【ツアー報告】フォトツアー Wクルーズとシマエナガ・シマフクロウ 2019年12月12日

(写真:シマエナガ 撮影:宅間保隆様)

毎冬恒例だった知床沖と根室沖のWクルーズとシマフクロウをメインにしたツアー。毎回ご好評をいただいておりましたが、まずシマフクロウの撮影を時間制限なしで行えるように変更し、さらに人気のシマエナガ、そしてタンチョウの撮影行程を加え10名様限定の撮影ツアーにリニューアルしました。知床沖でのクルーズは各業者が休業期間中のためこの時期にクルーズができることはかなり特別なことであり、また根室沖でのクルーズは休業期間ではないものの、まだまだ出港頻度が低いため我々のツアーがこの冬の初運行であることが多いため、こちらも特別感が高いクルーズとなります。ただ今回は低気圧が通過するタイミングに当たってしまい、めまぐるしく天候が変わるとの予報で運行が難しくなることが予想されました。

12日、東京は日中17℃になるとのことでしたが、早朝からどんよりした空模様の中、予定通り羽田空港を出発して大きく揺れながらも中標津空港に定刻に到着しました。到着後は大阪発のお客様と合流してから専用バスにて出発し、この日の宿泊地に向かいました。この日はシマフクロウ撮影の予定で、しかも日没が15:50のため、日没前に現地に行かなくてはならず、ひとまずバスに乗車していただき現地に向かいました。早めに出発できたことから15:15には現地に到着することができ、周囲が見る見る薄暗くなってくる中、一旦お部屋に入っていただいた後は観察機材を準備していただきました。すでに強風が吹く中、間近にオジロワシがやってきて木に止まり、塒に向かうオオワシの飛翔も見られました。この日は風が強かったためどうなることかと心配でしたが、幸いにもシマフクロウに複数回出会うことができました。ただその後は建物がガタガタ音を立てて揺れるほどの台風並みの強風になったため撮影を早めに終了しました。部屋に戻った後も風はさらに強まり翌日が心配になるほどでした。

13日、この日も強風は収まっておらず、予定していた知床沖のクルーズは残念ながら欠航となってしまいました。そのため朝食後は野付半島方面に向かって出発しました。少しでも海鳥や海ガモ類が見られればということで、途中にある漁港に立ち寄り、ここではシノリガモ、クロガモ、ウミアイサ、スズガモといった海ガモ類を撮影しましたが、コオリガモの姿がなかったことからやや足を延ばして別の漁港まで行ってみました。すると強風で波立つ中、間近に浮かぶコオリガモのつがいがいたことからバスの中から撮影しました。また反対側の港にもその姿があったことから行って見ると、再び間近に浮上するコオリガモのつがいがいたことから撮影し、ここまで見ることがなかったシロカモメの姿もあったことから撮影することができました。その後は休憩してから野付半島に向かいました。強烈な風が吹く中、何度かバスを止めて小鳥類を探しましたが残念ながらその姿はなく、海上に浮いているクロガモを撮影してからこの日の宿泊地に向かいました。途中、お天気はどんどん回復し、強風も気にならなくなってきていました。現地に到着後は一旦お部屋に入っていただいてから撮影を楽しみました。ハシブトガラは10個体ほどがやってきていて、シロハラゴジュウカラも頻繁にやってきて楽しませてくれました。またウソのオスが木の実を食べる様子も見られ、この日はあっさりとシマエナガの群れが賑やかにやってきてくれ、その後も何度かやってきては樹液を吸う様子が観察できました。ほかにもアカゲラは複数個体が見られ、珍しくヤマゲラがやってきてくれたり、オオアカゲラの姿もあり日が陰るまで撮影を続けました。

14日、早朝に外を見ると雪が舞っていて地面が白くなりつつありました。それでも小鳥たちは盛んに餌をついばんでいて07:00頃にはミヤマホオジロが姿を見せる中、各自撮影を開始しました。この日はシマエナガがなかなかやってきてくれませんでしたが、小雪が舞うコンディションの中、相変わらず賑やかなハシブトガラを筆頭に、シロハラゴジュウカラ、アカゲラ、そしてシジュウカラ、ヒガラ、コゲラなどを撮影しました。そして10:00頃にようやくシマエナガの群れが何度かやってきてくれ、この日もシマエナガの撮影をすることができました。また小鳥たちが警戒のサインを出すことがあり、どこからやってきたのかハイタカが飛翔するシーンを見ることもできました。そして時間をやや延長した11:30にたまたま飛んできたタンチョウの姿を見ながら移動しました。その後は小雪が舞う中、途中各自昼食を購入してから鶴居村に向かいました。ただ途中では樹洞で休むエゾフクロウを撮影し、どんよりとした空模様の中、鶴居村のサンクチュアリーに向かいました。14:00からの給餌の光景などを含め15:30まで滞在してタンチョウの求愛行動や鳴き交わしといったシーンを撮影しました。この日はあまり積雪がなく、一部で地面が見えているような状況のため、サンクチュアリーにタンチョウが集中しておらず、60羽ほどが滞在していました。また周囲の林ではここでもシマエナガ、キクイタダキの姿が見られました。

15日、この日は我々のツアーではすっかり定番となっている落石クルーズに乗船する予定でしたがまたまた強風のため残念ながら欠航となってしまいました。早朝の根室市内は風だけではなく深夜に降った雪のため5cmほどの積雪があり驚きでした。朝食後はホテルを出発してまずは漁港に向かい海ガモ類、海鳥類を撮影しました。風が強く、時折雪が激しく降る中でしたが、幸いにも漁港内にはかなりの数の海ガモ類の姿があり、まずはコオリガモの群れやシノリガモを撮影し、たまたま間近に浮上したアカエリカイツブリも撮影できました。また別の場所ではウミアイサの群れがいたことからしばらく見ていると、かなり近くまでやってきてくれ、気がつくと2羽のコオリガモのオスもやってきて撮影することができました。またここでもシノリガモ、クロガモも撮影し、ここまで見られていなかったワシカモメの姿もあったので冬の北海道を代表するカモメ類も撮影することができました。その後は目まぐるしく変わる天候の中、公園内を歩いてみました。時折吹雪のような状況になる中でしたが、コゲラ、ヒガラ、ハシブトガラの姿があり、一瞬レンジャク類の飛翔が見られたことから探してみましたが見つからず、やや時間があったことから付近の漁港に行ってみました。すると漁港内で盛んに餌を捕るオオハムに出会うことができ、バス車内から見ていると何度も間近に浮上してくれたため撮影することができ、今回のツアーを締めくくりました。

今回はなんといってもこのツアーの目玉である2つのクルーズの両方が欠航になってしまい結果的にウミスズメ類が撮影できず残念でした。知床沖ではこの時期にエトピリカ冬羽が見られる貴重な時期だっただけに残念で、落石クルーズもウミバトやハシブトウミガラス、ケイマフリが安定的に見られている時期のため残念でした。ただ反面、シマフクロウは何度も見られ、人気のシマエナガもじっくり撮影でき、エゾフクロウやオオハム、タンチョウ、また漁港ではコオリガモ、シノリガモ、ビロードキンクロ、クロガモ、ウミアイサも撮影できました。クルーズによる海鳥観察は我々にとっては得意分野のため今後もツアーに組み込んでいきます。またの機会にぜひご検討ください。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

シマフクロウ 撮影:宅間保隆様

 

オオハム 撮影:宅間保隆様

 

オオアカゲラ 撮影:宅間保隆様

 

タンチョウ 撮影:宅間保隆様

 

ビロードキンクロ 撮影:宅間保隆様

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