【ツアー報告】秋の小笠原 東京~父島航路 2015年9月25日(金)~27日(日)
北航路ほど見られる海鳥たちに変化はないものの、やはり南の海域にも魅力的な海鳥たちが生息しています。今年は台風が多く7、8月の小笠原ツアーが残念ながら中止となり、そのため急遽9月に企画されたのがこのツアーでした。直前に再び台風が発生しヒヤヒヤさせられましたが、予想よりも西に進路をとったことから、おがさわら丸は予定通りに出航することになり、ようやく小笠原へのツアーに出発することができました。
25日、竹芝桟橋に08:00着くといきなりの豪雨でした。行きのおがさわら丸は乗船客はかなり少ない状況で、予定通り10:00に出航、デッキに出ると思った以上の肌寒さで、雨粒が風で流されてきていました。洲の崎を過ぎる13:00まではウミネコやオオセグロカモメ、アオサギなどを眺めながら進み、まずはリラックスムードの中、この航路のデータを見ながら解説などをしながら過ごしました。12:30頃から雨は止みオオミズナギドリの姿が数多く見られるようになってきました。ようやく洲の崎沖までやってきましたが低気圧の影響からかいきなり船体が揺れ始め、デッキ前方が立ち入り禁止となりました。ただ、この時期の主役であるハジロミズナギドリがいきなり数羽現れてどっと盛り上がり、アナドリ、コシジロウミツバメもヒラヒラ飛びはじめます。ただ、揺れと波しぶきは容赦なく襲い掛かり14:10にはとうとうデッキ閉鎖となってしまいました。その後は仕方なく後部デッキからの観察となりました。ただ、その後もハジロミズナギドリは連続して出現し、風を受けて大きく舞い上がるような独特の飛翔を見せてくれました。また14:30を過ぎた頃にはアナドリの姿が増え、良く似ているものの腰の白さが目立つコシジロウミツバメの姿も見られました。15:05には着水していたハジロミズナギドリが舞い上がり、15:10には荒波をかいくぐるようにトウゾクカモメが飛んでいました。15:30には船体脇にはりつくようにハジロミズナギドリがしばらく飛んでくれたため両翼裏にある二つに分かれた白斑や尾羽の形など、その特徴をしっかり見ることができました。15:50にはシロハラミズナギドリが飛び、16:00頃にはようやく晴れ間が見えはじめました。そしてやや薄暗くなった16:45に2羽のクロアシアホウドリを見て初日を終了しました。幸にも夜は随分波が穏やかになっていました。
26日、05:30、雲の隙間からうっすらと日の出が見える中、観察を開始しました。このツアーの最も重要な海域のため気合が入る中、オナガミズナギドリが飛び、早速2羽のセグロミズナギドリが現れ、06:40には待望のオオシロハラミズナギドリが真横を飛んでくれました。そして意外にも07:00にオオトウゾクカモメが見られ、07:10からは2羽のカツオドリがおがさわら丸を追いかけてきました。07:30を過ぎると空が青くなるのに合わせて海の色も小笠原らしくなってきました。08:00頃からはシロハラミズナギドリの姿が増え始め、中には船体脇を飛ぶ個体もいたため翼下面の模様をしっかり見ることができました。ほかにもアナドリ、コシジロウミツバメを見ながら予定よりもやや早い11:15に父島二見港に着岸しました。一旦自由行動とし13:00に再集合。この日は乗客が非常に多かったことから即乗船開始となりました。島内ではオガサワラノスリ、ハシナガウグイス、トラツグミ、そしてアカガシラカラスバトをご覧になったお客様もいらっしゃいました。14:00の出航後は恒例のセレモニーが45分ほど続くことから我々は休憩や食事などの時間としました。観察は15:00頃からでしたが、15:15、15:40にそれぞれクロアジサシを見ることができ、連続して現れるオナガミズナギドリ、アナドリ、カツオドリを観察し、16:50に噴気を上げるマッコウクジラの姿を見て観察を終了しました。
27日、05:30にデッキに出ると相変わらずの曇り空で時より雷が光っていました。まずはコアホウドリが舞い上がり、アナドリが複数舞っていました。ただ06:00には激しい雨のため観察中断、30分ほどで再開すると06:50に2羽のシロハラトウゾクカモメが飛び、再びハジロミズナギドリの姿が増えてきました。08:00頃からは空は明るくなりはじめ、08:20には久しぶりにシロハラミズナギドリの姿がありました。08:40にはトウゾクカモメが飛び、その後は11:30までアナドリ、ハジロミズナギドリを楽しむことができました。特に11:05に船体脇を飛翔した3羽のハジロミズナギドリは間近に見られたため印象的でした。
秋の航路らしい変化に飛んだ航路探鳥でしたが、荒れ模様だったせいかハジロミズナギドリは予想を大きく上回る個体数を見ることができ、狙っていたオオシロハラミズナギドリとの出会いは感動的でした。また小笠原の海鳥基本種であるアナドリ、シロハラミズナギドリ、オナガミズナギドリ、クロアジサシ、カツオドリの姿も見られました。来春には硫黄島クルーズの企画がありますので、この5種をしっかり覚えて今後の参考にしていただければと思います。トラベルイヤホンの効果も実感することができた収穫のある3日間でした。
石田 光史