【ツアー報告】絶景の立山 ライチョウの親子に会いたい! 2020年7月19日~21日

(写真:ライチョウの親子 撮影:芝田恵美様)

ライチョウの親子に出会う確率が高い時期に合わせて立山室堂を訪れる夏恒例のツアー。ただ今年は梅雨が続き、しばらく青空を見ていない状況の中での出発となってしまいました。たまたまコロナウイルス感染が再び拡大する中ではありましたが、ツアーでは各自感染対策をお願いしているほかバス車内やホテル内に至るまでさまざまな感染対策を施しています。立山室堂は観光地としても有名なため、シーズン中には多くの観光客が訪れますが、個人で行くには乗り換えが多く何かと面倒です。ただツアーでは専用バス利用のため富山駅から直接室堂まで行くことができ、また天候の急変などの場合でもバスを好きな時間に使えるため何かと便利です。今回はここ数日の状況からみてもかなり珍しく晴れマークが出ていましたが、その後ははっきりしない予報の中での出発となりました。

19日、曇り空の東京駅はコロナウイルスの影響からか人の姿はまばらで、新幹線車内もガラガラといった印象でした。新幹線は順調に進み、途中の長野駅付近からは久しぶりに見る青空がまぶしく感じました。目的地の富山駅はとても遠い印象がありますが、北陸新幹線の開業に伴ってとても近くなり2時間ほどで到着することができました。到着後は久しぶりに見る青空の下、専用バスにてまずはホテルがある弥陀ヶ原を目指しました。途中、道の駅で昼食の時間をとり、その後再度出発し見事な風景を車窓から見ながら進み、途中、称名滝も見学して弥陀ヶ原にあるホテルに到着しました。到着後は一旦お部屋に入っていただき、観察機材準備をしていただいてから室堂に向かいました。この日は幸いにも天気予報はほぼ当たりで一部青空が見える中での探鳥となり、まずは室堂平に入ってすぐのところでイワヒバリを間近に見ることができました。足元には少ないながらもチングルマやイワカガミ、ハクサンイチゲの花々が咲いていました。その後はさらに進み、ひとまず双眼鏡で付近を見てみました。するとやや距離はあるものの斜面を歩くライチョウの姿があり、さらによく見ると1羽、また1羽とヒナの姿も見られ、結局計6羽のヒナを連れた親子の姿をいきなり見る幸運がありました。しばらく観察しているとこの親子は見る見るうちに近づき、我々の眼下の雪渓付近までやってきてくれ、その後は斜面奥に消えていきました。観察している間には飛翔するホシガラス、また4羽のカヤクグリも間近にやってきては楽しませてくれました。その後はやや霧がある中をさらに進み、この親子に再び出会うことはできませんでしたが、この時期としては珍しくライチョウのオス個体が現れ、砂浴びをする様子を観察してこの日の探鳥を終えました。

20日、この日はそもそも予報は悪かったですが早朝は雨は落ちておらず、予定通り周辺を歩いてみました。今回はアカハラのさえずりが少なかったことは驚きでしたが、ウグイスはかなりの個体数がさえずり、遠くの木にはカッコウが止まっていました。クロジのさえずりが聞こえたことからやや歩くと針葉樹にカッコウが止まり、またアカハラの姿もありました。帰り道では周囲からはメボソムシクイ、ルリビタキ、ミソサザイのさえずりが聞こえる中、最後はウソのつがいがやってきて可愛らしい姿を見せてくれました。07:00からは朝食をいただき08:00に再度出発してこの日も室堂に向かいました。この日の室堂は霧がかかり、今にも雨が落ちてきそうでしたが、歩き出すと早速イワヒバリの姿があり、巣だったばかりのヒナに餌を与える様子を見ることができました。その後は昨日同様にライチョウの姿を探してみると、この日も斜面にライチョウの姿があり、6羽のヒナたちも親鳥の周辺を歩き回っていました。そのためそのまま観察を続けていると、またまたライチョウの親子は我々の方に向かってくるように歩き、最後は真下の斜面で親鳥はうずくまり、その腹の下にヒナたちが隠れるシーンを見ることもできました。ただ直後には親鳥が血相を変えて雪渓の縁に向かって飛び、一気に騒然とした雰囲気に変わりました。観察を続けると雪渓付近にはオコジョの姿があり、これに親鳥は反応して威嚇行動をとったのでした。何度も現れるオコジョに対して親鳥は何度も何度も威嚇行動を行い、結局オコジョを撃退したのでした。オコジョそのものを見る機会がほとんどないことに加え、ライチョウの威嚇行動まで観察するという大変貴重な経験をすることができたのでした。その後、ライチョウの親子は危険を感じたのか、我々の目の前をゆっくりと歩いて遊歩道を横断し、別の草原に移動して奥へと消えていきました。ただその後も雪渓にはオコジョの姿があり、どうやら親子連れと思われる3頭がまるで雪原で遊んでいるかのような光景を見せてくれました。この日もライチョウの観察ができたことから、その後は室堂ガイドウォークに参加することにし、時折雨が激しく降る中、女性ガイドさんと共に室堂平を歩き、さまざまな貴重なお話をうかがうことができたほか、ここでも別のライチョウの親子に出会うことができました。その後は霧が濃くなる中、昼食をいただき午後からは弥陀ヶ原に戻って、今度は弥陀ヶ原のガイドウォークに参加しました。ここでは弥陀ヶ原内の木道を歩きながら花の解説をしていただき、ゼンテイカ、タテヤマリンドウ、ワタスゲ、アカモノ、イワイチョウ、テガタチドリ、ハクサンチドリ、湿地ではモウセンゴケなどを観察して、やや霧が立ち込めてきた16:00にホテルに戻りました。そして17:00を過ぎた頃からは一時的に激しい雨が降ったのでした。

21日、曇り空ながらも昨日よりはやや空が明るく感じる中、この日は展望台に行ってみることにしました。建物の上ではキセキレイ、針葉樹のてっぺんには珍しくメボソムシクイが止まってさえずる中、足元にはツマトリソウ、マイヅルソウ、エンレイソウ、そしてノビネチドリやベニバナイチゴが咲き、今年は珍しくサンカヨウが見事な花をつけていました。また展望台では見事な景観を楽しむことができたほか、クロジやルリビタキに出会うことができました。また帰り道にはキヌガサソウの群落があり、付近を盛んに飛び回るサメビタキ、そして珍しく針葉樹のてっぺんでさえずるホトトギスの姿を見ることもできました。朝食後は一部で青空が見え始める中、またまた室堂に向かいました。さすがにこの日はどうかなとは思いましたが、別の場所にまたまたライチョウの親子の姿があり、同じ親子なのか6羽のヒナたちも健在でした。この日は急な斜面を登りながら餌を探していて、比較的のんびりしているように感じました。天気も徐々に回復傾向で久しぶりに雄山が見えるなど、日差しを浴びる時間帯もありました。ライチョウを見ている間にも、この日はホシガラスの出現が多く、間近にある針葉樹に止まったり、杭に止まったりして楽しませてくれました。その後は昨日、ライチョウの親子を見た別の場所に向かって歩いてみましたが、この日は残念ながらその姿はなく、代わって2羽のホシガラスが何度も現れて楽しませてくれました。室堂での探鳥後は弥陀ヶ原のホテルまで戻って昼食をいただき、ようやく見えた青空と山々のコントラストを楽しんでから富山駅に向かいました。

今年の立山ツアーはコロナウイルス感染対策を行いながらということで毎朝の検温や各自マスク着用などご不便をおかけする中での催行となりました。結果的には絶景を楽しむことはできなかったものの、3日間ともにたいして歩くことなくライチョウの親子に出会うことができ、2日目にはオコジョの登場に伴ってライチョウの威嚇行動を見るという貴重な体験ができました。また今回はライチョウの観察状況が良かったことから室堂と弥陀ヶ原でガイドウォークに参加し、貴重なお話のほか、見事な花々の解説もいただけました。今後もコロナウイルス感染対策を万全にしてツアー催行して参りますのでぜひご参加ください。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

ライチョウのヒナ 撮影:中村由紀子様

 

ウソ 撮影:鶴田美津子様

 

ライチョウ 撮影:芝田恵美様

 

イワヒバリの親子 撮影:中村由紀子様

 

サメビタキ 撮影:鶴田美津子様

 

オコジョ 撮影:芝田恵美様

 

オコジョ 撮影:中村由紀子様

 

ライチョウの親子 撮影:鶴田美津子様

 

ライチョウ 撮影:芝田恵美様

 

ライチョウの親子 撮影:中村由紀子様

 

ライチョウのヒナ 撮影:鶴田美津子様

 

オコジョ 撮影:芝田恵美様

 

イワヒバリのヒナ 撮影:中村由紀子様

 

オコジョ 撮影:鶴田美津子様

 

弥陀ヶ原のワタスゲ 撮影:鶴田美津子様

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