【ツアー報告】冬の信州でイスカに会いたい! 2020年1月28日~29日
(写真:イスカ 撮影:須崎明男様)
ここ数年、皆様からのリクエストが増えているシングル部屋を利用した1泊2日のバスツアー新シリーズ第二弾は赤い鳥として知られ、人気があるにも関わらず毎冬毎冬飛来するわけではないためなかなか出会いのチャンスがないイスカを求めて信州の森を訪れます。イスカは特にマツの種子を好んで食べるため針葉樹の林を探すことが重要です。また嘴が互い違いになっていることが最大の特徴でこの嘴を使ってマツなどの針葉樹の種子をついばんで食べます。それでなくても出会うことは難しいのですが、今回はたまたま前日に関東甲信越に雪予報が出てしまい、都内でも数センチの積雪があるかもしれないとの予報が出てしまい、当日がかなり心配になりました。
28日、都内は予報にあったような積雪はなく早朝は小雨模様でした。集合場所の東京駅前もどんよりとした曇り空から小雨が落ちる中、幸いにもトラブルはなくほぼ予定通り出発することができました。小雨模様の中でしたが、途中からはかなり見事な雪景色となり心配になるほどでした。そして休憩をとったサービスエリアでは15cmほどの積雪があり驚かされました。ただホテルに電話するとホテル周辺は積雪はほとんどないとのことで、この辺りが積雪のピークだったようでした。結局、山梨県に入った頃からは積雪は少なく、2度目の休憩に立ち寄ったサービスエリアでは強風ではありましたが晴れ間が見えてきていました。本来ならば現地まで行って昼食の時間をとる予定でしたが、現地の積雪の状況が不明のため、ここで少々早い昼食の時間としてそれから現地に向かうことにしました。半ば解けてきているものの積雪がある山道を走り、現地に到着すると幸いにも現地は曇り空から晴れ間が見えていました。風は吹いているものの早速、ヤマガラ、シジュウカラの群れがやってきてくれ、キクイタダキの姿もありました。ここからはイスカの姿を探して山道を歩きましたが、幸いにも10羽ほどのオオマシコの群れに出会うことができ、しばらくの間、ハギの実をついばむ様子を観察することができました。観察していると10羽ほどのイスカの群れが上空を飛翔してはくれましたが残念ながら木に止まることなく飛び去ってしまったことから、さらに道を進みました。ただここから先は深い霧のため視界がなく、そのためここまでとして引き返すことにしました。一旦バスまで戻った後は場所を変え、別の場所に向かいました。ここも同様に視界が悪かったですが、積雪が多かったことから小鳥たちが道端で餌を探しているようで、シジュウカラの群れやカシラダカの群れ、そしてシロハラ、ツグミ、ホオジロ、ジョウビタキが地上採食していました。また木々にはシメの群れの姿もありました。そして最後にもう一度最初の道に戻って途中まで歩き、しばらくの間イスカの登場を待ちましたが、残念ながらこの日はイスカの姿をじっくりと見る機会には恵まれませんでした。
29日、深夜にはかなりの雨が降ったようで早朝は各所に大きな水溜まりができていました。空は明るくなっている場所も見えましたが残念ながら小雨が降り、思ったような天候の回復はありませんでした。朝食後は早速ポイントに向かい、再び山道を走りましたが気温が高かったせいで道の凍結はなく、雪はほとんど解けていました。この日も霧が残る山道を歩き、まずはカシラダカの群れが出迎えてくれました。この日は昨日霧のため行くことができなかった奥の方まで歩いてみることにしました。この日も昨日とは違う場所でオオマシコの群れに出会い、さらに進むとオスばかり7羽のミヤマホオジロの群れに出会うこともでき、しばらくの間じっくりと観察することができました。さらに進むとまたまたオオマシコの群れに出会うことができ、見ていると地面を歩きながらかなり近くまでやってきてくれました。そして時間がきたため戻ろうかと思った時、この日は50羽はいるかというようなイスカの群れが飛来しましたが、やはり上空を旋回飛翔してどこかに去っていってしまいました。この頃からは空が見る見る青くなり出し、コンディションはまずまずだったためしばらく待ってみましたがイスカとの再会はなく、再び道を戻ることにしました。そして間もなく探鳥終了となる頃、ふと遠くの松の木を見ると真っ赤なオスのイスカが止まっている姿が見えました。ただ残念ながら飛んでしまいこれまでかと思いましたが幸いにも我々の真横の松の木に止まってくれたため望遠鏡を使って観察することができました。どうやらオスが3羽、メスが1羽の4羽の小さな群れで懸命に松ぼっくりをつついていて、最後はオスとメスが並んで止まってくれる幸運まであり、何とか最後の最後で良いシーンを見ることができました。さらに進むとヒガラ、コガラ、エナガの姿も見ることができ、気が付くと空は見事な快晴になっていました。その後は山を下り昼食の時間としました。この頃からは蒸し暑さを感じるほどの陽気になる中、まずは湖上に浮かんでいるミコアイサの群れを観察し、その後は水路まで移動して数十羽のミコアイサの群れ、ホオジロガモ、カワアイサなどを観察しました。さらには湖畔を歩いて行くと、愛想の良いジョウビタキのオスがしばらくの間その姿を見せてくれ、気が付くと周囲の木々には樹液を吸いにやってきたエナガの群れがやってきていました。また湖上に浮いているカンムリカイツブリを眺めていると対岸の木に止まる2羽のヒレンジャクの姿があったことから行ってみると、木の実をついばみながら移動するヒレンジャクの姿をじっくりと観察することができました。数こそ少ないですが、最後の最後に人気の冬鳥の姿も見ることができ、予定よりも少々早めに現地を出発しました。帰りは驚くような快晴の中を走り、美しい富士山の姿も楽しむことができました。
さて、初ツアーとなった今回はいきなりの積雪予報の中での出発となってしまいましたが、大きなトラブルなく無事出発できて何よりでした。主な目的だったイスカには簡単に出会えるとは思ってはいませんでしたが、その予想以上に苦労してしまいようやく最後の最後に出会いのチャンスがやってきてくれラッキーでした。またオオマシコもかなりの個体数を見ることができ、最後の最後にはたった2羽ながらもヒレンジャクにも出会うことができました。通常のツアーでは個室利用には別途料金をいただいておりますが、最初からシングル部屋利用で設定することにより比較的リーズナブルなツアーを提供することが可能です。もちろん天然温泉ではない、お食事が温泉宿に比べると少々簡素であるというデメリットはありますが、今後も状況を見ながらではありますがシングル部屋利用ツアーを増やしていく予定です。この度はご参加いただきましてありがとうございました。
石田光史