【ツアー報告】フォトツアー2月の冬の道東めぐり 2023年2月17日~20日

(写真:シマエナガ 撮影:伊原やよい様)

冬の定番となっているこの冬の道東めぐりも早いものですでに20年近く担当させていただき、過去、毎年のようにコースを変えながら催行してきました。当時はタンチョウ、シマフクロウ、オオワシ、オジロワシが主役でしたが、シマフクロウに関しては厳冬期の出現率が極めて悪いため、出現率が極めて高い初冬に移行しました。それに代わって加わったのが人気の高いシマエナガの撮影、そして私的にも応援している落石クルーズではほぼここでしか見られないウミバトをはじめとしたウミスズメ類撮影を加えてリニューアルしました。これによりシマエナガをはじめとした小鳥類、流氷のオオワシ、オジロワシ、タンチョウの塒および雪原で乱舞するタンチョウ、エゾフクロウ、そしてコオリガモをはじめとした海ガモ類、最後はウミスズメ類とほぼ全てが撮影可能な4日間コースが完成しました。これらに確実とはいえないもののユキホオジロをはじめとした冬の小鳥類やモモンガ、ラッコ、アザラシ類撮影行程まで加わってさらに完成度が増しました。4日間では私的にはもうこれ以上のツアーは作れないと自負しているツアーの出発です。

17日、曇り空が広がる羽田空港に予定通りにご集合いただき、健康チェックシートの回収、資料の配布、この日の連絡事項をお伝えしてから予定通り出発して現地に向いました。到着した現地は曇り空ながらも晴れ間が見え1時間ほど移動の時間をとってこの日の宿泊地に向かいました。途中、見事な風景に冬の北海道を感じることができました。宿に到着後は一旦お部屋に入っていただいてから各自撮影機材の準備をしていただき、その後はシマエナガをはじめとした小鳥類を撮影しました。留鳥ながら毎年毎年、見られる頻度が大きく変わるシマエナガですが、この冬はその出現率が極めて高く、この日は単独で行動している個体のほか2羽でやってくる個体、さらには現場を一気ににぎやかにしてくれる78羽の群れがやってくるなど、忙しい時間を過ごさせていただきました。先月はシジュウカラが多く、シロハラゴジュウカラが少ない印象でしたが、この日はそれが逆になり、かなりの数のシロハラゴジュウカラ、ハシブトガラが頻繁に姿を見せてくれ、雪景色に赤色が映えるアカゲラ、そしてオオアカゲラのオス、メスもやってきて両方を撮影することができました。

18日、この日はタンチョウの塒の撮影のため早朝に出発しました。観光パンフレットなどでもおなじみのタンチョウの塒はまず天気が良く冷え込むこと、そして風がないことなど、さまざまな条件が揃って初めて美しい景観になります。この日は幸いにも天気は良く、風もないことから条件としては期待できる状況でした。出発時の気温は-10℃ほど。実はこれは気温としては高いほうで、さらに気温が下がってくれないかと思っていました。現地到着後はなかなかの混雑の中、まずは場所を確認し、その後は外の明るさを見ながら撮影に入りました。この日は快晴の中、川霧が立ち、霧氷にはならなかたものの条件としてはまずまずでした。07:00からは朝食の時間とし08:00からはエゾフクロウの撮影に向かいました。エゾフクロウはいるのかいないのか運次第といった感じではありますが、この日は幸いにも出会うことができ10分ほどの短時間でさっと撮影させていただいてから、飛び立つタンチョウを撮影しました。しばらくしてマガモやホオジロガモ、カワアイサが飛び立ち、それを追うかのように数は少なかったものの塒から飛び立つタンチョウを撮影してサンクチュアリーに移動し、ここからの約2時間は雪原で群れているタンチョウの姿や突然始まる鳴き交わし、さらには飛翔する姿や求愛ダンスの撮影を楽しんでから再びシマエナガをはじめ、ハシブトガラやシロハラゴジュウカラ、アカゲラ、オオアカゲラなどの撮影を楽しみ、この日は可愛らしいウソ、ヒガラ、コゲラも加わってくれました。

19日、この日は流氷に群れるオオワシ、オジロワシ撮影のため早朝に出発して羅臼町に向かいました。以前は05:30の早朝便の流氷観光船に乗っていましたがなかなか日の出に出会えないこと、そして日の出が見られないと光線の関係で1時間ほど撮影ができないことから08:30便に変えました。この冬は比較的早い段階で流氷が接岸したのですが、数日前の嵐によって一旦、流氷が大きく沖に離れてしまいました。ただ前日夜の北風の影響で流氷の位置がやや南下していたため、この日のクルーズで流氷帯まで行けるかはかなり微妙な感じでした。羅臼町に到着した後は各自朝食を取っていただいたり、準備をしていただき、その時間を見計らってクルーズ船の事務所に行って状況をうかがうと、なんとか流氷帯まで行けるとのことで安堵しました。08:30に出航後は30分ほど走って流氷帯に向かいました。しばらくすると海面に白い帯のように見える流氷帯がみるみる近づき、いよいよ流氷帯にたどり着きました。その後は見事な青空に映える羅臼岳を背景に群れ飛ぶオオワシ、オジロワシを2時間に渡って撮影しました。特に流氷帯に群れているワシたちの姿が印象的でいつまででも見ていられるといった感じでした。その後は根室方面に向かいながら撮影をする予定でしたが、翌日の海の状況が悪いため前日から落石ネイチャークルーズ担当者と相談していました。流氷クルーズが終わった後に再度連絡したところ、この日の午後に船が準備できたとの連絡をいただいたため、皆さんに状況をお伝えしたうえで急遽、その後は落石港に向かうことにしました。途中、休憩を挟んでも3時間ほどで落石港に到着後は各自、準備に取り掛かっていただいてから出航しました。次第に風が強まってくる中、ユルリ島まではかなり揺れましたが、船長さんの好判断で島の風下側に入ると海上は一気に穏やかになりました。ただこの日はクロガモ、シノリガモといったカモ類はかなりの数が見られたもののウミスズメ類の個体数は極めて少なく、いくつか浮いていたケイマフリ、カモメ類を襲いにやってきたオジロワシを撮影したのみでした。下船後はやや時間があったことから港に向かい、薄暗くなってくる中でしたが漁港内に浮いているコオリガモを撮影してこの日の撮影を終えました。

20日、この日は数日前から根室市の天候が悪く荒れ模様になるとのことでした。深夜に外を見ると小雪が舞い、すでに路面が見えないくらいになっていました。早朝に再び外を見るとほぼ吹雪のような状況で天気予報は当たったようでした。朝食後の08:00に出発はしたものの視界が悪いくらいの吹雪でかなり厳しい状況でしたが、まずは港に向かいました。この冬はオオホシハジロが複数見られているとのことでしたが、視界不良のせいもあってかなかなか見つからず。ただ漁港内には複数のコオリガモの姿があり、幸いなことに間近にビロードキンクロのオスが浮いていました。その後もホシハジロ、スズガモ、ホオジロガモの群れを丁寧に見て回りましたがやはりオオホシハジロには出会えませんでした。その後はさらに雪の勢いが激しくなる中、別の港にも立ち寄りましたが猛烈な吹雪で撮影はできないと判断し、一旦、道の駅に向かいました。ここでトイレに寄っていただき、周辺の探鳥地に問い合わせしましたが通行止めの危険性があるなど、状況がどんどん悪化してきたことから撮影はここで終了することに決めて中標津空港に直行することにしました。途中、標津町付近では雪が激しくなってしまいましたが中標津空港では雪は止んでいました。ただ、出発直前には再び吹雪となり心配でしたがなんとか中標津空港を離陸し1時間ほど遅れたものの無事、羽田空港に降り立つことができました。

穏やかな陽気でスタートしたツアーでしたが最後は吹雪に見舞われ、結果的には危険判断をいたしました。時間いっぱい撮影ができなかったことは残念でしたが何卒ご了解ください。このツアーのメインともいえる流氷観光船からのワシ撮影は流氷の位置が心配でしたが、運よく流氷帯に到達することができオオワシ、オジロワシの迫力ある姿をめいっぱい撮影することができました。これぞ冬の知床といった景観もお楽しみいただけたと思いました。また早朝からはじめたタンチョウの撮影も塒風景、飛翔、求愛ダンスなど良い条件でき、新たな主役となった可愛らしいシマエナガも期待通りで、エゾフクロウ、アカゲラ、オオアカゲラ、ハシブトガラ、シロハラゴジュウカラも堪能し、海鳥は期待には沿えませんでしたがケイマフリ、また漁港ではコオリガモ、ビロードキンクロも撮影できました。北海道はさまざまなツアーを企画しており、どれも魅力的な野鳥たちに出会えています。また季節を変えて北海道にお出かけください。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

シマエナガ 撮影:武藤政男様

 

エゾフクロウ 撮影:小林浩様

 

シマエナガ 撮影:箕輪篤子様

 

オオアカゲラ 撮影:伊原やよい様

 

タンチョウ 撮影:武藤政男様

 

タンチョウ 撮影:小林浩様

 

 

オオワシ 撮影:伊原やよい様

 

オオワシ 撮影:武藤政男様

 

ケイマフリ 撮影:小林浩様

 

オオワシ 撮影:箕輪篤子様

 

シロハラゴジュウカラ 撮影:伊原やよい様

 

オジロワシ 撮影:武藤政男様

 

シマエナガ 撮影:小林浩様

 

オジロワシ 撮影:箕輪篤子様

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