【ツアー報告】大洗の海鳥と涸沼の猛禽類 2023年2月9日

(写真:シノリガモ 撮影:AM様)

平成27年にラムサール条約登録湿地となった茨城県の涸沼と海鳥たちが楽しめる大洗海岸をセットにした毎冬恒例の日帰りバスツアー。ここまでずっと涸沼の主役であったオオワシが残念ながら数年前から渡来しなくなってしまいやや残念ですが、代わって頭が黒い大陸型チュウヒが渡来するようになり新たな主役が現れました。また涸沼周辺の広大な畑地は猛禽類の宝庫であり、そこから僅かな場所にある大洗海岸はそれに負けることがない海鳥たちの宝庫です。このツアーでは涸沼と大洗海岸とそれに付随しているさまざまな環境を巡ることから、数ある日帰りバスツアーの中でも毎回観察種数が多くバリエーションが豊かなことが特長です。風が吹くと寒さがかなり厳しくなる環境をめぐるツアーではありますが、この日は幸いにも天気も良く穏やかな1日になるとのことでした。

9日、早朝は曇り空ながらも次第に晴れ間が増えだした東京駅前を予定通り08:30に出発してこの日はまず常磐自動車道を走って茨城県方面を目指しました。移動中のバス車内では今日見られそうな鳥の解説をしながら進め、途中にあるサービスエリアで観察機材準備をしていただいてから再度出発し、まずは涸沼の西端にある干拓地から探鳥をスタートしました。下見時にはミヤマガラスの群れが乱舞していましたがこの日は残念ながらその姿はなく、代わってハクチョウ類の群れが飛翔していました。干拓地内を走っているとオオハクチョウ、コハクチョウの群れが休んでいたためまずは観察し、周辺ではトラクターの後を追いかけるようにかなりの数のハクセキレイ、タヒバリが見られ、電柱にはノスリが止まりタゲリがフワフワと飛んでいました。その後はトイレ休憩のため公園に向かい、ついでに湖面を眺めてみるとかなりの数のカンムリカイツブリが群れ、まとわりつくようにユリカモメが乱舞していて、遠くにはハジロカイツブリの群れも見られました。その後はバスにて涸沼の南側まで移動し、ここでは湖面に浮いているキンクロハジロ、スズガモ、ハジロカイツブリ、そして畑地ではかなりの数のツグミが見られました。時間もそろそろお昼になったことから一旦、大洗にて各自昼食をとっていただき、午後からは大洗海岸をめぐりました。本来であるならば小さな漁港をめぐる予定でしたが下見時の結果が悪かったことから、この日は岩礁海岸に絞って探鳥しました。まずは防波堤からかなりの数のヒドリガモが見られ、海側には仲良く浮いているつがいのシノリガモが間近に見られ、ウミアイサのオス、岩礁にはハマシギ、ミユビシギの姿もありました。防潮堤が高い所は避けて少々移動するとここでもかなりの数のヒドリガモ、カルガモが岩礁に群れ、その中に混じる2羽のアメリカヒドリのオスが間近に見られました。また岩礁に止まっているシノリガモのオス、岩礁帯の中を泳ぎ回るウミアイサも間近に見られ、あっという間に時間を過ぎてしまいました。ただヨシガモが見られなかったことから大洗の小さな漁港に立ち寄ってみると、ここで美しい2羽のヨシガモのオスに出会うことができ、順光の中で間近にその姿を堪能することができました。そしてこの日の最後は再び涸沼に戻って大陸型チュウヒの登場を待つことにしました。土手に上がると同時にいきなりハイイロチュウヒのメスがやってきて畑地でさかんに小鳥を襲っていて、珍しくじっくりとその姿を見ることができました。ヨシ原ではオオジュリン、ホオジロ、ツグミの姿があり、いきなりハイタカが飛び出してきました。また湖面の杭にはミサゴが止まり、上空をコチョウゲンボウのメスが高速で通過していきました。そしてやや風が強まって寒くなってきたころ、ようやく白黒が鮮やかな大陸型チュウヒが飛んで起案したが残念ながらヨシ原に消えてしまいました。もうダメかと思いましたが帰り間際に再び飛び立ってくれ、白黒に灰色といった独特の姿を見せてはくれましたがかなり離れて行ってしまいました。

涸沼は数年前にオオワシが渡来しなくなってしまい主役不在の感がありますが、大洗海岸ではシノリガモ、ウミアイサ、ヨシガモに加え、アメリカヒドリのオス個体が安定して見られるようになり、美しい色彩のカモ類が勢ぞろいしてくれたことでこのツアーの新たな主役になってくれました。この冬は海上や漁港の海鳥が少ないためやや寂しいですが、例年通り海ガモ類やカイツブリ類、ウミスズメ類、アビ類が加わってくれればかなり楽しめる気がしました。また涸沼では頭が真っ黒い大陸型チュウヒが渡来するようになり、タゲリやハイイロチュウヒ、コチョウゲンボウも見られ楽しめました。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

ヨシガモ 撮影:AM様)

 

ウミアイサ 撮影:AM様)

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