポストと思われる葦で歌うオオジュリンを撮影しました。その後はハマナスやシシウドの上で歌うノゴマを撮影し、同じ場所に何度も何度もやってくるベニマシコのオスがいたことからしばらく待っていると、やはり同じ木にやってきてくれたためベニマシコも撮影することができました。そして帰り間際にはどこからともなくチゴハヤブサがやってきて遠くの杭に止まってくれました。この日は最後に別の場所にも立ち寄る予定でしたが、みなさんが撮影に集中されていたため終日現地で撮影しホテルに戻りました。

13日、夏の北海道は明るい時間が長いことから04:30に出発して原生花園にむかいました。この日の天気予報は北に行くほど悪くなるとのことだったので、少々悩みましたが早朝は見事な青空が広がっていました。到着後は原生花園内の小道を歩きながらツメナガセキレイを探したものの姿はなく、代わってハマナスや杭の上で複数のノゴマが歌っていました。またちょうど子育て中と思われるオオジュリンが間近を飛んでは周辺の草に止まってその姿を見せてくれました。小道を進むと賑やかにさえずるコヨシキリは全く逃げる様子がなく、シシウドの上ではシマセンニュウが独特の歌を披露してくれました。また遠くの木にはオジロワシが止まり、数頭のエゾシカが湖を渡ろうとしたのか?まるで泳いでいるかのように湖を渡り始めましたが最後は来た方向に戻っていきました。07:30頃には朝食のため一旦ホテルに戻り、その後は道北の天気予報が悪かったことから再び原生花園に行くことにしました。遠くからアオバトの声が聞える中、やはり主役はノゴマのようで、シシウドの上で警戒する様子もなく、しばらくの間間近に歌ってくれました。また相変わらずシマセンニュウやコヨシキリ、オオジュリンも愛想よく撮影させてくれました。その後は別の原生花園に向かい、ここでは主にベニマシコの姿を探してみました。駐車場付近ではシマセンニュウが歌う中、湿地帯までやってくると早速ベニマシコのオスが現れました。よく見ると水浴びをした後らしく、丁寧に羽繕いをしていました。またソングポストと思われる枯れ木に何度も止まってはさえずっていました。また周囲にはオオジュリンのソングポストもあり、間近にさえずってくれました。道北の天気が今ひとつという予報だったため予定よりも長めに現地で撮影を行いましたが、ツメナガセキレイの姿がなかったことから夕方の僅かな時間だけでも道北の原生花園で撮影をしようと考え、その後は一気に移動することにしました。途中からは雲が多くなり、時折霧雨が降り、濃霧も出てきましたが、到着した原生花園は雨の時間帯を過ぎたのか、路面は濡れていたものの見る見るうちに青空が広がってきていました。時間があまりないことから早速シマアオジがよく見られている場所に向かい、しばらく観察しているとソングポストと思われる低木にシマアオジのオスの姿がありました。やや距離がありましたが何とかその姿を見ることができ、付近では愛想の良いホオアカがコバイケイソウの上でさえずり、その姿を見ることが極めて稀であることが知られているエゾセンニュウの「ジョッピン、カケタカ」という独特の声が響いていました。

14日、この日は青空が見える中、04:30に出発して原生花園に向いました。早朝のこの時間帯は特にシマアオジの姿が見やすいことからポイントを絞って時間を使うことにしました。到着するとまずはマキノセンニュウの声がしたことから探してみると、低木の下のほうに止まっている姿がありました。まるで機械音のような、あるいは虫の声のようなさえずりは独特で耳に残りました。そして主役のシマアオジもやや距離はあったもののよく姿を見せてくれ、細い枯れ枝にオスとメスが並んで止まっているシーン、そしてエゾカンゾウの花に止まったシーンは特に印象的でした。今年はこの場所にすでに2度訪れていますが、シマアオジを同時に見たのは2個体が最大でした。ただ今回は同時に3個体見る機会があり、周辺では成鳥と思われる個体が他にも複数いた可能性が高いことから、最大で5個体程度のシマアオジがいたことが想定でき、予想外の数に少々驚き、また嬉しく思いました。そして周辺ではオオジシギのディスプレイフライトが連続して見られ、「ザザザザッ」という羽音と共に急降下、急上昇する姿も楽しむことができました。一旦朝食に戻った後も再度、原生花園に向いました。ただやはりツメナガセキレイの姿がなかったことから、少々ポイントを変えてみました。するとやや光線が悪い中ではありましたが2羽のツメナガセキレイの姿があり、葦や杭に止まったり、水辺に降りて昆虫を捕らえるシーンなどを撮影することができました。その後は別の原生花園に向いました。ただこの頃からは陽射しか強くなり、日焼けするほどの暑さになってきていました。当地ではコヨシキリやノビタキの姿がありましたが、残念ながらツメナガセキレイの姿はなく、その後は周辺にある池でヨシガモなどを見てからこの日の宿泊先に向いました。途中、時間があったことから原生林に立ち寄り、アカゲラ、カワガラスが見られ、ちょっとだけではありましたが原生林の雰囲気をお楽しみいただきました。ただこの頃には次第に雲がかかり出し、翌日の天気予報が悪いことが気がかりでした。

15日、この日は始発のロープウェイに乗車するためホテルを早朝に出発しましたが、すでに外は弱い雨が降っていました。薄暗い原生林の道をバスで走り30分ほどでロープウェイ駅に到着した頃には残念ながら雨足は強まってきていました。その後、チケットの準備が整ったため、予定通りロープウェイに乗車し現地に向いました。到着後は服装を再度整えてからギンザンマシコを観察するために展望台まで歩きました。雨は降り続いていましたがなんとか展望台に到着し周囲を見てみましたが、次第に風が強まってきてしまったため30分ほどで駅に戻りました。すると駅前にある残雪の上で餌を探すギンザンマシコの姿があったため皆さんを呼んで観察することにしました。ただ深い霧が視界を妨げ、また雨と風もあったためさすがに撮影とはいきませんでした。その後も風雨を避けるために駅の軒下付近から観察を続けましたが、驚いたことにギンザンマシコは何度もやってきてくれ、最後は4羽のギンザンマシコを同時に見ることができました。また周囲ではノゴマの姿が見られたり、カヤクグリやルリビタキのさえずりが聞こえたりと風雨の中でもたくましく生きる鳥たちの姿がありました。ただほぼ全ての時間、深い霧に阻まれたことから良い光線の中で撮影することはできず残念でした。この日は見る見る風が強まったことからロープウェイの運行状況が気がかりになる中ではありましたが、ほぼ予定通り下山することができ、その後は空港に向いました。

今年の夏の北海道はさまざまな場所に出かけましたが総じて天候が悪く悩まされました。特に道北の天候が悪く3度目にしてようやく青空を見ることができました。ただオホーツク海側の原生花園ではノゴマ、オオジュリン、シマセンニュウ、ベニマシコ、ノビタキ、コヨシキリといった歌い手たちがその姿を楽しませてくれ、道北の原生花園では距離はあったもののシマアオジ、ツメナガセキレイ、オオジシギ、マキノセンニュウが見られました。ただ反面、昨年は普通に見られていたツメナガセキレイが各所で見られなくなっており心配でした。またギンザンマシコの撮影が叶わなかったことも残念でした。ただ北海道は魅力的な場所です。ぜひまたの機会、足を運んでいただけましたら幸いです。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

ノゴマ 撮影:山口勝業様

 

シマアオジ 撮影:後藤淳様

 

ホオアカ 撮影:山口勝業様

 

オオジシギ 撮影:後藤淳様

 

コヨシキリ 撮影:山口勝業様

 

シマセンニュウ 撮影:後藤淳様

 

シマアオジ 撮影:山口勝業様

 

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