【ツアー報告】カンムリワシの島 石垣島と西表島 2019年3月24日~27日
(写真:カンムリワシ 撮影:須崎明男様)
3月24日、14:45に石垣空港に全員集合。この数日、冬に戻ったような気温だが、内地から比べると暖かい。まずは5年前から石垣島に渡来し、その後、数回繁殖に成功しているカタグロトビ探すが見当たらない。そこで専用バスに乗って最近営巣した場所へ行くが、ここにもいない。いつも地元で鳥を見て最新情報を教えてくれる方とお会いして情報をお聞きする。そこで、幼鳥の餌場へと行くが、ここでも見られず再び最初の場所に戻って探す。ぱぱっとカタグロトビを見て次の鳥を探しに行きたいのだがそうそう思い通りにいかないのだ。しかし、体色の濃いリュウキュウキジバトやさらに色の濃いイシガキヒヨドリ、体の小さいオサハシブトガラス、さらにシマアカモズ、シロガシラなどを観察しながら探し廻ると、サトウキビを収穫している畑がありムラサキサギの成鳥4羽、幼鳥1羽が採餌している。なかなか見られない採餌シーンをみなさんでじっくりと観察、撮影する。ムラサキサギ、スグロゾゴイ、カンムリワシを八重山3点セットと呼んでいるが、最近はカタグロトビも加わり4点セットになっていて、最も見るのに手間取るのがこのムラサキサギなのだ。再びカタグロトビを探すが見付からないので明日に期待してズグロミゾゴイを探しに行く。すると頭上を飛来し道路に降りるが、全員でじっくりと見る間もなく藪に入ってしまったのである。その後、周辺を探すが時間切れとなりホテルにチェックインとなる。気分的にはどうにも中途半端であったが、ムラサキサギを堪能できたのでよしとする一日なのである。
3月25日、早朝公園に行くとハクセキレイの亜種であるハクセキレイ、ホオジロハクセキレイ、シベリアハクセキレイ、タイワンハクセキレイの4亜種が一緒にいて、さらにアカモズの亜種シマアカモズやツメナガセキレイなどもいてみなさんでじっくりと観察、撮影する。朝食後にサトウキビ畑の中の沈砂池へ行くと10数羽のシマアジの中に綺麗な雄の繁殖羽が6羽いる。私的には、それよりも沖縄では殆ど見られないホシハジロの方が珍しいのだが、当然ながら内地から来られたお客様のウケは今一つなので、じっくりとシマアジを堪能する。その後、再びカタグロトビを探すが見付けられずに水田などへ行き、シギ・チドリ類、クロサギ、ミサゴなどを観察、撮影する。別の水田へ行くとカンムリワシの2~3歳の若鳥が飛び立ち、杭にとまったのでじっくりと観察、さらにちょっと遠いが成鳥もとまっていて、こちらもみなさんで観察、撮影する。この日のお昼は八重山そば。すると、石垣島の情報を教えてくれる方からお電話があり、急遽移動、すると、カタグロトビのペアが別の場所で交尾や巣材運びなどをしていてやっと観察、撮影する。ただその直後バケツをひっくり返したような土砂降りとなり、まったく止む気配がない。水田へ行くが前も見えない状況なので、早めに離島桟橋へ行く。16:10にフェリーに乗り、17:05に西表島の大原港に到着。それからバスでホテルへ。道中、あちこちにカンムリワシがとまっていて盛り上がる。18:15にホテルにチェックイン。島の素材で作られた夕食が美味しい。
3月26日、まだ薄暗い中でホテル周辺を歩いたお客様のお写真を見ると虹彩の黒いカンムリワシであった。普通のカンムリワシの虹彩は黄色だが、100羽に1羽しかいないと噂されている珍しい個体である。10年以上前からこの水田周辺で度々見るので、多分、同じ個体なんだろう。今年も元気な姿をみせてくれて安心した。朝食後、専用バスで出発。ドライバーさんが毎年同じ方なのでポイントを熟知しているうえに観光ガイドもやってくれるので楽しい車内となる。西表島は島の東側~北~西側の半周しか道路が無く、南側は道路が無い原生林に覆われている。海岸へ行くと真っ赤なデイゴの花の蜜をリュウキュウメジロが吸い、オサハシブトガラスが食べている。近くでリュウキュウキビタキが鳴いているがどうしても姿が見えない。水田へ行くとセイタカシギの群れが餌を採り、カンムリワシがあちこちで鳴いている。電柱にとまっているカンムリワシの成鳥を発見してみなさんでじっくりと観察、撮影する。その後は集落内を歩くと、あの可憐な姿からは想像できない怪獣のような酷い声でシロハラクイナが鳴き交わす。集落内の畑で餌を採るズグロミゾゴイを発見。至近距離すぎてこちらがバックしたり右往左往するがまったく気にする素ぶりは無く大きなミミズを引っ張り出してゆっくりと食事をしている姿をじっくりと堪能する。これで八重山4点セット完全制覇なのである。その後は牧草地にツバメチドリが2羽降りていて、遠くの電柱にとまっているカンムリワシが鳴いている。ツメナガセキレイとムネアカタヒバリが数羽歩いているが牛の足元でじっくり見られない。バラ線に小型のヒタキ類がとまっているのでドキッとして望遠鏡で見たがノビタキだった。過去に同じようにヤマザキヒタキやクロジョウビタキを見た思い出が蘇る。この緊張感がタマラナイのだ。上原港で昼食後、船浦橋を渡ったところで遠くに見えるピナイサーラの滝を撮影。ピナイサーラとは「老人のあご髭」の意であり落差54mは沖縄県1位なのだ。さらに進むと所々の道路脇の木にカンムリワシがとまっていてみなさんで観察・撮影する。その後、水田地帯に行き農道を歩く。上空ではカンムリワシのペアが鳴きながらディスプレイフライトをする。突然、アカガシラサギの真っ赤な繁殖羽が上空を通過して驚かされる。タカブシギ、セイタカシギなどを見て帰路に着く。帰りも電柱にかなりの数のカンムリワシがとまっていて合計4羽のカンムリワシが見られた。ホテルで夕食後、山道をゆっくりと登っていき、暗くなるのを待っているとポツポツとヤエヤマヒメボタルが光り出し、やがて何千匹のホタルがイルミネーションのように点滅し、リュウキュウコノハズクが「コホッ、コホッ」と鳴く。このなんともいえない幻想的な世界をみなさんに経験してもらいたかったのである。ところが急に寒くなったためか、その後のリュウキュウコノハズクの鳴きが悪い。それでも雌が興味を持って我々の近くまで見に来たが姿を見るまでにはいかなかった。そして、最後にリュウキュウアオバズクをじっくりと観察・撮影して終了。
3月27日、ホテル周辺を歩く。水田にカンムリワシがいたので急いで見たが、虹彩の黒いカンムリワシのペアで黄色の虹彩の方であった。そして最後にリュウキュウヨシゴイを観察、撮影していると、どこからかヤツガシラが飛んできた。もちろん、最後にみなさん大盛り上がりで終了。西表島上原港から石垣島離島桟橋、さらに石垣空港から那覇空港へと向かったのである。いつもはゆったりと時間が流れる八重山ですが、大慌てでカンムリワシ、ムラサキサギ、ズグロミゾゴイとカタグロトビの八重山4点セットにシマアジ、ヤツガシラ、アカガシラサギなどの渡り鳥を観察や撮影したツアーでした。みなさま、お疲れ様でした。
宮島仁