【ツアー報告】鵡川・大沼・遊楽部 冬の道南めぐり 2023年1月14日~16日

(写真:コクガン 撮影:山尾文明様)

冬の北海道といえばバードウォッチャーならば一度は訪れたい憧れの探鳥地でしょう。特に道東エリアは人気が高いですが、どちらかというと大型の鳥種が中心です。一方、この道南は冬の小鳥類、猛禽類、カモ類、カモメ類と冬の北海道としては比較的さまざまな種が観察できることが最大の特長で、オオワシやオジロワシ、そしてほかのツアーでは出会えないコクガンが毎回見られています。ただ道東に比べて道南は冬に訪れる探鳥地の中でもとにかく積雪量が多い探鳥地で、毎回運行がスムーズに行くかどうか心配になるほどです。今回は一週間前の時点ではほとんど積雪がないという連絡をいただいていましたが14日からは雪の予報が出ていました。

14日、早朝から曇り空で今にも雨が落ちてきそうな羽田空港に予定通りご集合いただき、健康チェックシートの回収、そしてこの日の予定をお伝えした後はひとまず千歳空港に向いました。到着後は現地集合のお客様と合流し、観察機材の準備をしてから出発しました。この日は探鳥地を追加したことから探鳥時間確保の意味からも移動中に昼食を済ませていただくことにしました。到着時は幸いにも空は曇りから晴れへと変わってきていました。駐車場にいても小鳥類の動きが活発なのがわかるくらい賑やかで、ナナカマドの真っ赤な実にはツグミ、カワラヒワ、シメがやってきていて、特にツグミの数が多く、まるで春先の渡り期のようでした。歩くと愛想の良いハシブトガラ、シロハラゴジュウカラ、シジュウカラ、ヤマガラ、コゲラなどがやってきて楽しませてくれ、最後に再度、ツグミの群れを丁寧に見てみましたが、別の種が混じっている様子はなく、その後は次のポイントに向かいました。ここではいつもよりも凍っているエリアが広く、凍った湖面にはオジロワシが降りていて、かなり遠くにはオオワシの姿もありました。凍っていないわずかな湖面にはヨシガモ、オカヨシガモ、マガモ、ヒドリガモの姿があり、オオハクチョウも数羽、羽を休めていました。その後は再び空が曇ってくる中、移動しましたが、途中にあるポイントにも立ち寄ってみました。ここではなぜか苫小牧周辺でよく見られているカササギの姿を探してみました。すると遠くを飛んでいるカササギがいたことから行ってみましたが残念ながら姿がありませんでした。ただ戻る途中には電線に止まっているカササギがいたことから望遠鏡を使ってじっくり観察することができ、さらには枯れ木に止まる2羽も見ることができました。一見すると地味ながら濃紺に輝くような羽が印象的でした。やや時間が押してしまいましたが、その後はこの日最後の探鳥地に向かいました。まずはトイレに寄り、それからまずは漁港に行ってみました。この日はホオジロガモ、クロガモの姿が目立ち、スズガモ、ホシハジロ、カワアイサの姿もありました。するとスズガモの中にコスズガモが混じっているとのことで探してみると、なかなか難しかったですがそれとわかる個体をなんとか探すことができました。そして最後は草原に向かいましたが、途中にある砂浜では魚を捕らえたオジロワシが佇み、しばらく見ていると結局5羽のオジロワシが入れ代わり立ち代わりやってきて姿を見せてくれました。薄暗くなってきた草原ではこれといった種の出現はなく、遠くでホバリングしているノスリを見てこの日の探鳥を終えました。

15日、ホテル周辺は例年に比べるとかなり積雪が少なく、それほどの寒さも感じないまま朝食後に出発しました。空はどんよりとしていて小雪が落ちてはいましたが、路面がしっかり見えている点は過去にあまり経験のないことでした。途中にあるパーキングエリアでは青空も見えはじめ安堵しましたが、到着した現地は怪しげな黒い雲がかかっていました。まずは上流に向けて走ってみましたが、ここ数年はワシ類の数が少なく、この日もほとんど姿はありませんでした。ただ途中のポイントでバスを降りると雪景色の中の川面にカワガラスの姿があり、しばらく見ていると数羽のカワガラスが現れて追いかけっこをしていました。すると突然、川下からヤマセミが飛んできて枯れ木に止まりました。久しぶりにじっくりと見たヤマセミに感激していると、ヤマセミは飛び立って我々の前を悠々と飛んで川上に去って行ったのでした。その後は一旦、トイレ休憩を挟んで別のポイントに向かいました。ここではようやく枯れ木に止まっている美しい成鳥のオオワシ、そして亜成鳥のオオワシをじっくり堪能することができ、どこから飛んできたのかハイタカがやってきて枯れ木に止まりました。ここ数年は積雪の多さから河口に行くことを断念していましたが、この日はなんとか行けるだろうということで行ってみました。河口ではオオセグロカモメ、カモメの群れが右往左往し、よく見るとその中にはシロカモメ、ワシカモメの姿もあり、海上では飛翔するビロードキンクロが見られました。その後はさらに函館方面に南下し、途中にある道の駅で昼食の時間としました。この頃からは再び雪の勢いが増してきてしまいましたが、時間があったことから園内を歩いてみました。ここにはナナカマドやヤドリギ、松の木といった野鳥が好む環境が揃っているため期待していると、ナナカマドにはツグミ、シメの姿があり、しばらく見ていると「ヒー、ヒー」というレンジャク類の声が聞こえてきました。ほどなくしてレンジャク類の群れは我々の頭上を旋回飛翔しては木に止まるといった行動を繰り返し、ようやく止まったところを望遠鏡で観察することができました。途中で群れが分かれてしまったことは残念でしたが、30羽ほどのヒレンジャクを見る幸運がありました。その後は漁港とめぐり、漁港内ではホオジロガモ、スズガモ、ハジロカイツブリ、間近に群れるオオセグロカモメ、ワシカモメを観察してから林のあるポイントに行ってみました。ここでもかなりに雪が降る中、ツグミの群れが目立ちナナカマドの実をせっせと食べていました。その後は周辺が薄暗くなる中、道の駅で休憩をとってからホテルに向かいました。

16日、この日は昨日からの雪のため外を見るとかなりの積雪で早くも除雪作業が始まっていました。ただ朝食後の出発時には小雪になっていたことから、まずはシマエナガを探して林を歩いてみました。シジュウカラ、ヤマガラは元気に飛び回り、ハシブトガラ、シロハラゴジュウカラ、そしてアカゲラも姿を見せてはくれましたが残念ながらシマエナガの姿はなく、一旦、海岸に向かいました。途中にある場所も良いポイントのためバスを止めて周辺を歩いてみましたがシマエナガの雰囲気はなく。ただしハシブトガラ、シロハラゴジュウカラが間近にやってきて動き回り、さらにはシジュウカラ、ヤマガラ、コゲラ、そして複数のアカゲラ、最後にはキバシリもやってきて姿を見せてくれました。その後はトイレに立ち寄ってから周辺の岩礁を見ながらコクガンを探しました。毎年のように見られている場所では残念ながらその姿はなく、そのためさらに南下してみましたがここでもその姿はありませんでした。そのためコクガン探しは一旦諦め、再び大沼まで戻ってシマエナガを探してみました。再び訪れてみた場所では相変わらずカラ類が見られ、遠くからヤマゲラの笛のような声は聞こえたもののシマエナガは見られず、その後はホテル周辺まで戻りましたが、ここでもヤマガラ、シジュウカラ、マガモ、カルガモが見られたのみでした。そのため悩みましたが両方追って両方見られないのはよくないと思い、シマエナガは諦めやや時間を早めて別の漁港に行ってみることにしました。すると漁港内にはコクガンの姿がなかったものの、岩礁海岸には30羽ほどのコクガンが群れていました。ただなかなかバスを止められる場所がなく苦戦しましたが、こういう時に慣れていらっしゃるドライバーさんだとあの手この手を考えてくださり、うまくバスを降りて観察することができました。ほかにもシノリガモ、ホオジロガモ、オオセグロカモメ、セグロカモメ、ウミネコなども見られ、最後は時間ギリギリになってしまったものの無事に函館空港に到着することができました。

さて、今回は晴れと曇りのエリアが交互にやってきたり、小雪から大変な積雪に至るまで道南らしいめまぐるしい天候の変化の中での探鳥となりました。期待していたシマエナガに出会うことができず残念ではありましたが、苫小牧では定番のハシブトガラやシロハラゴジュウカラ、カササギ、そして思わぬコスズガモとの出会いがありました。遊楽部ではオオワシ、オジロワシのほか、ヤマセミ、ハイタカ、カワガラス、またワシカモメ、シロカモメ、ビロードキンクロ、ホオジロガモ、群れで飛ぶヒレンジャクも見事でした。大沼周辺では苦労しましたが最後の最後でコクガンの群れを観察することができました。一方、一旦は終息傾向にあったコロナウイルスですが、再び感染拡大が広がりはじめてしまいました。今後も同行ガイドは定期的なPCR検査の実施にて陰性確認をし、ツアーに関しては基本的な感染対策の実施、また皆様には参加前およびツアー中の健康観察データの提出にご協力いただくなどご苦労をおかけいたしますがどうかご理解ください。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

シノリガモ 撮影:山尾文明様

 

ヤマセミ 撮影:酒井知子様

 

オオワシ 撮影:山尾文明様

 

コスズガモ(右)撮影:酒井知子様

 

ヒレンジャク 撮影:山尾文明様

 

ヤマセミ 撮影:酒井知子様

 

キバシリ 撮影:山尾文明様

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