【ツアー報告】金門島バードウォッチング 2015年12月1日~12月4日

(写真:ダルマエナガ 撮影:井ノ口博司様)

海外に探鳥に出かけるというと、まず日本国内では見ることができない種を見に行くという印象を持たれることが多いでしょう。ただ、実際には海外探鳥にはいろいろな意味があり、日本国内でも見ることは可能であってもなかなか見る機会がない種を比較的容易に見ることができるという利点を活かしたツアーもあるのです。今回訪れる金門島はまさにその代表のような探鳥地で、日本国内で観察機会が少ない種を数多く観察することができるのです。また比較的撮影も容易なため人気があります。過去に何度か訪れたことはありますが、私にとっても久しぶりに訪れるため非常に楽しみでした。

  1日、集合時間前の07:15から全員の顔合わせ、出発にあったての注意事項をお伝えし09:25に出発しました。空港到着後は現地スタッフ、ゲストガイドの宮島仁さんと合流し出発となりました。最初の探鳥地は予定を変更して亜種ノドアカツグミが越冬するポイントに行きました。目的の鳥は別段警戒する様子もなく、カメラマンの前をうろうろしていたため簡単に見つけることができました。周辺ではツグミ、オウチュウ、シロガシラも観察することができ、ホッとしていると近くにソデグロヅルもいるとのことで近くの湿地帯に向いました。こちらもけっこうな人が集まっていて、目的の鳥は湿地帯の奥のほうでせっせと餌をとっていました。日本にも稀に飛来しますが、この個体は純白で嘴、顔、足の赤色も鮮やかな個体でした。周辺ではリュウキュウツバメ、コガモ、アオサギ、コサギなども見られその後は台北市内に向かいました。探鳥を開始するといきなり間近でゴシキドリが木の実を食べていたため時間を使って観察しました。緑色のずんぐりした体形に鮮やかな模様があり、よく見るとなかなか愛嬌ある顔をしている鳥です。周辺にはシキチョウ、タイワンオナガの姿もあり、比較的近い距離で観察できたことから撮影も楽しまれているようでした。ここでは我々の姿を見た地元の方々がさまざまな鳥情報を教えてくれ、ある方からヤマムスメを見たという話があり探していると、オナガに似たヤマムスメの声と共に数羽が飛来しました。街中の公園でこの鳥が見られるとは珍しく大変驚きましたが、長い尾羽をヒラヒラさせながら飛翔する姿は感動的でした。

  2日、まだまだ暗いうちにホテルを出発して台北市内で探鳥し、まずは巣箱から顔を出しているゴシキドリが見られ、周辺では相変わらずタイワンオナガが飛び交っていました。薄暗い時間帯だったことから薄明薄暮性のズグロミゾゴイ探しにはうってつけだったこともあり、間近に採食する姿を観察することができました。その動きはスローモーションを見ているようで独特でしたが、見事に好物のミミズを捕えたようでした。その後は再びヤマムスメがやってきてその美しい姿を見せてくれたほか、ジョウビタキ、メボソムシクイの姿を見て帰ろうかと思ったその時、地元の方からダルマエナガがいるとのことで行ってみると、驚いたことに草の中で動きまわるダルマエナガの姿がありました。どうやら3羽いるようでその姿を観察するラッキーな時間を過ごすことができました。予定をややオーバーしてホテルに戻り朝食、その後は空港に向いました。チェックイン前に台北での鳥あわせを行い、いよいよ金門島に到着しました。台北は曇っていましたが金門島は汗ばむような陽気で、まずは昼食をとりその後、探鳥に出かけました。市内ではギンムクドリとハッカチョウの大群、ヤツガシラ、シキチョウ、シロハラクイナ、コイカル、クロウタドリ、アオショウビンなどを観察し、公園では3羽のヤツガシラが芝生で採食し、マミジロタヒバリ、タカサゴモズ、海浜公園ではクビワガラス、アオショウビン、ダイシャクシギ、チュウシャクシギ、アカアシシギ、ムナグロを観察して湖沼にやってきました。ここでは水際に群れるシロチドリ、メダイチドリ、ハマシギ、ミユビシギ、遠くの砂州にはミヤコドリとオニアジサシが群れていましたが、湖上空をオニアジサシが飛翔していたことからじっくりとその姿を観察することができました。しかしここでナベコウ確認の情報があったことから急遽出発して現地に向いましました。まずはバス車内から湖面を見てみると3羽のナベコウの姿があり、うち2羽は成鳥のようで真っ赤な嘴が見えました。その後はゆっくりとバスから降りて探鳥することができ思わぬ出会いに満足して17:10に出発して有名な包丁工場を見学して終了しました。

  3日、06:30から朝食予定でしたが、06:00に起きて外を見ると強風が吹き、雨も降っているようでした。06:30に朝食をとり07:30に出発。昨日とは打って変わって肌寒い状況でした。この日はこのツアー最大の目的であるヤマショウビンを狙って出発しました。途中の畑地ではカタグロトビ、ベニバト、到着するとアオショウビンの姿がありました。早速周囲を観察すると目的のヤマショウビンの姿があり、思いのほかあっさりと観察することができました。ただ警戒心が強い個体でなかなか近い距離で見ることはできませんでした。市内の河川ではホバリングするヒメヤマセミを観察し、海岸でアオアシシギ、アカアシシギ、ダイゼン、ダイシャクシギ、カササギ、アオショウビンなどを観察し、その後は畑地でベニバトの群れ、カタグロトビ、タカサゴモズ、シキチョウなどを観察して、非常に珍しい黒色型のタカサゴモズをじっくり観察することができました。その後は一旦昼食をとり林道では群れるインドクジャクを車窓から観察し、市内の湖沼ではアカガシラサギ、ヒメヤマセミ、クビワムクドリを観察して郊外の公園に移動しました。ここでは散策しながらエンビタイヨウチョウ、キマユムシクイ、ムジセッカ、クロウタドリ、アオジ、ビンズイなどが見られ、その後は一気に走り海岸付近の水田でアオアシシギ、セイタカシギ、タシギ、ツメナガセキレイ、ダイゼン、キョウジョシギ、オオソリハシシギを観察して終了しました。

  4日、探鳥時間を確保するため06:15から朝食、07:15に出発してまずは潮位の良い海岸でまずはオニアジサシ、アオショウビン、ダイシャクシギ、チュウシャクシギを観察し、その後は再度ヤマショウビン観察に向いました。この日もあっさりとヤマショウビンの姿を観察することができ、特に飛翔している姿はブルーが鮮やかで印象的でした。ほかにもアオショウビン、ベニバト、ハッカチョウ、クサシギ、アオアシシギが見られ、再びナベコウを観察しに行きました。途中の畑地ではタゲリ、コチドリ、ヒバリ、ノビタキ、マミジロタヒバリを観察することができ、ナベコウは前回よりもかなり遠い入江に3羽確認でき、ほかにもカササギ、ミサゴを観察して終了と思われたその時、黒い大きな鳥が湖畔に出てきました。これがオオバンケンで一気に大騒ぎになり、見事に最後に花を添えてくれたのでした。その後は一旦昼食とし、出発時にはアマツバメ、イソヒヨドリを追加することができました。そして最後は公園にてエンビタイヨウチョウを見てから荷物整理を行い金門島空港に向かいました。

  今回は到着した日にいきなりノドアカツグミ、ソデグロヅル、台北市内ではゴシキドリのほか、ヤマムスメ、そして驚きのダルマエナガとの出会いがあり、金門島ではほぼ予定通りにヤツガシラ、クロウタドリ、タカサゴモズ、ベニバト、ギンムクドリ、カタグロトビ、オニアジサシ、マミジロタヒバリ、アオショウビンといった日本の珍鳥を続々観察することができ、主役のヤマショウビン、ナベコウにも出会うことができ充実した4日間を過ごすことができました。現地ガイドさんと現地でバードウォッチングをされているドライバーさんのコンビはまさに最強でした。皆様、大変お疲れさまでした。

 石田光史

ゴシキドリ 撮影:井ノ口博司様

ゴシキドリ 撮影:井ノ口博司様

 

ベニバト 撮影:井ノ口博司様

ベニバト 撮影:井ノ口博司様

 

オニアジサシ 撮影:梅田民子様

オニアジサシ 撮影:梅田民子様

 

ヤツガシラ 撮影:梅田民子様

ヤツガシラ 撮影:梅田民子様

 

ナベコウ 撮影:梅田民子様

ナベコウ 撮影:梅田民子様

 

ヤマムスメ 撮影:日下部英昭様

ヤマムスメ 撮影:日下部英昭様

 

ノドアカツグミ 撮影:日下部英昭様

ノドアカツグミ 撮影:日下部英昭様

 

ズグロミゾゴイ 撮影:日下部英昭様

ズグロミゾゴイ 撮影:日下部英昭様

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