【ツアー報告】ブッポウソウとチゴモズが棲む松之山の森 2025年5月27日~28日

(写真:ブッポウソウ 撮影:小林圭一郎様)

この時期は恒例となっている北信越のブナ林をめぐりながら主にブッポウソウとチゴモズを探すツアーの時期です。今回訪れる場所は私的には20年以上通っていますが、のどかな山村風景はまるで日本むかし話に出てくるような独特の風情があり、豪雪地帯らしい家屋の作りも印象的です。思い返すと長年にわたってこういった風景が全く変わらない点は驚きです。ここはタイトルにもなっているブッポウソウ、チゴモズといった希少な野鳥が生息しているほか、ブナ林を好む野鳥たちが数多く生息し、この時期は北信越を代表するピンク色のタニウツギや紫色の桐の花も見事な時期です。今回は天気は概ね良いとの予報が出ていましたが、冬季の積雪量が多かったようで各所で通行止めが発生していました。

27日、ここ数日の関東地方は天候が悪い日が続いていて気温も低めといった傾向でした。ただこの日からは天気は回復傾向で、北信越の天気予報はこの数日は概ね良いとの予報が出ていました。集合時間の東京駅前はやや雲が多かったものの雨はなく、予定通りご集合が完了したことから09:00に出発してひとまず関越自動車道を走り新潟県を目指しました。車内では今回のツアーで期待できる種について解説するとともに、現地の環境についてもお伝えしました。途中、サービスエリアに立ち寄った後は曇り空ながらも一部で青空が見える状況もあり、空模様はめまぐるしく変化していました。そして関越トンネルを過ぎるとやや青空が勝ってきてサービスエリアに立ち寄ると日差しがある状況になっていました。それ以後はひたすら山道を走って峠を越え、途中、車窓からは豪雪地帯らしい家屋、そしてこの時期の北信越を代表するピンク色のタニウツギの花が見えていました。現地到着後は各自昼食、そして観察機材の準備をしていただいてから再度出発して、まずはチゴモズを探してみました。今期は冬季の積雪量が多かったとのことから各所に残雪があり、通行止め箇所が多かったことから探せる範囲が限られていましたが、まずは最初の場所で探してみました。ここではクロツグミのさえずりが聞こえ、ホトトギスが鳴きながら上空を飛んでいきました。電線を見るとホオジロとヒヨドリが並んで止まっていて、森の中から飛び立ったサシバが目の前を通過していきました。ただ30分ほど観察しても残念ながらチゴモズの気配がなかったことから移動することにしました。ここではカッコウが梢で鳴き、周囲ではノジコが飛び回っては木に止まってさえずり、レモンイエローの美しい姿を見せてくれました。そして10分ほど経った頃、杉の木のてっぺんで鳴きているチゴモズのオスに出会うことができ、移動しながらもしばらくの間、その姿を見せてくれました。ただ距離があったことからしばらく見ていましたが、なかなか動きがなかったことから一旦、休憩をはさんで移動することにしました。ここでは鉄塔に止まっているサシバのオスが見られ、振り返るとブッポウソウのつがいと思われる2羽な仲良く止まっていました。少しずつ接近しながら観察することはできましたが、この時間帯は逆光になることからさらに歩いて順光側から観察できる場所まで移動し、あらためて観察することにしました。ここではさらに2羽、そして眼下にもブッポウソウがやってきては飛び、最も美しく見える翼にあるライトブルーの斑を見ることができました。そして最後はようやく順光側から観察することができましたがやや距離があったことから、翌日に再度チャレンジすることにして宿に向かいました。到着後は一旦お部屋に入っていただいてから夕食をいただき、その後は外に出てヨタカの観察をしてみました。まだまだ薄明るかったことから期待していませんでしたが、早々にヨタカの声が響き、その後も声は聞こえましたが接近する様子はなく、かなり肌寒くなった20:00にこの日の探鳥を終えました。

28日、この日は早朝から快晴の中、早朝に出発してブッポウソウを見に行くことにしました。外に出ると鳥たちのコーラスが聞こえたため周囲を見てみると、杉の木のてっぺんに止まって朗々とさえずっているクロツグミ、そして枯れ木でさえずっているオオルリを見ることができました。現地に到着するとブッポウソウの姿はありましたが、この日も見え方が今一つで、なかなかその姿をじっくり見ることができませんでした。そのため少々場所を変えてみるとブナ林の中からブッポウソウの声が聞こえ、見ていると2羽のブッポウソウが飛び回り始めたことから、翼にあるライトブルーの斑が見られ、木に止まってはまた飛び、そしてまた木に止まるといった行動を繰り返してくれました。ブッポウソウは木に止まっていても美しいのですが、やはり飛翔形を見ていただきたかったので良い時間になりました。探鳥後は一旦宿に戻って朝食をいただき、その後は再度、ブッポウソウを見に行ってみました。この時間はブッポウソウはブナ林の中を飛ぶ姿が見られたのみでしたが、遠くからアカショウビンの涼しげなさえずりが聞こえ、枯れ木にはアオゲラが止まってくれました。その後は休憩をとってからチゴモズを探してみることにしました。途中のポイントでバスを降りると、ここではチゴモズの姿はなかったものの、遠くからアカショウビンのさえずりが聞こえ、飛んできたイカルが松の木に止まりました。また周辺からノジコのさえずりが聞こえたことから探してみると、低木に止まってさえずる姿、また桐の木に止まってさえずる姿などを見ることができました。その後は前日にチゴモズを見た場所に行ってみることにしました。バスを降りるとホトトギス、カッコウのさえずりが聞こえ賑やかな感じでした。周囲を見ると遠くの杉の木の梢にはブッポウソウが止まっていて、フライングキャッチをしているのか、飛び立っては戻り、また飛び立っては戻りといった行動を繰り返していました。また周囲ではこの日もノジコのさえずりが聞こえ、木に止まったり草に止まったりしてさえずっている姿を見ることができました。そうこうしているうちに昨日と同じ杉の木に止まって鳴いているチゴモズのオスが見られ、のんびりと羽繕いをしている姿を見ることができました。ただとにかく距離があったことからしばらく待っていると、さっと飛び立ち、さらに遠くの杉の木に止まったことから歩いて接近してみることにしました。この個体はそれでも逃げることなく木に止まっていましたが、いつの間にか飛び立って姿を消してしまいました。ただ周囲から声が聞こえたことからさらに待っていると、鳴きながら目の前の木に止まり、その後は電線に止まってその姿をじっくりと見せてくれました。その後は再び姿を消してしまったものの、今度はいつの間にか後方の低木に止まりながら餌を探していたことから、思わぬ形でじっくりとその姿を見ることができました。ただ気が付くとすでに13:00近くになっていたことから各自昼食をとっていただき、残った20分ほどは散策してこの日の探鳥を終えました。

今回は幸いにも概ね良い天候の中で探鳥することができました。主役のブッポウソウはやや動きが悪く見え方としては良くはなかったですが、止まっている姿に加え、飛翔する美しい姿を見ることができました。チゴモズは高木に止まっているケースが多くかなり苦労しましたが、最後の最後にようやく良い距離感で見ることができ、独特の声もたっぷり聞くことができました。ほかにも当地を代表するノジコもレモンイエローの美しい姿とさえずりを堪能することができ、オオルリ、クロツグミ、イカル、アオゲラ、サシバなどが見られ、声だけでしたがアカショウビンやヨタカも確認できました。今後も当地ののどかな山村風景と人の営み、そして野鳥たちの営みが保たれるようご協力ください。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

ノジコ 撮影:小林圭一郎様

 

ブッポウソウ 撮影:板谷喜人様

 

サシバ 撮影:小林圭一郎様

 

チゴモズ 撮影:板谷喜人様

 

チゴモズ 撮影:小林圭一郎様

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