【ツアー報告】雪原の立山で白いライチョウに会いたい! 2025年5月1日~2日

ライチョウといえば今回訪れる立山室堂、そして乗鞍畳平にてツアーを企画していますが、いずれも夏から秋にかけてのツアーであり、白い冬羽の姿を見る機会はなかなかありません。これはもちろんそういった時期にライチョウが生息する場所に行くことができないからですが、今回訪れる立山室堂はゴールデンウィーク期間中に訪れることができるため、純白とはいかないもののなんとか冬羽のライチョウに出会うことができます。なるべく早く訪れたいのは当然のことではありますが、アルペンルート開通直後は何度も乗り換えをしないと室堂にたどり着けず、機材や荷物が多い我々には不向きで、また公共交通機関ではバス時刻に合わせて行動しなくてはならず急激な天候の変化に対応できない点もデメリットです。そのため富山駅から乗り換えなしで室堂に行くことができる最も早い平日にツアー企画しています。毎回、天気が気になるのですが今回は2日目の天気予報がかなり悪い中での出発となってしまい、どう運行すれば良いのかなかなか難しい状況でした。

1日、この日の東京駅前はほぼ快晴で半袖でも十分な陽気でした。今年のGWは飛び石連休のためか、この日の東京駅は想定していたほどの混雑はなく、ひとまず北陸新幹線で富山駅に向かいました。到着した富山駅はさらに快晴で、意外にもかなり空気が涼しくて心地よく感じました。まだお昼前ということもあり、本来であれば出発後は道の駅に立ち寄って各自昼食の時間とするのですが、明日の天気予報がかなり悪かったことから、この日は道の駅での休憩は15分ほどにとどめ、昼食は移動中のバス車内で済ませていただくようご協力をいただき、宿がある弥陀ヶ原に向かいました。途中、混雑している立山駅を通過し、その後はバス車内から見事な風景を眺めながら標高をどんどん上げ、称名滝では少々バスを止めてその景観を眺めていただきました。そして進行方向に雄山が見えてくるといよいよ弥陀ヶ原に到着となり、我々がお世話になる宿も見えてきました。例年に比べて高い雪の壁を通って宿に到着後はホテルのロビーをお借りして観察機材準備、また服装の点検などをしてから再びバスに乗車して室堂を目指しました。この日はとにかく見事な快晴、さらに無風ということもあって条件はかなり良く、左手には中大日岳、奥大日岳が見え、さらに進むと例年よりも壁が高い雪の大谷が見えてきました。室堂バスターミナル到着後は室堂平まで行き、ここで各自アイゼンの装着をしていただいてから、この日はまずみくりが池温泉に向いました。ただこの時間はまだまだ観光客が多く、人をかき分けて歩いて行かなくてはならないような状況でした。こうなると道すがらにいるライチョウはなかなか姿を見せず、仮にその姿が見られても全身が見られないことが多く、混雑のせいでじっくり観察、撮影することはままなりません。そのため今回は途中、ライチョウの姿がありましたが足を止めず、さらに歩いてみることにしました。ここまでくるとさすがに観光客はおらず、観察条件はかなり良くなっていました。ここでは狙い通りにライチョウのつがいと思われる2羽の姿があったことから観察を開始しました。ただこの個体はいずれもハイマツの陰に隠れるようにして雪浴びをしていて、なかなか全身を見ることができませんでした。ただしばらくするとまずはオスがのこのこ歩いてハイマツから出てきて餌を食べ始めました。オスはこの時期になると首に黒い羽毛がわずかに出てきている個体が多いものの、真っ赤な肉冠が見事でした。メスはなかなか出てきてくれず、どうしようかとかなり悩みましたが、結果的には時間を延長して待つことにすると、これが功を奏したのか、ようやくハイマツから出てきて真っ白なぬいぐるみのような姿を見せてくれました。観察中には別のオスが飛んできたり、対岸のハイマツ付近にさらにもう2羽のオスが見られたりしまして、結果的には4個体のライチョウをじっくり観察することができ、ライチョウが再びハイマツに隠れたタイミングで一旦、みくりが池温泉まで戻りました。ここで20分ほど休憩をしてから室堂バスターミナルに向いましたが、その途中でも、ライチョウのメスがハイマツからひょっこり姿を見せてくれました。宿に戻った後は夕食をいただき、レストランの窓からは橙色に染まった富山湾の風景を眼下に眺めることができました。

2日、この日は前夜からの雨がまだまだ降り続いていて強風が吹く朝でした。そのため09:30からの雪の大谷ウォークに合わせることを優先する意味で、出発を08:30とやや遅らせて、まずは立山自然保護センターに立ち寄って見学をしつつ「ライチョウステッカー」をいただいてから09:30に合わせて雪の大谷ウォークに向かいました。ただ強風のため雪の大谷ウォークが中止になってしまい、そのため一旦バスに戻って考えてみましたが、それほど風を感じなかったことから室堂に入ってみることにしました。幸い室堂平は風はなく、雨も降っていなかったことから、昨日同様にみくりが池温泉方面に向かい行けるところまで行ってみることにしました。ただある程度進んでも風雨がなかったことから、この日は比較的平坦な場所に行き、ここでライチョウを探してみました。するとハイマツの陰に隠れるようにライチョウのつがいの姿がありましたが、どこからともなく飛んできたオスに追い払われてしまいました。ただ飛んできたオスがそのまま居残ってくれたことからしばらく観察することができました。この時はやや風が吹き、雪を舞い上げていたことから少々厳しい状況でしたが、雰囲気のある姿を堪能することができました。また観察しているとメスが現れ、我々の目の前を歩く姿を見ることもできました。その後は来た道を戻りましたが、途中では1羽で行動しているオスに出会うことができ、その後、ハイマツに隠れるようにじっとしているつがいと思われるオス、メスを間近に見ることもできました。その後はみくりが池温泉で休憩をはさんでから、一旦バスに戻り、その後はターミナル内にて各自買い物をしていただきました。この日は平日ながら信じられないような混雑で、売店に入るだけでも大変な状況で、インバウンド需要の急激な増大に驚かされるばかりでした。買い物後に外に出るとここからは本格的な雪が降りだし、GW期間とは思えない風景が広がっていました。次回は恒例になっている7月に当地を訪れますが、この雪がそのころには全くと言ってよいほどなくなっていて一面のお花畑になっていることが本当に不思議だなとあらためて思いました。

高山帯特有の天候の不安定さはあるものの、冬羽のライチョウに出会うことができる貴重な時期のツアーでした。今回は2日目の天候がかなり悪いとのことで、初日がかなり重要でしたが、幸いにも好天の中、見事な風景とともにオス、メスともにじっくりと観察することができました。また翌日は、残念ながら雪の大谷ウォークが強風のため中止になってしまいましたが、室堂はそれほど状況が悪くなかったこともあり、前日とは別のライチョウのつがいなど計6個体を観察することができ、結果的には両日ともの冬羽のライチョウを堪能することができました。この度はご参加いただきましてありがとうございました。今度はぜひ夏や秋の羽のライチョウに出会いにお出かけください。またご一緒できましたら幸いです。

石田光史

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