【ツアー報告】クマゲラを求めて!初夏の北海道 2017年6月9日~13日(フェリープラン)6月11日~12日(飛行機プラン)

(写真:クマゲラ 撮影:須崎明男様)

日本ではほぼ北海道でしか観察できない大型のキツツキ類、クマゲラ。この鳥を短期間で観察することを主な目的として企画されたツアー。とは言っても出会うことすら稀な鳥のため、観察するには現地での下見が重要です。そのためこのツアーでは現地在住のガイドさんにお願いし下見を実施していただいています。今回もクマゲラ探しはかなり難航したようでしたが直前になってようやく良い情報が現地からもたらされました。ちょうど海鳥観察も楽しめる時期であることから今回もフェリープランを設定し、私はフェリープランのお客様と一足先に出発しました。

 9日、リニューアルされた大洗フェリーターミナルに予定通り22:30にご集合いただきツアーの日程の確認、資料の配布、そして翌日の案内をした後乗船し、翌日に備えて早めに就寝しました。

10日、過去のデータから07:00頃の金華山沖手前から海鳥観察を開始しました。天候は良く風もない穏やかな朝でデッキ上の温度計は18でした。この時期はこの航路のベストシーズンらしく、早くもオオミズナギドリ、ハシボソミズナギドリ、コアホウドリ、クロアシアホウドリがほとんど途切れることなく飛んでいました。ただ08:00頃からは気温が高いせいか霧が出始め1時間ほど視界不良で観察を中断しました。09:15頃にはようやく視界が開けてきて09:45にはシロエリオオハムとウトウが水面で採食行動をしていました。10:00にはアマツバメが飛び、10:20にはクロアシアホウドリが着水していました。10:30にはアカアシミズナギドリが見られ、10:40頃からはいきなり風が冷たくなってきて海鳥の出現もなくなってしまいました。11:30頃からはコンスタントにクロアシアホウドリが出現しましたが、12:30からは風が強まってまた海鳥の出現が止まってしまいました。14:10頃には晴れ間が出ると共に穏やかになり、コアホウドリが増え始め着水個体が多く見られました。そしてその中に頭部に黄色みがあるアホウドリの姿があり、15:30には今度はアホウドリの亜成長が飛翔しました。16:30からはハシボソミズナギドリの小規模の群れが見られ、17:05にはマッコウクジラの噴気が上がりました。17:00を過ぎるとミズナギドリはほぼフルマカモメに変わり、17:50には潜水のため尾ビレを高く上げるマッコウクジラの姿が見られました。全体に海がベタ凪だったため着水個体が多い航路探鳥でした。

11日、朝食後はややはっきりしない天候の中、フェリープランのお客様と市内の公園に向かいました。バスを降りるとエゾセンニュウやキビタキの声が聞こえ、林に入ると梢でさえずるアカハラの姿がありました。過去にクマゲラを見たことがある場所まで行くと軽快に歌うキビタキ、クロツグミの姿がありました。時間が迫ってきたことから引き返して歩いているとなんとクマゲラの声が聞こえてきました。そのため急いで声の方向に行ってみると枯れ木に止まって鳴くクマゲラの姿がありました。わずかな時間でしたがひとまず全員でその姿を見ることができ、早朝からいきなり驚きの出来事がありました。その後はアオバズクの姿を見る幸運があったほか、愛想の良いハシブトガラ、ゴジュウカラ、ヤマガラ、アカゲラなどを観察し、最後はエゾリスの可愛らしい姿を堪能することもできました。その後は飛行機プランのお客様、そして現地ガイドさんと合流するため空港に向かいました。合流後はこのツアーのもう一つの目玉であるアカモズを探しに向かいました。到着後は一旦トイレに寄ってからポイントに向かいました。道を歩いて行くと草地にノビタキの姿があり、電線にコムクドリが止まっていました。また周囲からはホオアカのさえずりが聞かれ、間近にその姿を見ることもできました。そしてようやく木に止まっては地面に降りるという行動を繰り返すアカモズの姿を見つけることができ、しばらく観察していると2個体が現れました。モズに比べると細身で白い腹部と赤みが強い頭部から背中のコントラストが美しい印象でした。また帰り道ではさえずるオオジュリンの姿や、看板に止まっているノゴマの姿も見ることができました。一旦場所を変えて観察することにして移動すると、こちらでもアカモズの姿を見ることができ、距離はあるもののじっと止まっていたため望遠鏡を使ってじっくり観察することができました。ただここで雨が降り始め、逃げるようにバスに移動しました。その後はここ数日よくクマゲラが観察されているという場所に向かうことにしました。到着後は1時間ほど待ってみましたが残念ながらクマゲラの気配はなく、繁殖中のアオサギやシジュウカラ、遠くから聞こえるヤマゲラの笛のような声を聞いてホテルに向かいました。

12日、この日は探鳥ポイントがかなり遠いことから早朝にホテルを出ました。途中の休憩では澄んだ青空を背景に群れ飛ぶイワツバメを観察し、さらに進んだ道の駅で最後の休憩をとってから探鳥ポイントに向かいました。現場が遠いことなどを考慮すると観察時間は2時間弱。この時間の中でクマゲラの姿を見ることができるのかと心配していましたが、到着直後に早くもオス個体の姿を見ることができ、さらに続けざまにメス個体が見られました。さすがに時間切れかと思われましたが、その後、遠くからクマゲラの声が連続して聞かれ、待っていると朽ち木にやってきたメス個体がしばらくの間、朽ち木をつついて餌を探すという貴重なシーンを観察することができました。またほかにもカケス、ゴジュウカラ、キビタキ、キバシリなどの姿を見ることができました。現地は気温10とこの時期とは思えないほどの寒さで驚かされました。移動時間が長く、観察時間が短いという条件の1日でしたが、なんとか目的を果たすことができました。

13日、帰りの航路は早朝の海域が重要であることから04:00には起床して04:30から観察を開始しました。海はやはり穏やかでベタ凪で風が弱かったため寒さも厳しくはありませんでした。早速、コアホウドリ、クロアシアホウドリ、ハシボソミズナギドリが飛び、04:50にはトウゾクカモメの姿がありました。05:15には海鳥たちが朝日を浴び始め、05:20頃からはキタオットセイの姿が目立つと共に着水しているオオミズナギドリの姿が目立ちました。06:00には2羽のシロエリオオハムが飛び、06:10頃は水しぶきを上げるイシイルカの姿が目立ちました。そして07:30にようやく期待のオオトウゾクカモメが遠くを飛び、観察しているとみるみるうちに船体に近づき、最後は上空を通過していき、見事なシーンを見ることができました。07:55にはアカアシミズナギドリが飛び、08:10にはハシボソミズナギドリの群れに混じるアカアシミズナギドリの姿がありました。11:00には着水していた10羽ほどのクロアシアホウドリが一斉に舞い、11:35にも再びクロアシアホウドリが数羽着水していました。12:00にはオオミズナギドリの群れが海面から舞い上がり、12:15にはカマイルカと共に採食行動するオオミズナギドリの群れが見られました。13:00にはクロアシアホウドリの群れがまたまた現れ、13:10にはカモメ類やオオミズナギドリ、そして数十羽のクロアシアホウドリを引き連れるように航行する漁船が通り過ぎていきました。その後は所々で採食行動するオオオミズナギドリの群れを見ながら16:00に観察を終了しました。

 今回はまず、主な目的であったアカモズとクマゲラの姿を見ることができ幸運でした。短時間ながらこれらの鳥たちに出会えたことはやはり現地ガイドさんの力が大きく、心から感謝いたします。ただ、たまたま探鳥地までの距離があったことからほかの探鳥地に立ち寄る時間が確保できませんでした。ただ今回はクマゲラとの出会いを最優先すること、また何度も下見をしてくださった現地ガイドさんのご努力にお応えしたいという思いから現地に行くという判断をいたしました。長時間の移動などご苦労をおかけしました。この度は大変お疲れ様でした。

 石田光史

アカモズ 撮影:須崎明男様

 

アオバズク 撮影:須崎明男様

 

クロアシアホウドリ 撮影:須崎明男様

 

コアホウドリ 撮影:須崎明男様

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