【ツアー報告】秋の渥美半島 田原湾と伊良湖タカの渡り 2018年10月3日~4日

(写真:サシバ 撮影:なー様)

毎年秋恒例のタカの渡り。まずは長野県白樺峠からスタートするのですが9月下旬から10月上旬にピークを迎えるのが今回訪れる愛知県の伊良湖岬です。白樺峠はその名の通り、山奥にある林道のピークから観察するため、観察ポイントに行くために山道を歩かなくてはなりませんが、この伊良湖岬は岬の先端に位置するホテルの屋上から観察するため、エレベーターで観察ポイントに行くことができます。屋上からの眺めは見事でかなり遠くを飛んでいるタカたちを視界に捉えることができます。ただ、タカの渡りが天候に左右されることは変わりはなく、そのため数日前から天気予報を見ていましたが3日には晴れマークがあったものの4日は雨。ただ天気予報が変わることが多いので出発後もずっと見ていましたが、残念ながら変わることはありませんでした。

3日、東京は少々雲がかかってはいましたが概ね天気予報通り晴れていました。ひとまず東京駅から新幹線に乗って豊橋駅を目指しました。途中、車窓からは青空が見えていました。このツアーは初日に豊橋駅から田原町周辺のポイントで探鳥しながらホテルに向かい、翌日は朝から夕方までホテルの屋上でタカ渡りを観察するスケジュールです。ただ4日はどうやら雨になることが濃厚になったため、急遽、予定を入れ替えることにし、この日は直接ホテルに向かうことにしました。ホテル到着後はロビーにて観察機材の準備を済ませてから早速屋上に向かいました。ちょうど13:00に屋上に上がると、澄み切った秋空を背景にすでに30羽ほどのサシバが舞っていて、旋回しながら上昇するタカ柱を何度となく見ることができ、その見事な光景に歓声が上がりました。13:15には伊良湖岬の主役であるチゴハヤブサが旋回しながら舞い上がり、13:20には海側からミサゴが飛んできて、眼下をノスリが飛翔しました。13:30には眼下からツバメの群れが湧き上がり、13:40にはチョウゲンボウが飛び、13:50にはノスリがホバリングしていました。13:55には距離はあったもののハチクマが飛び、14:00には眼下から10羽ほどのサシバが次々に湧き上がりました。14:15にも5羽ほどのサシバが渡り、14:30には30羽ほどのツバメと10羽ほどのアマツバメが乱舞しました。14:40には眼下の岩に2羽のミサゴが止まり、15:00には再び30羽ほどのツバメが乱舞し、ハヤブサの姿も見られました。15:05には再びチゴハヤブサが低く出現して神島方面へと飛び、15:15にはサシバがやや遠くを渡って行きました。15:20にはアマツバメが飛び、15:25には1羽のサシバが目線ほどの高さでどんどん接近してきて、我々を避けるように飛翔してこの日最大の盛り上がりとなり、16:00にはハクセキレイの小群が渡っていきました。この頃からはタカの渡りは止まってしまいましたが16:10には木の実にやってきたコサメビタキの姿があり、観察終了後には見事な夕景を見ることができました。

4日、早朝06:30にホテルの屋上に上がると幸い雨は降っておらず曇り。早朝の時間帯はタカの渡りというよりも小鳥類の渡りを期待していましたが、残念ながらこれといった動きは見られませんでした。ただ山の尾根をなぞるようにかなりの数のアマツバメが飛び、ノスリが風に乗ってホバリングを繰り返していました。その後、残念ながら09:00からは小雨が降り始めたため09:30にロビーにご集合いただき、バスにて探鳥に出ることにしました。昼食はホテルに戻って食べることになっていたため、まずは付近のポイントに向かいました。途中にある池ではコガモ、マガモ、カルガモといったカモ類、アオサギ、ダイサギ、コサギといったサギ類が群れ、その中にどこからやってきたのか、クルクル回るような独特の採食行動するアカエリヒレアシシギがいました。漁港に到着すると幸い雨は降っておらず、湖面に立っている杭の上には多数のウミネコが止まっていて、その中に数羽のオオアジサシが見られました。ただ距離が遠いことから望遠鏡で見ていただきました。周辺の草地ではホオジロが飛び交い、1羽のコサメビタキの姿もありました。帰り道では畑地の小道を歩くシロチドリの姿があり、観察しているとノコノコ歩くムナグロの姿もあり、よく見てみると畑地に伏せるように多数のシロチドリ、また夏羽の残るメダイチドリ、さらにはハマシギの姿もありました。昼食のため一旦12:00にホテルに戻った後は、やや明るくなってきたように感じる空を見ながら13:00に再度出発して別のポイントに向かいました。ここでは湾内でハシビロガモ、ヒドリガモ、ホシハジロなどのカモ類、さらにはカイツブリ、ハジロカイツブリ、またダイゼン、ハマシギの群れなどを見ることができ、帰り間際にはクロハラアジサシに出会うこともできました。次のポイントでは、堤防に佇むダイゼン、またテトラポットにはキョウジョシギの群れが見られました。さらに砂浜にはミユビシギ、ハマシギ、メダイチドリが群れ、相変わらず湖面の杭にはオオアジサシの姿がありました。付近にある漁港もオオアジサシのポイントのため立ち寄ってみましたが残念ながらウミネコのみ、そして最後に立ち寄った場所でも残念ながらオオアジサシの姿はありませんでした。ただ観察しているとどこからともなく魚を咥えたオオアジサシが飛んできて目の前の杭に止まろうとしました。ただ近くにいたウミネコが魚を奪おうかと襲い掛かり、オオアジサシは飛び去ってしまいました。ただなんとか飛翔する姿を間近に観察することができました。また周囲ではイソシギ、カワセミ、ホオジロなども見られ、終わってみればほとんど雨に打たれることがない中、探鳥を終了しました。

今年の伊良湖岬ツアーは直前に企画していた週末プランが台風直撃予報のため中止となるアクシデントがありましたが、このツアーは予定通り催行することができ幸いでした。ただ4日の天気予報が芳しくなかったことから当初の予定を逆にして、急遽3日の晴れ間を活用してタカの渡りを観察し、翌日に渥美半島を巡りました。結果、3日には見事なサシバのタカ柱を何度か見ることができ、ホテルの屋上という利点を活かして眼下を飛翔するタカを見ることもできました。また伊良湖岬の主役であるチゴハヤブサも見事な飛翔を見せてくれました。また翌日はそれほど雨は降らなかったもののタカの渡りが期待できない状況となる中、渥美半島各所を巡り、早くも渡ってきたカモ類をはじめ、サギ類、シギ類、そしてオオアジサシ、クロハラアジサシなどを見ることができました。予定通りに進まないツアーでしたがなんとか渥美半島の秋の渡りを楽しむことができました。ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。

石田光史

サシバ 撮影:なー様

 

ノスリ 撮影:なー様

 

オオアジサシ 撮影:なー様

 

ムナグロ 撮影:なー様

関連記事

ページ上部へ戻る