【ツアー報告】出水・諫早・有明海 冬の九州縦断(再追加設定) 2020年2月11日~13日

(写真:ヘラサギ(左)とクロツラヘラサギ 撮影:高木信様)

九州縦断ツアーは今シーズン3本建て。今年から新たに長崎県諫早干拓を加え、冬の九州三大探鳥地である、鹿児島県出水、長崎県諫早、佐賀県東与賀を訪れます。まず初日の出水では今シーズン15,000羽を超えるツルの大群を観察。マナヅル、ナベヅル、クロヅル、カナダヅルを始め、今年は14年ぶりに飛来したアネハヅル成鳥を観察します。二日目の長崎県諫早では国内唯一の定期飛来地になっているナベコウを探し、広大なアシ原上を飛翔するチュウヒ、ハイイロチュウヒほかタゲリ、ホシムクドリなどを観察します。最終日の佐賀県東与賀では干潟に群れる数千羽のシギ・チドリ類やツクシガモ、クロツラヘラサギ、ズグロカモメなど九州を代表する冬鳥を観察していきます。

2月11日、天候快晴、今日から気温が上昇傾向です。初日は鹿児島県出水のツル、特に今回は当地で14年振りに観察されているアネハヅルも観察します。ただこのツルはよく飛び回り神出鬼没!ポイントの絞り込みを難しくしています。先ずは定番、西干拓の観察センターに寄った後、ホシムクドリが集まる場所へ。タイミングが悪く飛び回った後、遠くの枯れ木に鈴なりになっています。何気なくその側にいたナベヅルの群れにスコープを向けた時、居ましたアネハヅル!前回と同様にあまり苦労せずに運よく見つけることができました。やや距離はあるものの全員でゆっくり観察。その後東干拓へ移動します。道路脇の定位置でカナダヅル5羽が採餌中。直ぐ側には背中に独特なマダラ模様のあるナベクロを観察。今回も道路右側にツルが集まっています。ただやはりクロヅルは堤防寄りの最も遠い所で羽を休めていました。ツルの群れを満喫した後、西干拓へ戻ります。途中ホシムクドリポイント周辺にミヤマガラスの大群が居て、地面を採餌しながら移動しています。群中にコクマルガラス成鳥・幼鳥数羽を見つける。今回の九州縦断ツアーでは初めてだ。しばらく観察した後、ホテルに向かった。

2月12日、早朝から冷たい風雨が吹いている、天候は悪化の傾向。まだ暗い中を東干拓へ向かって出発。東干拓到着後しばらく待つが餌撒きが始まらないため西干拓へ向かう。観察センター前でようやく軽トラで餌を撒き始めた。東干拓はその後の模様。風向きが悪いためか、頭上を越えて飛ぶ個体が少なかったようだ。その後、再度東干拓を経由して出発した。霧もかなり薄くカツオドリを狙えそうだと一安心する。ただ前回のように次々とは飛ばない。いつもの数個の大型ブイにも止まっていない。途中、出現を予想していたカンムリウミスズメ3羽を観察した。カツオドリは今回ちょっと少ないなと思っていると、島原港周辺に数百羽集まっていて航路最後にフィナーレが待っていた!すごい数の個体が飛び回っている。到着後は諫早に向かうバスのフロントガラスを叩く風雨が依然強い。諫早現地到着後、メイン観察地である中央干拓土手の上に上がると南からの雨と暴風が襲ってきた!立っていることもままならず、充分な探鳥が出来ない。その後、干拓地の中をバスでゆっくりと流しながら車窓からしばらく鳥を探したが、大雨のため観察は困難を極めた。予報もさらに悪化傾向だったため、また早朝からハードなスケジュールだったこともあり、参加者の皆様にご了承いただき、体を休めてもらうためにも、やや早めにホテルに向けて出発した。

2月13日。天候は晴れ。今朝はゆっくりホテルで朝食をとり8時出発。途中市内で車窓から数羽のカササギを観察しながら、まず川に寄る。アメリカヒドリ♂を見ていると、何処からか声が聞こえる。ツリスガラだ!5,6羽を観察した後、鳴きながら上空へ飛び上がった。全部で10羽近くいる。晴れの日は観察のチャンスだ。ツアー第3回目で漸くその姿を見ることが出来た。その後、東与賀に到着後はクリーク沿いにツリスガラを再度探したが発見出来ず。その後、干潟に降りて探鳥開始。眼前に広がる広大な干潟に多数のツクシガモ、クロツラヘラサギ、ズグロカモメ、ダイゼン、ダイシャクシギ、ハマシギなどのシギ・チドリが採餌していて、まずこの普賢岳をバックにした雄大な光景に圧倒されてしまう!干潟との境にある柵沿いのコンクリート歩道を観察ポイントまで歩く。途中、オオハシシギ、コアオアシシギ、ソリハシシギ、オオソリハシシギ、夏羽の残るコオバシギ、オグロシギ、そしてクロハラアジサシなどこの時期少数派の種類も逃さずに観察した。その後、干潟の遠く北西端にアボセット2羽の姿を見つける。潮が満ちてくればこちらに飛んで来るだろうと高を括っていると、いつまでたっても飛んで来ない。満潮時近くになり、堤防の上に全員で移動し柵手前の石垣上に集まってきたシギ・チドリ類の群れの観察を始める。アカアシシギ、トウネン、ハジロコチドリなどを見ていると突然アボセットの声。皆の目前に2羽がゆっくりと飛びながら迫って来た!モノトーンの色彩が鮮やかで青空と干潟に映える。その後干潟に並んで降りているところを全員で観察することが出来た。こうして最終日は、興奮のうちに無事に終えることが出来た。

最後になりますが、今回のツアーで九州を代表する冬鳥たちを十分に楽しんでいただけたでしょうか。今回のツアーでは最終的に96種類の鳥たちに出会うことができました。鹿児島県出水平野では15,000羽を超えるツルの群れと14年ぶり確認されたアネハヅル、熊本-島原フェリー航路では数百羽のカツオドリの乱舞、佐賀県東与賀干潟では勇壮な普賢岳をバックに広大な干潟に散らばるツクシガモ、クロツラヘラサギ、ズグロカモメ、数千羽のシギ・チドリの大群と今シーズン長期滞在中の2羽のソリハシセイタカシギなど、大自然の中に生きる鳥たちに思わず感動してしまいました。ぜひ、この感動をもっとたくさんのバードウォッチャーに味わっていただきたいと感じています。

波多野邦彦

カツオドリ 撮影:岩尾信治様

 

ツリスガラとオオジュリン 撮影:箕輪篤子様

 

アネハヅル 撮影:高木信様

 

ソリハシセイタカシギ 撮影:岩尾信治様

 

カツオドリ 撮影:箕輪篤子様

 

ダイシャクシギ 撮影:高木信様

 

アネハヅル 撮影:岩尾信治様

 

カナダヅル 撮影:箕輪篤子様

 

ソリハシセイタカシギ 撮影:高木信様

 

クロヅル 撮影:岩尾信治様

 

ズグロカモメ 撮影:箕輪篤子様

 

カナダヅル 撮影:高木信様

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