【ツアー報告】雪原の立山 白いライチョウに会いたい! 2021年5月5日~6日

(写真:ライチョウ 撮影:日下部桂子様)

ライチョウといえば今回訪れる立山・室堂、そして乗鞍畳平にてツアーを企画していますが、いずれも夏から秋にかけてのツアーであり、白い冬羽の姿を見る機会はなかなかありません。これはもちろんそういった時期にライチョウが生息する場所に行くことができないからですが、今回訪れる立山・室堂はゴールデンウィーク前に訪れることができ、ツアーとしてはゴールデンウィーク中に企画することができます。なるべく早く訪れたいのは当然のことではありますが、ゴールデンウィーク期間中は混雑すること、また何度も乗り換えをしないと室堂にたどり着けない面倒な点を考慮するとやはり専用バスを使って富山駅から直行でき、自由自在に行動したいと考えツアー時期を決定しました。ただ、今回は想定外の積雪が直前にあり真冬の新雪の上を歩かなくてはならないような状況になり、初日の豪雨と強風などもあってかなり苦労が多いツアーになってしまいました。

5日、これから雨が降ってくるとは思えないような穏やかな晴れの中、ひとまず予定通り北陸新幹線にて富山駅を目指しました。しかしどうやら天気予報は当たってしまったようで新幹線が進むにつれて空は雲が多くなり、途中の長野駅からは小雨が落ちてきてしまいました。その後、到着した富山駅ではしっかりした雨の中、まずは専用バスに乗り込んで現地を目指しました。弥陀ヶ原や室堂行くにはさまざまな手段がありますが、ツアーでは新幹線を使うため東京から富山まではわずか2時間あまり、さらに通常なら避けられない面倒な乗り換えをすることなく一気に弥陀ヶ原、室堂まで行ける点は非常に便利で、専用バスを使うことで高山帯特有の天候の急変などによる急な行動変更にも即座に対応できることが有利です。ひとまず途中で各自昼食をとっていただき、それから現地に向かいました。残念ながら雨はひどくなる一方で、風も強くなってきて木々が大きく揺れはじめていました。美女平あたりからは所々に残雪があり、まだまだ小鳥類の雰囲気はなく、称名滝を見てから現地に到着しました。到着時は雨はそれほどでもありませんでしたがやや風が吹く中、とりあえず室堂まで移動してみました。弥陀ヶ原でも感じていましたがとにかく積雪量が多く、これは2日に降った雪だそうで、まるで真冬の新雪の上を歩くかのような感覚でした。風雨が強まる中、ハイマツを見てみましたがライチョウの姿はなく、さらに進んで周辺のハイマツにもライチョウの姿がなかったため、ここから坂を上ったところでようやくウロウロ歩き回るライチョウに出会うことができ、風雨が強まる中ではありましたが観察することができました。ライチョウは外敵に狙われる可能性が低い視界不良時には平坦な場所を歩きまわることが多いことが知られていますが、まさにそのような状況だったことからライチョウの全身を容易に見ることができました。ただかなり風雨が強まってきたことからこの日の探鳥はここで終えることにしホテルに戻ることにしました。急遽の予定変更でも即座にバスを使ってホテルに戻れるというツアーの利点が出た初日の探鳥でした。

6日、天気予報では早朝から快晴とのことでしたが、心配だったのでカーテンを少しだけ開けて寝ていました。ただ早朝には早くも光が射してきていたため安心して起床し、外を眺めてみると昨日とは全く違った風景が広がっていて一安心しました。朝食をいただいた後は専用バスにて室堂に向かい、駐車場では飛び回るイワツバメを見てから室堂平に入りました。スカッとした青空に映える雄山は見事で、ようやく景色を楽しむことができ、まずは室堂平のハイマツを眺めてみました。ここではわずかな時間ながらオス1羽が見られ、その後は昨日観察した個体と同一と思われるオス1羽を間近に観察。さらには2個体のオスを観察することができました。周辺にはスキーを楽しむ登山客がいるほど、しっかりした新雪が積もり、とにかく歩くには困難な状況ではありましたが、昨日は悪天候で十分な観察、撮影ができなかったことから、この日はじっくり時間をとって1個体、1個体しっかり時間をとって観察や撮影を楽しみました。時期が時期だけにそれぞれに換羽状態が異なり、それぞれに特徴のある個体たちでした。全く人間を恐れる様子がないため驚くほど間近に見られることもライチョウだからこそ。気が付くとホシガラスが1度だけ現れ、周辺では繁殖行動なのか数羽のカヤクグリがさえずったり、追いかけっこをしたりと忙しく動き回っていました。そろそろお昼が近づいたことから一旦、室堂ターミナルまで戻ると、どこからやってきたのか1羽のヤマガラに出会い、その後は立山自然保護センターに立ち寄ってみました。向かう途中ではたまたま2羽のイワヒバリに出会うことができ、センターでは「ライチョウステッカー」をいただいてから各自昼食、その後は1時間ほど時間をとって雪の大谷ウォークに参加しました。今年は14ⅿの高さまで積もった雪の大谷を歩いてみましたがとにかく感動的。その高さに圧倒されつつ今回のツアーを締めくくりました。

今回はコロナウイルス感染が再拡大する中であったこともあり、極めて難しい時期の企画ではありましたが、多くの方々にご参加いただき感謝いたします。天候も両極端な2日間となってしまい初日はかなり厳しい状況でした。ただ翌6日は早朝から見事な快晴となり、輝くような雪景色の中で白いライチョウを複数個体観察することができ幸いでした。また恒例となっている雪の大谷ウォークに参加する余裕もでき、14ⅿの高さに積もった雪の壁にも圧倒され印象に残りました。今後も引き続きコロナウイルスの感染対策を施しながらツアー運行してまいりますので、皆様のご協力をお願いいたします。この度はご参加いただきましてありがとうございました。またご一緒できましたら幸いです。

石田光史

カヤクグリ 撮影:芝田恵美様

 

ライチョウ 撮影:日下部桂子様

 

室堂の風景 撮影:芝田恵美様

 

ライチョウ 撮影:日下部桂子様

 

ハロ 撮影:芝田恵美様

 

イワヒバリ 撮影:日下部桂子様

 

ライチョウ 撮影:芝田恵美様

 

イワヒバリ 撮影:日下部桂子様

 

ヤマガラ 撮影:日下部桂子様

 

ライチョウ 撮影:日下部桂子様

 

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