【ツアー報告】固有種と渡りの鳥たち 春の奄美大島 2022年4月1日~3日

(写真:ルリカケス 撮影:宅間保隆様)

1日、奄美空港までの航空機は順調。天候はくもり。定刻通りに全員集合し出発する。奄美大島ツアーの第一日目は春の渡り鳥とシギ・チドリの観察だ。最初の広い芝生上にはコチドリ1羽とふつうのハクセキレイがたったの2羽だけ。当てが外れてしまった。常連のムネアカタヒバリやツバメチドリも居ない。こんなことは初めてだ。気を取り直して移動する。今回初めてモクマオウの林中を歩いてみたが、川にセイタカシギとタカブシギのみでやや寂しかった。次の場所ではヘラサギと夏羽のクロツラヘラサギの小群をゲット。その他シギ・チドリ類を観察した。その後はコムクドリとムクドリの群れに遭遇するも他のムクドリ類には出会えず。再度訪問した漁港では芝生上で何とか綺麗なホオジロハクセキレイの雌雄を観察した。初日はここでタイムアップ。奄美の初日はやや煮え切らない気持ちでホテルに向かった。

2日、早朝にホテルを出発、今回初めて行く林道はホテルからはアクセス良く約30分弱の近さ。まだ暗いうちに現地到着。バスに乗車したままゆっくりと林道を登っていく。道路真ん中にアマミヤマシギが突然ライトに照らされ流石に驚いた様子で飛びたつ。ある程度進んで全員車外に降りる。早速オオトラツグミの囀りが聞こえてきて次第に数が増していく。リュウキュウコノハズクも数羽鳴いている。空が白み始めるとアカヒゲの囀りがあちこちから聞こえ始めた。前方の暗がりガードレールの上にアカヒゲがとまるがすぐに地上に降り林の中に消えてしまった。更に進むと崖上部斜面の松にオーストンオオアカゲラが止まる姿を見つける。よく見えるのだが光量が足らずかなり黒っぽい。これも直ぐに背後の林に入っていった。ルリカケスの声はよく聞こえるが、姿はチラチラと見える程度。心ゆくまでじっくりと観察とまでは至らなかった。ホテルに戻り朝食をとり再出発。今日は大島最西部までの長距離移動だ。先ず海岸をゆっくりと徒歩で回る。学校の広いグラウンドには何も居らず、海にはダイサギの群れが休み、オオバンが浮いている。他にはリュウキュウツバメ、アマサギ、サシバを観察して終了。これだけ少ないのも初めてだ。渡り鳥の観察にはタイミングも重要だ。直ぐに次の目的地を目指す。グラウンドで美しいホオジロハクセキレイ、タイワンハクセキレイ、夏羽のムネアカタヒバリを観察。桜並木ではシロハラ、アカハラ、マミチャジナイ等の大型ツグミ類を観察し漸く心が満たされていく。昼食中お客様の1人からギンムクドリ発見情報。ツミに飛ばされたらしい。コムクドリの群中を粘って探し結局数名様が赤い嘴の美しい雄を見ることができた。次にこの日最後の探鳥地を訪問。ここは昨年のツアー時に全員でルリカケス、オオトラツグミ、オーストンオオアカゲラを観察できた幸運の場所。到着直後は林が非常に静かだったが、程なくルリカケスが大木の葉陰を飛び回る姿が散見され始めた。かなり粘るも最後までゆっくり観察とまでは至らず、またオーストンオオアカゲラは遠くのドラミングを聞いたのみでこの日の予定を終了した。

3日、朝から雨模様。一日降ったり止んだりの予報。ホテルを早朝に出発。昨日と同じ林道へ向かう。オオトラツグミは盛んに囀っている。リュウキュウコノハズクもよく鳴いている。56羽のルリカケスが騒ぎながら飛び回る。オオアカゲラ、アカヒゲも出現するものの全員に行き渡る様には姿を見せてくれない。終盤にリュウキュウキビタキの囀りを確認できたのは幸運だった。ホテルに戻り朝食後は水田に向かう。今回のツアー唯一の水田地帯、シギ・チドリなど渡りの鳥を狙う。コースに入って直ぐ、ハシビロガモ、オナガガモ、コガモなど本ツアー初めてのカモ類。他にもアマサギ、タシギ、シロハラクイナ、マミジロタヒバリ、ムネアカタヒバリなどが一気に出現。その後、セイタカシギ、タカブシギ、バン、ハヤブサなど新リスト種を確認した。ここでタイムアップとなり鶏飯の昼食。食後、再々度漁港を覗くも何も入っておらず、今回の奄美ツアーを終了した。奄美の固有種と渡り鳥を見る今回のツアー。渡り鳥はまずまずだったものの、固有種の美しさを充分にとまではいかず、その辺りが心残りだった。最後になりますが、新型コロナウィルス禍の依然厳しい状況の中、ご参加いただいた皆様には心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

波多野邦彦

ギンムクドリ 撮影:宅間保隆様

 

リュウキュウサンショウクイ 撮影:宅間保隆様

 

アマサギ 撮影:宅間保隆様

 

セッカ 撮影:宅間保隆様

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