【ツアー報告】冬の信州でイスカに会いたい! 2023年2月2日~3日

(写真:イスカ 撮影:杉田秀雄様)

人気のある赤い鳥の中でも特徴的な嘴を持っているイスカは日本国内では冬鳥とされていますが夏季にも見ることがあり、少々謎がある鳥でもあります。また毎冬毎冬飛来するわけではないためなかなか出会いのチャンスがないのも事実で、出会うことはなかなか難しいのが現実です。イスカは特にマツの種子を好んで食べるため針葉樹の林を探すことが重要で、松かさをこじ開けやすいよう嘴が互い違いになっていることが最大の特徴です。この嘴を使ってマツなどの針葉樹の種子をついばんで食べるためこういった採食シーンが見られればとも思いツアーを企画しています。またツアーではここ数年、皆様からのリクエストが増えているシングル部屋を利用したプランにしています。今期は大好評をいただき1月にも2本催行することができ、この2月にも2本催行させていただくことになりました。今回は幸いにも両日共に天候には問題ないとの予報の中で出発することができました。

2日、このツアーは遠方からのご参加が可能になるよう、集合時間を通常よりもやや遅めの東京駅前09:00にしています。この日の東京都内は早朝から快晴で、ご集合も順調に完了したことから東京駅前を予定通りに出発して、ひとまず中央自動車道を走りました。バス車内ではいつものようにこのツアーで見られそうな鳥の解説やイスカの話などをしながら進め、途中、すっきりとした青空が広がるサービスエリアで休憩し、その後は車窓から頂に雪を冠した八ヶ岳を眺めながら進み、途中、やや風があったものの昼前には晴れ間が広がるサービスエリアに到着しました。このツアーでは当日の現地の気温、路面状況が今一つわからないことから現地到着直前のサービスエリアで時間を取り、ここで現地の状況を各自で判断していただき身支度などを整えていただいています。同時にちょうど時間がお昼ということで一緒に昼食の時間もとるようにしています。バスを降りると前回とは異なり、ある程度の積雪があるためか空気の冷たさを感じました。そのため着替えなどして装備を整えてから再度バスにて出発し探鳥ポイントに向かいました。まずは高速道路を降り現地に向かいました。途中、再度トイレ休憩を挟んでから現地に向かい、到着後はバスを降りて積雪により真っ白になっている舗装道を歩き出しました。展望台からはやや雲がかかってはいたものの諏訪湖と八ヶ岳を眺めることができ、さらに歩くと草地の中をゴソゴソと歩くキジのオスを見ることができました。さらに進むと道端で餌を採っているベニマシコがいたため順光側で待っていると真っ赤なオスが1羽、さらにメスが2羽がやってきて地面に降りたり、草の実についたりして意外なほどじっくりとその姿を楽しませてくれました。また観察しているとどこからともなくミヤマホオジロのオスがやってきて舗装道の上を歩きまわりながら餌を探していて、さらにはジョウビタキのメスもやってきて賑やかな状況になりました。さらに雪道を歩いていくと、この日もヤマガラ、ヒガラ、コガラが見られ、前回イスカの姿を見ることができた場所では少々時間をとってみることにしました。なかなか気配はなかったですが、ようやく2羽と思われるイスカが上空を飛び回り、そのうちの1羽がカラマツのてっぺんに止まってくれたため、なんとか望遠鏡で捉えることができましたが、わずかな時間で飛び去ってしまいました。そのためさらに時間を使って待っていると再びイスカが今度は松の木の中から飛び出してきててっぺんに止まったためようやくじっくりと観察することができました。ただなぜか出会えた個体は全部真っ赤なオス個体だったため1羽しかいないのかと思うほどでした。時間がきたことから来た道を引き返すと途中では斜面で餌を探すミヤマホオジロのオス2羽に再び出会うことができ、来るときにベニマシコを見た場所ではヌルデに集まってきているシロハラ、さらには再びベニマシコのオス、メス、そして最後はカラマツに止まるカワラヒワの小群を見てから一旦トイレ休憩の時間としました。その後はまだ時間があったことから別の場所を歩いてみました。ここもその昔、イスカやオオマシコで有名になった場所です。ただこの日は残念ながらイスカやオオマシコの気配はなく、ノイバラの実にやってきているホオジロ、ジョウビタキを見るのみでこの日の探鳥を終えました。

3日、この日は早朝から快晴。かなり冷え込む中、朝食後に出発して現地を目指し、トイレ休憩後は昨日と同じルートを歩いてみることにしました。やや踏み固められた雪道を進み、まずは展望台からの眺めを楽しみました。カラマツにはホオジロが止まり、さらに歩くと昨日、ベニマシコを見た場所では再びベニマシコ、ジョウビタキに出会うことができました。この日は昨日、イスカを見た場所がやはり当たりが良いだろうとのことで、そこで待ってみることにしました。途中、ハンノキに群れるコガラが見られ、現地に到着すると10羽ほどのマヒワの群れが飛び交っていました。この日も快晴無風で条件は良かったのですが、残念ながらイスカの気配はありませんでした。待っている間にはどこからやってきたのかカヤクグリが飛んできて松の木に止まり、相変わらず周辺からはヤマガラ、シジュウカラ、コガラ、ヒガラの声が聞こえていました。するとようやく松林の中からイスカの声が聞こえ、しばらく見ていると松林から飛び立った真っ赤なイスカのオスがてっぺんに出てきてくれました。そして時間がきたため道を戻ろうとした時にも同じ個体なのか、真っ赤なイスカのオスが針葉樹のてっぺんにしばらく止まってくれたことから比較的じっくりとその姿を見る機会に恵まれました。探鳥後は再びトイレ休憩をしてから山を下り、ひとまず昼食の時間をとった後は公園で探鳥をしました。この日の諏訪湖はほとんど凍結はしていなかったものの、周辺部は氷が張り、一部湖面が見えている場所にはカワアイサが群れていました。ここでは名物になっているミコアイサが驚くような密度で見られ、この日は50羽はいようかという数で見ることができ、ほかにも10羽ほどのメスを従えたホオジロガモのオスが見られ、黄色く色づいたホザキヤドリギの実になにかやってきていないかと見ながら進むと30羽ほどのコハクチョウの群れが見られ、その中に混じる1羽のマガンの姿もありました。また木に止まっていたノスリがハシブトガラスに追われて逃げ回り、最後は我々の頭上を飛翔してくれ、最後は再びミコアイサの群れと遠くにそびえる雪の八ヶ岳を眺めてこの日の探鳥を終えました。

この冬は冬鳥の渡来状況が比較的良いとのことで期待しての出発でしたが1月のツアーでは思ったような成果がなく残念でした。そのため今回はどうなることかと心配していましたが、数こそ少なかったもののなんとかイスカの真っ赤なオス個体に出会うことができ、比較的じっくりと見ることができ幸いでした。ただメス個体には出会うことができず、また群れでの観察機会もなく、オオマシコにも出会うことができませんでした。一方、真っ赤なベニマシコや黄色が鮮やかなミヤマホオジロもしっかり見られ、ルリビタキ、ジョウビタキ、そして諏訪湖畔ではミコアイサ、カワアイサの群れも印象的でした。この度はご参加いただきましてありがとうございました。今回出会えなかった種に関してはまたの機会にぜひまたチャレンジしていただけたらと思います。

石田光史

イスカ 撮影:亀田政弘様

 

ミヤマホオジロ 撮影:杉田秀雄様

 

ベニマシコ 撮影:亀田政弘様

 

ベニマシコ 撮影:杉田秀雄様

 

ミヤマホオジロ 撮影:亀田政弘様

 

カワアイサ 撮影:亀田政弘様

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