【ツアー報告】東シナ海第三の秘島 伊平屋島と野甫島 2021年4月14日~17日
(写真:バライロムクドリ 撮影:宅間保隆様)
14日、12:10那覇空港を出発。小雨が時々降る寒い中、港に到着。港の周辺で、体色の濃いリュウキュウキジバトやリュウキュウヒヨドリ、体の小さなリュウキュウハシブトガラスなどを観察、撮影する。15:00 出港。「フェリーいへや」は498トン、定員300名の立派なフェリーなのだ。伊平屋島は沖縄県の有人島では最北端に位置し、本部半島より北へ約41km、面積約20.7k㎡、賀陽山(標高294m)を最高峰とする山地が島の大半を占めているのである。
港周辺の入り組んだ海岸の浅瀬で採餌をするダイサギやコサギに混じってクロツラヘラサギがいて盛り上がる。しかし、その後は鳥影のないまま16:20に伊平屋島に到着。直ぐに水田地帯へ行く。沖縄県でも以外と知られていないが、伊平屋島は水が豊かで稲作が盛んな“お米の島”なのだ。田名の水田地帯へ行くと、畦からジシギ類が次々に飛び立つ。殆どがタシギだが、ハリオシギやチュウジシギも混じる。ダイサギ、チュウサギ、コサギなどのサギ類が40羽程休んでいて、夏羽の綺麗なアマサギもいる。変なヒバリがいて後の写真判定でヒメコウテンシだった。さらに、夏羽のノビタキもいて、渡りのピークに当った期待が持てる。18:10 ホテルにチェックイン。海産物がメインの豪華な夕食に皆さん笑顔になる。
15日、早朝、徒歩でホテル周辺で鳥を見る。昨夜、渡って来たコムクドリ30羽程にムクドリ4羽が混じる。サンショウクイもあちこちで鳴いていて、亜種サンショウクイの声もする。シロハラクイナが大急ぎで逃げていく。朝食後、野甫島へ行く。野甫島は伊平屋島と橋で繋がっている面積約1.1k㎡、周囲約4.8km、標高48mの小さな島なのだ(と書いてて、標高が48mに驚き)。シロハラ、アカハラ、マミチャジナイなどのツグミ類がたくさん入っている。ズアカアオバトがのんびりとまっていてみなさんでじっくりと観察、撮影する。ホオジロ類2羽が藪から飛び出すが識別出来ないまま見失う。その後、伊平屋島に戻り、キャンプ場のグランドにシロチドリ11羽とオオメダイチドリの夏羽がいてみなさんでじっくり観察、撮影する。ムナグロ10羽がいて、2羽がかなり夏羽になっている。12:00から伊平屋島名物のもずくがたくさん入った“もずくそば”の昼食。雨が降ってきたが、この時期の雨は恵みの雨となることが多い。12:45水田地帯へ行く。貯水池へ行くと亜種サンショウクイ20羽程がとまっていた。亜種リュウキュウサンショウクイもいるので同時に2亜種を見ることができるのも渡りの島なのである。綺麗なハヤブサの成鳥が電柱の上で何かを食べている。水田にはセイタカシギがいて、上空にはリュウキュウツバメ、ツバメ、コシアカツバメが乱舞している。14:20水田地帯へ行くと、アマサギ、ダイサギ、チュウサギ、コサギなどのサギ類が100羽以上に増えている。コムクドリ123羽が電線並んでいるので、何かいいものが入っていないか端からすべて見るがコムクドリのみの群れだ。しかし、これだけ渡り鳥が入っているといいものが入る可能性がある。ジシギ類もまだかなりの数がいて、亜種シマアカモズもいる。農道をゆっくり走っているとアリスイが降りてて、沖縄では滅多に見られない鳥だがみなさんの反応は鈍い。16:10 林道の入り口でミゾゴイを見たお客様がいた。林道を通り、17:00 野甫島へ行く。朝、確認できなかったホオジロ類はアオジの雌だったがなんか違和感がある。ミフウズラの出そうな場所で待つと、大当たりで雌が出て来た。さらに雄もでてきて、距離があるが皆さんでじっくりと観察する。18:05 ホテルに戻り、今夜も豪華な夕食となる。イカ墨汁が美味い。
16日、早朝、徒歩でホテル周辺で鳥を見る。コムクドリ30~40羽の群れにカラムクドリが1羽入っていて、さらにコムクドリ150羽程の群れが飛び回っている。サギ類も増えて40~50羽の群れが休んでいる。何だか島全体が鳥たちでわさわさしている感じなのだ。逸る気持ちを押さえて7:30から朝食。8:20 出発するとホテルの前の集落に150羽程のコムクドリが入ったので見に行くと、、、、電線にコムクドリ153羽、ムクドリ4羽、そしてバライロムクドリの綺麗な雄の成鳥が1羽がとまっていたのである。もちろん、みなさんでじっくりと観察、撮影する。こんな綺麗な夏羽の成鳥を日本で見るなんて夢にも思わなかったので、やはり、渡りの離島はやめられないのだ。09:15 灯台から麓まで歩く。ツグミ類が路上で餌を啄む。サンコウチョウの声を聞くが1回でやめてしまった。09:50水田地帯へ行く。サギ類がたくさん集まっていて、コチドリ、ノビタキ、ムネアカタヒバリなどがいる。ハクセキレイの亜種タイワンハクセキレイ5羽を観察、撮影する。11:00 海岸沿いのモクマオウに200羽以上のコムクドリがいるので見ると、先程のバライロムクドリ雄の成鳥が混じっている群れが大きくなっていた。朝は電線どまりだったので、みなさんで木どまりのバラムクをじっくりと撮影する。12:00 伊平屋島名物の“まぐろカレー”の昼食。12:40水田地帯へ行くが目新しい種はなく、13:30 グランドへ行くと、夏羽の赤いムネアカタヒバリ3羽とヒメコウテンシ2羽が餌を啄んでいるので、みなさんで観察、撮影。14:30野甫島へ行く。昨日のアオジの雌と一緒に雄もいてペアで餌を啄んでいる。昨日の違和感は亜種シベリアアオジの雌だったのだ。島内を何周も廻り、ツグミ類、シマアカモズ、シロハラクイナなどを観察、撮影する。16:30に再び、ミフウズラが出てきそうなポイントで待っていると、雌がとことこ歩いて出てきたので、ちょっと距離はあるが全員で観察、撮影する。18:10 ホテルに戻り、今夜も豪華な夕食となる。
17日、早朝に バスでホテルを出発して野甫島を廻って伊平屋島へ行く。グランドでヒメコウテンシ2羽、オオメダイチドリ1羽、ムネアカタヒバリ3羽、ムナグロ10羽などを観察、撮影。07:30朝食。その後、フェリー乗り場へ行き、出港。何もいない海上を頑張って見て、港の手前でクロサギを確認して10:20に港に着岸。ぐいぐい南下して耕作地へ行き、シマキンパラの群れがあちこちにいるので、みなさんで観察、撮影する。さらに、南下してシギ・チドリ類、サギ類などを観察、撮影して、14:45に那覇空港へ到着したのである。たくさんの渡り鳥たちとミフウズラに出会えた伊平屋島。みなさま、お疲れ様でした。
宮島 仁