【ツアー報告】タカ渡る白樺峠と渡りの小鳥たち 2019年9月26日~27日

(写真:ハチクマ 撮影:寺田祐治様)

この9月は3連休が2回あることから、タカの渡りと高山の鳥、そして乗鞍高原を渡って行く小鳥類をセットにした3日間のツアーを2本催行しましたが、その他にタカの渡りを2日間に渡って観察する2日間のツアーも企画しました。タカの渡りは天候に大きく左右されるため、とにかく天候が重要なのですが、今回は前週とは全く異なり、晴れマークが並んでいる状況の中で出発することになりました。

26日、快晴の中、予定通り新宿駅を出発して松本駅に向かいました。車窓から見える風景は見事な青空でタカ渡りの期待感が高まってきました。前日の25日には3443羽のタカが渡ったとのことでしたが、おそらくこの日もそれなりに飛ぶだろうと予想していました。松本駅到着後は現地集合のお客様と合流して白樺峠に向かいました。途中、道の駅で休憩した際に観察に使用するトラベルイヤホンを準備し、12:30頃には白樺峠に到着した後はそれぞれ山道を歩いて白樺峠タカ見の広場で観察を開始しました。快晴のため視界はすっきりしていて快適でした。早速、やや高い場所をサシバが飛び、13:05には30羽ほどのサシバのタカ柱が出現しました。13:15には上昇気流が発生したのかツバメが飛びはじめ、ハチクマの幼鳥が真上を通過していきました。13:20には再びサシバが舞い上がり、13:30には当地では珍しくオオタカの幼鳥が旋回しながら上昇していきました。13:35にはノスリが真上を飛び、13:40には再びハチクマの幼鳥が真上を通過していきました。13:45には20羽ほどのサシバが視界を横切るように飛んで右の尾根に消えていきました。13:55にも10羽ほどのサシバが飛び、ここまで全体的に飛ぶ位置が高く、右の尾根に寄る傾向があったものの、ようやく14:10にサシバが低い位置を飛翔しました。また同時にツミが現れ、14:15には今度はハチクマの幼鳥が低く飛んでくれ、14:25には今度はサシバが低く飛んで行きました。14:30には珍しくツミの♂が低い位置を飛び、14:35にはハチクマの♂が2羽、幼鳥が1羽高い位置を通過していきました。14:50にはカラマツに止まるサメビタキの姿があり、15:20には低い位置を飛ぶサシバが連続して通過し、その中に混じる暗色型個体も見られました。15:30にはこの日初となるトビが上空を旋回し、15:50には眼下から舞い上がった20羽ほどのサシバが我々の真上で見事なタカ柱を形成して盛り上がりました。そして16:00にも再びサシバのタカ柱ができ、その中に混じる暗色型個体を再び見ることができました。そして16:10にはミサゴが通過して行くのを見て16:30に観察を終了しました。この日は前半はタカが飛ぶ位置が高く、見ごたえとしては今一つでしたが、15:00頃からはタカが飛ぶ位置が低くなり、タカ柱も真上にできたことから終わってみればなかなかの成果で1875羽のタカが渡り、そのうち1684羽がサシバということで、サシバが多い1日でした。この日は宿に到着後、まず温泉をお楽しみいただいてから夕食をいただき、その後は恒例になっているタカ識別講座を行って復習そして翌日の予習をしていただきました。

27日、この日も幸い早朝から見事な秋晴れの中、06:00から早朝探鳥を行いました。外に出るといきなり小鳥が動いている気配があり、宿の脇の木にエゾビタキとオオルリがやってきていました。しばらく見ているとエゾビタキもオオルリも複数いるようで入れ替わり立ち替わりに木の実にやってきていて、オオルリに至っては美しい成鳥♂、幼鳥、♀とさまざまな姿の個体が見られ、よく見るとサメビタキ、そしてアオゲラもやってきて賑やかなスタートとなりました。この日はエゾビタキが多いようで次に行った場所でも、その次の場所でもその姿を楽しむことができ、川沿いではカワガラスの姿もあり、思ったほど広範囲に探鳥ができなかったものの成果がありました。一旦宿まで戻って朝食をいただき、08:30に出発してこの日も白樺峠に向かいました。09:15に到着するとこの日も白樺峠タカ見の広場は快晴で見事な視界が広がっていました。09:45には周囲にサメビタキの姿があり、ゴジュウカラやコガラが飛び回っていました。09:50にはやや高い位置を2羽のツミが旋回飛翔し、09:55にはそれにノスリが加わって飛んでいました。10:00には珍しくハシブトガラスが飛び10:30頃からは木の実にやってきているエゾビタキの姿が頻繁に見られました。10:40には3羽のツミが飛び、5羽のサシバが通過して行ったかと思うと、続けて10羽ほどのサシバさらには5羽ほどのサシバが連続して通過していきました。そして10:50には10羽ほどのサシバのタカ柱ができました。その後もサシバの渡りは続き、11:00には5羽、11:10にも1羽、そしてツミも通過していきました。11:30頃からはやや風が出てきて日陰では肌寒さを感じるようになる中、11:40にはハチクマの♀が旋回し、12:15にはホシガラスが飛んできて盛り上がりました。12:20には3羽のノスリが飛翔する中、今度はカケスが飛び、12:35には背後からホシガラスが飛んできました。12:40にはハチクマの♂、さらに12:45には低い位置をハチクマの幼鳥が通過したため蝋膜の黄色がはっきりわかりました。13:40にはサシバが舞い、14:00には2羽のハチクマと3羽のノスリが同時に旋回しながら舞い上がりました。14:30頃からはハチクマが眼下を飛翔するようになり、その後はノスリが連続して出現する中、15:30に観察を終了して16:00に松本駅に向かって出発しました。この日は前日に比べると見ごたえは今一つでしたが380羽のタカが渡り、うち278羽がサシバでした。

今回は雨の心配が全くない中での出発となり幸いでした。27日は数が少なかったですが、26日は特に午後からかなり低い位置をタカが飛んだことから見ごたえがありました。また早朝探鳥ではエゾビタキが数多く見られたほか、サメビタキ、オオルリ、アオゲラ、カケス、カワガラスなどに出会うこともできました。秋のタカ渡りシーズンは半月ほどしかなく、この時期を逃すとまた来年になってしまいます。また、タカを覚えるためには何度も何度もタカたちを観察する必要があります。今後も秋はタカの渡りを毎年観察しにお出かけください。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

エゾビタキ 撮影:坂東俊輝様

 

ハチクマ 撮影:なー様

 

サシバ 撮影:寺田祐治様

 

オオルリ 撮影:坂東俊輝様

 

ミサゴ 撮影:なー様

 

ノスリ 撮影:寺田祐治様

 

カケス 撮影:坂東俊輝様

 

ハチクマ 撮影:なー様

 

タカ柱 撮影:寺田祐治様

 

カワガラス 撮影:坂東俊輝様

 

オオルリ 撮影:なー様

 

サメビタキ 撮影:寺田祐治様

 

ハチクマ 撮影:坂東俊輝様

 

ハチクマ 撮影:なー様

 

ツミ 撮影:坂東俊輝様

 

サシバ 撮影:なー様

 

サシバ 撮影:坂東俊輝様

 

ハチクマ 撮影:なー様

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