【ツアー報告】珍鳥が渡る!春の与那国島 2016年4月1日~4日

(写真:ヤツガシラ 撮影:石田光正様)

いよいよ春の渡りが南西諸島から始まる季節です。八重山3点セットと渡りの鳥が楽しめる「石垣島と西表島」に続き、さらに珍鳥出現度が高く、はずれが少ない春の定番、与那国島ツアーの出発です。

4月1日、この日は乗り継ぎの関係からまずは石垣島に向い、午後からの僅かな探鳥時間ではありますが島内探鳥を楽しみます。まずは石垣島で絶対に外せないカンムリワシを探しに行きましたが、そこはさすがに石垣島です。川平に向う途中の畑で餌を探す個体をじっくりと観察することができました。続いてムラサキサギを探しましたが、なかなか出会うことができず、結局は名倉周辺の水田で飛翔する姿を見る機会に恵まれたのみでした。その後はトイレ休憩を挟んで島内に滞在しているカタグロトビを探しに行きました。石垣島は思った以上に広く、適当に走り回ってピンポイントで鳥を探すことはできないですが、島内在住のバードウォッチャーからリアルタイムの情報が入るため毎回助かっています。この日も到着すると樹上に佇むカタグロトビを発見することができ、観察していると2個体が揃った状況で観察することができました。その後は夕暮れ時に合わせて複数個所でズグロミゾゴイを探しましたが残念ながら出会うことができませんでした。

4月2日、06:40 からホテルの近くの公園を歩き、夏羽に換羽した3羽のムネアカタヒバリを観察することができました。朝食後は石垣空港に移動していよいよ与那国島に向いました。到着後は一旦ホテルに向かい、ロビーをお借りして観察機材の準備をして探鳥を開始しました。ただ、たまたまホテル周辺のクワの実にムクドリ類が集まっており、いきなりギンムクドリ、カラムクドリ、ホシムクドリ、コムクドリ、ムクドリの5種を観察することができました。その後はオオチドリが見られている場所に向かい、3羽のオオチドリを観察することができました。中にはほぼ夏羽といっても良い個体が含まれ、これぞ春の与那国島といった感じでした。その後は久部良の水田に向かい、10羽ほどのセイタカシギに混じっているタカブシギ、ツルシギが見られました。久部良の池ではタゲリ、シロチドリ、コガモ、キンクロハジロ、空港近くのサトウキビ畑の中にある溜池ではオナガガモ、ハシビロガモ、ヒドリガモ、コガモに混じり、美しい夏羽のシマアジのオス個体が見られました。その後は比川でムナグロ、コチドリ、タカブシギ、アカアシシギ、オジロトウネンが見られ、畦に沿って歩く冬羽のアカガシラサギの姿もありました。そして帰り際にオオチドリが見られた場所に行くと、渡ってきたばかりと思われる30羽ほどのツバメチドリの姿がありました。

4月3日、前日にヤツガシラが見られていたということから06:00に ホテルを出発して探しにいきましたが残念ながら出会うことができず、前日見た個体と同個体と思われるタゲリが佇んでいるのみでした。少々時間があったことからオオチドリが見られた場所に寄ってみると1羽増えて4羽になっていました。朝食後はまずホテル前でギンムクドリ、カラムクドリ、アカハラ、シロハラなどを観察し、ホテル脇にある水田でアマサギ、チュウサギ、コサギ、セイタカシギなどを観察した後は前日にオオノスリが見られた場所に向いました。到着してすぐに岩場から飛び立ったオオノスリが飛翔し、我々の真上を飛翔したり、再び岩場に止まった姿を観察することができました。その後は日本最西端の碑を見るために西崎を訪れ、ちょっとした観光を楽しみました。観光の後は探鳥モードに戻り、再び比川でタカブシギ、セイタカシギ、森林公園ではサシバ、一旦昼食をとった後は祖納の畑地でマミジロタヒバリ、そして再チャレンジとなった久部良でようやくヤツガシラに出会うことができました。ヤツガシラは警戒心が薄い個体が多く、この日出会った個体も盛んに餌を採る姿を至近距離からじっくりと観察することができました。その後は田原の水田でアオアシシギ、祖納の海岸の岩礁でムナグロの群れ、ホテル近くの水田ではサギ類を襲うハヤブサの姿を観察して探鳥を終了しました。

4月4日、06:00にホテルを出発して田原にリュウキュウコノハズクの声を聞きに出かけました。西表島、宮古島ではその姿を見る機会がありましたが、与那国島ではその姿を見ることは稀で、暗闇から聞こえてくる声を聞くのみでした。その後は小雨が降り出したため一時バスにて待機し、再度オオチドリが見られた場所に行くと相変わらずオオチドリとツバメチドリの姿があり、最後はホテル前にて電線に並ぶギンムクドリ、カラムクドリ、ムクドリ、クワの実に集まるシロハラ、アカハラを観察してツアーを終了しました。

春の渡りの始まりを告げる南西諸島ですが、石垣島、西表島では渡り鳥だけでなく固有種が見られます。一方、与那国島は固有種には期待できないものの、より珍鳥度が高い種に期待できます。今回もヤツガシラ、オオチドリ、オオノスリ、シマアジ、アカガシラサギ、ツバメチドリ、ギンムクドリ、カラムクドリ、ホシムクドリ、マミジロタヒバリ、石垣島ではムネアカタヒバリ、そしてカタグロトビにも出会い、また珍鳥ではありませんが、美しいほぼ夏羽のアカアシシギやオジロトウネン、ツルシギも観察することができました。渡り鳥の観察は天気を含めたタイミングも重要で、やや当たり外れがありますが、与那国島は大きなハズレがない印象があります。またの機会にお出かけいただければ幸です。この度はお疲れ様でした。

石田光史

オオノスリ 撮影:石田光正様

オオノスリ 撮影:石田光正様

 

オオチドリ 撮影:石田光正様

オオチドリ 撮影:石田光正様

 

ツバメチドリ 撮影:石田光正様

ツバメチドリ 撮影:石田光正様

 

カタグロトビ 撮影:石田光正様

カタグロトビ 撮影:石田光正様

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