【ツアー報告】紅葉の戸隠高原でムギマキに会いたい! 2016年10月24日~25日
(写真:ムギマキ 撮影:宅間保隆様)
一部例外はあるものの、国内では繁殖も越冬もしない旅鳥といわれる鳥たちがどんどん通過している晩秋のこの時期。今回訪れる戸隠高原でもムギマキ、マミチャジナイといった魅力的な旅鳥たちに出会える確率が高くなります。ただ、長期に渡って滞在する鳥ではないためタイミングがとても重要になります。毎年、だいたいこの時期といった予想は可能ですが、それはあくまで予想でしかなく、実際には行って探してみないとわからないのです。昨年はマミチャジナイには出会えたもののムギマキに出会うことはできませんでした。今年はどうでしょうか?ひとまず天気予報は晴れマークが並ぶ中での出発となりました。
24日、快晴の東京駅を出発し、長野駅を目指しました。さすがに新幹線は便利であっという間に長野駅に到着。長野駅からご参加のお客様と合流後は一旦ホテルに向かいました。車窓からの眺めは見事で紅葉見物にはちょうどいい感じがしました。本来ならば紅葉にはやや遅い時期ですが、今年は1週間ほど遅れているためだそうで、ラッキーでした。到着後は各自昼食とし、その後時間を決めて探鳥に出発しました。この日は本当に天気が良く、見事な秋空の下で探鳥をスタートすることができました。まずは水辺でカワガラスが見られ、その後は過去にムギマキが見られたポイントを見ながら歩きました。今年はムギマキの好物であるツルマサキの実りが良くないと聞いていましたが、そういった印象は受けませんでした。数ヶ所見て回りましたがムギマキがやってきている気配はなく今年も難しいのかなと思い始めた頃、やや林の奥にあるポイントでようやく動き回る小鳥の姿を見つけることができました。なかなか良い場所に出てきてはくれませんでしたが、ようやく見ることができたその姿は濃い橙色が美しい見事なムギマキのオスでした。時間をとってしばらく観察しているとムギマキの個体数がいつの間にか増え、結果的にはメスやオスの若鳥など計3~4個体が木の実を食べるために集まり、ホバリングするなど乱舞するような状況になったため予定よりも時間をとって観察を楽しみました。また帰りがけには別のツルマサキの実にやってきていたキビタキのメスも見られ、やや時間が押してしまいましたが最後は別の場所で探鳥し、地上からバラバラと飛び立って木に群れたカシラダカ、林の中ではコガラ、ゴジュウカラ、キクイタダキなどを観察して終了しました。
25日、午後から雨の予報が出ていましたが、早朝06:30はほぼ快晴。この時間は宿周辺を散策しながら探鳥しました。周辺では複数のホオジロが見られ、ヤマブドウを食べるアカハラの姿もありました。また冬鳥のシメ、アトリの姿もありましたが一番見どころだったのは次々に移動していくアトリやツグミの群れでした。数十羽ほどの群れがいくつもいくつも我々の上空を飛んでいくのが見られ、いよいよやってくる冬鳥シーズンを印象づけてくれました。朝食後は戸隠一番の紅葉ポイントである鏡池まで歩きました。途中にある木の実を見ながら歩きましたが、残念ながらムギマキやマミチャジナイの姿はありませんでした。ただ、盛んに餌を探すオオアカゲラのオスに出会うことができ、比較的ゆっくりとすその姿を観察することができました。鏡池では期待されたオシドリの姿はなかったものの、オオバン、ヒドリガモの姿があり、上空を舞うツミも見られました。帰りは別ポイントを見ながら歩き、アカゲラ、アオゲラ、コゲラ、コガラ、ヒガラなどを見ることができました。昼食は宿にて戸隠蕎麦をいただき、最後は昨日訪れた場所に行ってみました。小雨模様でしたがツルマサキを食べるコガラ、シジュウカラの姿があり、アカゲラも見られました。昨日、ムギマキが見られた場所はすでに鳥の気配はなく、さらに先のポイントを見てみることにしました。すると幸運なことに木の実を食べる複数のマミチャジナイの姿がありました。距離があり、枝が混んでいるため時間がかかってしまいましたが、最後は灰色の頭に二本の白斑、アカハラよりやや淡い橙色の腹部を望遠鏡でしっかりと見ることができました。また最後の最後で間近に採食するキバシリの姿を見ることができ、秋の戸隠高原の代表種を全て観察することができました。
タイミングが非常に難しい旅鳥観察ですが、今回は良いタイミングに出かけることができ、ムギマキ、マミチャジナイ共に複数個体を見ることができました。特にムギマキはオス個体が見られることは稀なため印象的な出会いとなりました。また、キバシリ、オオアカゲラ、ゴジュウカラ、アカゲラ、アオゲラといった当地の代表種にも出会うことができ、紅葉の戸隠を満喫することができました。皆様お疲れ様でした。
石田光史