【ツアー報告】冬の信州でイスカに会いたい! 2023年2月4日~5日

(写真:イスカ 撮影:森久美子様)

人気のある赤い鳥の中でも特徴的な嘴を持っているイスカは日本国内では冬鳥とされていますが夏季にも見ることがあり、少々謎がある鳥でもあります。また毎冬毎冬飛来するわけではないためなかなか出会いのチャンスがないのも事実で、出会うことはなかなか難しいのが現実です。イスカは特にマツの種子を好んで食べるため針葉樹の林を探すことが重要で、松かさをこじ開けやすいよう嘴が互い違いになっていることが最大の特徴です。この嘴を使ってマツなどの針葉樹の種子をついばんで食べるためこういった採食シーンが見られればとも思いツアーを企画しています。またツアーではここ数年、皆様からのリクエストが増えているシングル部屋を利用したプランにしています。今期は大好評をいただき1月にも2本催行することができ、この2月にも2本催行させていただくことになりました。今回は前回同様にちょうど晴天無風の穏やかな陽気になるとのタイミングで出発することができました。

4日、このツアーは遠方からのご参加が可能になるよう、集合時間を通常よりもやや遅めの東京駅前09:00にしています。この日の東京都内は早朝から快晴で、ご集合も順調に完了したことから東京駅前を10分ほど早く出発して、ひとまず中央自動車道を走りました。バス車内ではいつものようにこのツアーで見られそうな鳥の解説やイスカの話などをしながら進め、途中、すっきりとした青空が広がるサービスエリアで休憩し、その後は車窓から頂に雪を冠した八ヶ岳を眺めながら進み、昼前には前回よりもさらに凍結した面積が大きくなった諏訪湖を眺めながらサービスエリアに到着しました。このツアーでは当日の現地の気温、路面状況が今一つわからないことから現地到着直前のサービスエリアで時間を取り、ここで現地の状況を各自で判断していただき身支度などを整えていただいています。同時にちょうど時間がお昼ということで一緒に昼食の時間もとるようにしています。バスを降りると前回とほぼ同様の積雪があり、風がないせいか思ったよりも寒さは厳しく感じませんでした。ひとまず昼食、機材の準備、着替えなどして装備を整えてから再度バスにて出発し探鳥ポイントに向かいました。まずは高速道路を降りポイントに向かいました。途中、再度トイレ休憩を挟んでから現地に向かい、到着後はバスを降りて積雪により真っ白になっている舗装道を歩き出しました。展望台からは諏訪湖と雪を冠した八ヶ岳を眺めることができ、さらに歩くと斜面から数羽のシロハラが飛び立っていきました。さらに歩くとカラマツにエナガ、コガラ、ヒガラ、ヤマガラが続々とやってきては賑やかに動き回っていました。ふと見ると道端の木の実にやってきたルリビタキのメスが雪の上を歩いていました。その後はしばらく歩いて前回、イスカを見た場所でしばらく時間を使ってみることにしました。周囲には驚くほどのカラ類の群れがやってきていて、コガラやヒガラは間近にやってきてはその姿を見せてくれ、この日はヤマガラ、シジュウカラ、さらにはゴジュウカラも見られました。そうこうしているうちにイスカの声が聞こえてきたため見てみるとカラマツのてっぺんに真っ赤なオスが止まっていました。残念ながらわずかな時間で飛び去ってしまいましたが、この日はイスカの動きが良いようで再び飛んできた真っ赤なオスがまたカラマツのてっぺんに止まってくれ、今度はじっとしていてくれたためようやく望遠鏡でじっくりと観察することができました。その後、一旦姿を消してしまい、時間も過ぎてしまったことから来た道を戻り始めると、今度はメスが飛んできて目の前の松の木に止まったため黄緑色のメス個体も見ることができました。さらに歩くと道端で餌を探している3羽のミヤマホオジロに出会うことができ、すべて美しいオス個体で驚きました。さらに歩くと今度は過去に何度も出会っているジョウビタキのメスが間近に何度も姿を見せてくれ、帰り間際には今度は雪原を歩き回るベニマシコのメスに出会い、しばらく見ていると美しい真っ赤なオスが間近に止まってくれ、真っ赤な姿を堪能する機会に恵まれました。ただ最後の最後に突然、クマタカが目線ほどの高さを飛翔する姿が見られ、驚きとともにこの日の探鳥を終えました。

5日、この日は早朝からかなりの冷え込みでしたが見事な快晴。朝食後に出発して現地を目指し、トイレ休憩後は昨日、イスカが見られた場所で時間を使ってみることにしました。雪道を歩いていくと上空を20羽ほどのヒレンジャクの群れが通過して驚かされました。間もなく到着するところでも同じ群れと思われるヒレンジャクの群れが目の前を飛んでいました。ひとまずイスカの気配に期待しましたがこの日はなかなか現れる気配がなく、カラマツに止まるイカル、そして木の実にやってきていたルリビタキのメスを見ながら過ごしました。ただこの日はなかなかイスカは現れてくれず、そうこうしているうちに今度はアオゲラがやってきてカラマツの木を登っていました。そしてそろそろ時間切れかと思った頃、松林の中から飛び出してきたイスカがようやく松の木のてっぺんに止まったため、ここでようやく真っ赤なオスに出会うことができ、一旦、松林に入ってしまったものの、再び松の木の上に止まってくれたため、今度はじっくりと見ることができましたが飛び去ってしまった後は再び見られることはありませんでした。時間がきたため来た道を戻ると、松林の中ではエナガの群れが飛び回り、ふいに現れたミヤマホオジロのオスが珍しく枯れ木に止まってくれました。探鳥後は再びトイレ休憩に立ち寄ってから山を下り、公園でひとまず昼食の時間をとった後、探鳥をしました。この日の諏訪湖はかなりの面積が凍結はしていて前回とは雰囲気がかなり異なっていました。一部湖面が見えている場所にはミコアイサ、キンクロハジロの姿があり、その後は名物にもなっているミコアイサが驚くような密度で見られる場所から観察しました。この日も50羽はいようかという数で見ることができ、ほかにも5羽ほどのメスを従えたホオジロガモのオスが見られ、遠くの湖面にはカワアイサの姿もありました。また、山でヒレンジャクが見られたことから黄色く色づいたホザキヤドリギの実にやってきていないかと期待しましたが残念ながらここではヒレンジャクの姿はありませんでした。

この冬は冬鳥の渡来状況が比較的良いとのことで期待しての出発でしたが1月のツアーでは思ったような成果がなく残念でした。そのため今回はどうなることかと心配していましたが、前回、なんとかイスカに出会うことができ、今回も数こそ少なかったですがイスカの真っ赤なオス、さらには黄緑色のメス個体にも出会うことができました。また真っ赤なベニマシコや黄色が鮮やかなミヤマホオジロ、さらにはクマタカの登場には驚かされました。またヒレンジャク、ルリビタキ、ジョウビタキ、アオゲラ、そして諏訪湖畔ではミコアイサ、カワアイサ、ホオジロガモも見ることができました。この度はご参加いただきましてありがとうございました。今回出会えなかった種に関してはまたの機会にぜひまたチャレンジしていただけたらと思います。

石田光史

イスカ 撮影:中村裕一様

 

イスカ 撮影:森久美子様

 

ベニマシコ 撮影:中村裕一様

 

ミヤマホオジロ 撮影:森久美子様

 

ホオジロガモ 撮影:中村裕一様

 

イスカ 撮影:森久美子様

 

ミコアイサ 撮影:中村裕一様

 

ベニマシコ 撮影:森久美子様

 

イスカ 撮影:中村裕一様

 

ホオジロガモ 撮影:森久美子様

関連記事

ページ上部へ戻る