【ツアー報告】紅葉の戸隠高原でムギマキに会いたい! 2020年10月20日~21日

(写真:ムギマキ 撮影:中谷博之様)

秋恒例の戸隠高原をハイキングするツアー。この時期の信州はなかなかお天気が安定せずころころと変わる空模様を見ながらの進行となることが多いのですが、今回はたまたま雨と雨の間の2日間にタイミングが合い、両日共に穏やかな晴天予報が出る中で出発することができました。私事ではありますが、この秋の戸隠高原は18年前に私がガイドデビューした思い出深い場所であり、個人的にも一番足を運んでいる探鳥地でもあります。もちろん言うまでもなく大好きな探鳥地なのです。そのため多くの方々に来ていただきたいとは思いますが、探鳥のために歩く道のほとんど全てが小径のような感じのため、20名を超える人数での探鳥では列が長くなってしまうため不可能と判断し、我々のツアーは少人数化して企画しています。

20日、早朝から快晴の東京駅を予定通り新幹線で出発しました。長野駅というと遠い印象があるかもしれませんが新幹線ならは90分ほど。仮眠をとる時間もないほどあっさりと長野駅に到着し、その後は長野駅集合のお客様と合流してからバスにて今回の宿泊地のホテルに向かいました。途中、やや雲がかかってはきたものの紅葉は見事で、まるで紅葉のトンネルを潜り抜けるかのように進み、1時間ほどでホテルに到着した後は一旦お部屋に入っていただき各自昼食をとっていただきました。標高1000m、さすがに空気は冷たいですが昼食後は紅葉の戸隠連山を見ながら早速バスにて出発して探鳥に出かけました。いつもであればまず草地を歩くのですが、今回は鳥の状況を加味してコースを変えることにしました。バスを降りるとカラマツの上からマヒワの声が聞こえ、周囲をアトリの群れが飛び回っていました。そしてノスリにモビングをしかけるツミを見ながら歩き、まずは少々時間をとってナナカマドの実を食べにきているマミチャジナイの登場を待ってみました。すると僅かな時間でマミチャジナイとアカハラが現れ、木の実を食べる様子をじっくりと観察することができました。マミチャジナイは頭部が灰色のオスで、アカハラはオス、メス共にやってきていました。その後は池を覗いてみると、渡ってきたばかりのヒドリガモとコガモ、そしてカイツブリが羽を休めていました。その後は木道を歩くと、途中の林でいきなりムギマキが2羽現れました。しばらく見ていると綺麗なオスが1羽とメスタイプが1羽いるようでやや奥にあるツルマサキの実をついばんでいました。さらに行くと今年多くのムギマキがやってきているツルマサキがあり、ここでは5羽ほどのムギマキが入れ代わり立ち代わりやってきていてしばらくの間、その姿を楽しむことができました。探鳥後は一旦バスにて移動し別の場所を歩いてみました。早速、アオゲラの笛のような声が聞こえ、探してみると高い木の上でじっとしていました。そのため時間をかけて望遠鏡でじっくり観察することができ、ふと見ると川には2羽のカワガラスがやってきて盛んに餌を探していました。さらに進むとカシラダカの小群がバラバラと飛び立って木に止まったため、こちらもじっくりと観察することができました。ただここにあったツルマサキにもムギマキが3羽ほどやってきていたので、意外な場所でムギマキの姿を薄暗くなるまで観察してこの日の探鳥を終えました。

21日、日の出は06:00ということでこの日は06:30からホテル周辺を歩きました。山側にはやや雲がかかっていましたが見る見る青空が広がってきて今日も天気は問題なさそうでした。早朝は次々に渡っていく小鳥たちが見られるのが秋の戸隠の特長ですが、この日もかなりの数が見られ、まずはニュウナイスズメの群れが飛び回り、そのうち1羽が針葉樹のてっぺんに止まっていました。周辺からはジョウビタキ、ホオジロの声が聞かれ、アオゲラがやってきて木に止まりました。少々歩いていくとフワフワとした独特の飛翔でカケスが頭上を通過し、その後もアトリ、マヒワ、イカル、アカハラ、マミチャジナイ、ツグミ、メジロ、アオバトといった鳥たちの群れが次々に我々の頭上を渡っていき、これぞ早朝の秋の戸隠といった感じの見事な風景が続き、カラマツに止まったアトリの群れを見ることもできました。探鳥後は一旦ホテルに戻って朝食をいただき再度出発して午前中は鏡池を目指しました。この日も前日同様にまずはアカハラを見てから池を経由して木道に入りました。歩いているとミソサザイが飛び出して藪に入り、その後はマヒワの群れが頭上にやってきました。林内からはツグミ類の声が絶えず聞こえ、途中ではアカハラやシロハラ、カケスが盛んに木の実をついばんでいて、珍しくゴジュウカラも枝先にぶら下がるように木の実をついばんでいました。針葉樹が広がる薄暗い場所ではキクイタダキの声が聞こえ、その後もアトリ、マヒワの群れを見ながら歩き、雲ひとつない鏡池に到着しました。到着後は少々時間をとって休憩していただき、その後は飛び回るマヒワの群れ、鏡池ではオシドリ、ヒドリガモ、カルガモ、オオバンを見てから歩きました。少々歩くと青空を背景にハイタカが飛び、コガラが愛嬌良く姿を見せてくれ、ここでもツグミ類が木々に群れていました。その後は参道を歩き、時間があったことから最後にツルマサキに群れるムギマキを再度見てから昼食のためホテルに戻りました。昼食は戸隠ツアーでは恒例になっている蕎麦をいただき、午後からは僅かな時間ながら再び草地を歩いてみました。前日にムギマキが見られた場所では残念ながらこの日はムギマキの姿がなく、そのため別の場所に行ってみることにしました。すると幸いにもツルマサキの枝先を飛び回る複数のムギマキに出会うことができ、中にはキレイなオス個体も含まれていました。結局3羽ほどのムギマキがいたようで、最後には珍しく横枝でじっとしているムギマキのオスがいたことからしばらくの間観察することができ、よく見てみると真下にはキビタキのメスが止まったり、ムギマキのメスが止まったりとしばらく楽しませてくれました。おかげでやや時間が押してしまいましたが、最後は夕陽に照らし出された美しく燃えるような紅葉を見ながら探鳥を終えました。

毎回のようにお天気に悩まされるツアーでしたが、今年の秋の戸隠高原は快晴の中の2日間となり気持ちのいいハイキングを楽しむことができ幸いでした。主な目的であったムギマキ、マミチャジナイ共に良い条件で見ることができ、今期初となるアトリ、マヒワ、カシラダカ、ジョウビタキといった冬鳥たちにも出会うことができました。そしてこのツアーの醍醐味でもある早朝の渡り風景も見事でした。そして紅葉の名所だけあって見事な鏡池と紅葉という絶景を見ることもでき、昼食にいただいたお蕎麦もおいしくいただけました。次回はクロツグミやコルリ、サンショウクイ、キビタキ、ノジコなどの夏鳥を探すツアーを5月に企画いたします。また季節を変えてぜひお出かけください。

石田光史

アカハラ 撮影:鶴田美津子様

 

マミチャジナイ 撮影:大澤保男様

 

ムギマキ 撮影:箕輪篤子様

 

ムギマキ 撮影:中谷博之様

 

マミチャジナイ 撮影:鶴田美津子様

 

アカハラ 撮影:大澤保男様

 

アトリ 撮影:箕輪篤子様

 

マミチャジナイ 撮影:中谷博之様

 

ムギマキとキビタキ 撮影:箕輪篤子様

 

アオゲラ 撮影:中谷博之様

 

ムギマキ 撮影:箕輪篤子様

 

アカハラ 撮影:中谷博之様

 

ムギマキ 撮影:箕輪篤子様

 

戸隠の星空 撮影:中谷博之様

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