【ツアー報告】東シナ海第三の秘島 春の伊平屋島と野甫島 2023年4月12日~15日

(写真:ヤツガシラ 撮影:SS様)

12日、午後、那覇空港を出発。この時期は沖縄の三大行事のひとつである「清明祭」や沖縄自動車道の工事などで渋滞することが多いので急いで北上する。港に到着後は乗船手続きをしている間にお客様が港周辺でカワセミ、シロガシラ、オキナワシジュウカラ、リュウキュウヒヨドリなどを観察、撮影する。「フェリーいへやⅢ」は498トン、定員300名の立派なフェリーなのだ。伊平屋島は沖縄県の有人島では最北端に位置し、本部半島より北へ約41km、面積約20.7k㎡、賀陽山(標高294m)を最高峰とする山地が島の大半を占めているのである。港内でミサゴ、リュウキュウツバメを見たが航海中はトビウオを見ただけで伊平屋島に着岸。急いで広場へ行くとスズメ、キセキレイと共に亜種タイワンハクセキレイ2羽がいてみなさんでじっくりと観察、撮影する。その後は耕作地へ行き、ゆっくりと農道を走るとアオサギ、チュウサギ、ダイサギ、コサギ、アマサギなどのサギ類があちこちで採餌をしている。貯水池へ行くとセイタカシギ3羽が休んでいて、みなさんで観察、撮影していると飛び立ち、隣接する水田に降りて採餌をする。暫くすると、再び、飛び立つとカモ類2羽も一緒に飛び立って貯水池へ降りる。シマアジのペアであった。雄は綺麗な繁殖羽となっていて、もちろんみなさんでじっくりと観察、撮影する。シロハラクイナをちらっと見るが直ぐに隠れてしまう。夕方、ホテルにチェックイン。地元の海産物がメインの豪華な夕食。

13日、早朝にホテル周辺を散歩する。色の濃いリュウキュウヒヨドリ、リュウキュウキジバトなどを見ているとコムクドリ9羽、ムクドリ1羽の群れが電線にとまっている。何か他のムクドリ類が混じっていないかとドキドキしながら確認するがコムクドリだけだった。朝食後は芝地や周辺の砂浜でシロチドリ11羽がのんびりと餌を啄んでいる。周囲には沖縄でもベスト1,2を争う綺麗な海が広がっている。その後、野甫島へ行く。野甫島は伊平屋島と橋で繋がっている面積約1.1k㎡、周囲約4.8km、標高48mの小さな島である。島の農道をゆっくりと走るが、リュウキュウキジバトがたくさんいるだけで渡り鳥が入っていない。ツマムラサキマダラ、リュウキュウアサギマダラ、シロオビアゲハなどの蝶があちこちで舞う。その後、耕作地や溜め池を廻るがサギ類がぱらぱらといるだけで鳥がいない。ここ数日、ずっと晴れが続き、春の鳥たちの渡りは、とにかく早く繁殖地に着きたいから晴れているとこんな小さな島に降りないでぐんぐん北上してしまうのだ。イソヒヨドリやセッカがあちこちで元気に囀っている。11:50 伊平屋島名物のもずくが入った“もずくそば”の昼食。その後、耕作地へ行くと、昨日はいなかったタカブシギ3羽が餌を採っていて、昨日いたセイタカシギ3羽もいたのでそれぞれをじっくりと観察、撮影する。昨年は同じ時期に水田に水が入っていてシギ・チドリ類がたくさんいたが、今年はどこの水田も水が入っておらずカラカラに乾いているのだ。これは聞くところによると、田んぼの水を抜いて土を乾かすことにより土中のガスを抜いて空気中の酸素を入れるためや水が無くなると稲の根は地下の水を求めてもっと深く伸びるために水抜きをやるという。今年は、丁度、その数日に当たったようで、今朝は一斉に各水田に水を入れ始めている。13:40樹齢280年の国指定天然記念物「念頭平松」で観光とトイレ休憩。昨年、整備された綺麗なトイレがあるので立ち寄ったのだが出発しようとすると、なんと、ヤツガシラが芝地で採餌しているではないか。ヤツガシラは個体によって警戒心の物凄く強い個体とぜんぜん気にしない個体がいるが、この個体は我々をまったく気にしないで餌を採っているので、みなさんでじっくりと堪能する。やっと渡りの島らしい鳥の出現にみなさんで盛り上がる。その後は伊平屋島北部の山道を歩く。ミサゴが餌を狙ってホバリングをする。花に集まるジャコウアゲハとベニモンアゲハの識別で盛り上がる。16:00 再び、野甫島へ行き、農道をゆっくりと走る。耕作地にはリュウキュウキジバトは多いが他の鳥がいない。これだけの数のリュウキュウキジバトがこの島で繁殖しているとは思えないから渡り途中の個体がたくさん入っているのだろう。夕方は耕作地へ行くと、水田にどんどん水を入れている。シロハラクイナ4羽を全員でじっくりと観察して18:00 ホテルに戻り、今夜も豪華な夕食となる。

14日、昨夜も星空。早朝にホテル周辺を歩く。シマアカモズやコムクドリがいたが昨日よりも鳥が減ってしまった感じがする。朝食後に探鳥に出るが芝地にはシロチドリのみ。野甫島へ行き、耕作地の農道をゆっくりと走る。サトウキビ畑をミフウズラ雄が走って行く。時々、立ち止まったりするので全員で観察、撮影する。さらに、綺麗な夏羽のアトリが道路に出て来て餌を啄む。耕作地へ行くとツバメ10数羽が電線にとまっている。昨日はいなかったので鳥たちが動き出しているようだ。ここでも水田に水を入れている。別の耕作地へ行くと、ここにも昨日はいなかったタカブシギ2羽が採餌をしている。貯水池へ行くとズアカアオバトが飛来してリュウキュウマツにとまるが幹に隠れてて顔と尾しか見えない。場所の説明をしていると飛び立って樹林内へと入ってしまった。耕作地へ行くと、山の上空をミサゴ5羽、サシバ3羽が旋回上昇してから北西へ流れていく。沖縄ではミサゴもサシバも冬鳥なので渡りの途中の個体である。昼食後は展望台へ行く。樹林の中の道を歩いていると綺麗な婚姻色のオキナワキノボリトカゲの雄がいたのでみなさんでじっくりと観察、撮影する。「念頭平松」の公園に今日もヤツガシラがいたので、また、たっぷりと遊んでもらう。出発しようとするとノスリを見付けたお客様がいて、望遠鏡で見ると内地(九州以北)で見るノスリと感じが違っている。オオノスリの可能性を考えながら見ていると、さらにもう1羽がとまっている。どうも大陸のノスリで、沖縄でオオノスリといわれてる中には、この大陸のノスリの誤同定がかなりあると聞いたことがある。午後は林道をのんびり歩く。“幻のパープル・シャンデリア”といわれているイルカンダが南国的なエキゾチックな花を付けているのでみなさんで盛り上がる。15:45野甫島へ行き耕作地の農道をゆっくりと走ると、ミフウズラが車の前から飛び出しサトウキビ畑に飛び込む。小さな用水池にシロハラクイナがいたので見ていると、なんと泳いで渡るのでみなさんで驚く。耕作地の2ヶ所でミフウズラが鳴くので待ってみたが出て来ることはなく終了。ホテルに戻り、今夜も豪華な夕食となる。夜、ホテルの前でずっとリュウキュウアオバズクが鳴いていた。

15日、一晩中、雨となり明け方から激しく降る。早朝、ホテルを出発して耕作地へ行くと、あちこちにシロハラクイナがいる。サギ類が増えているので渡ってきたようだ。そして、製糖工場近くでリュウキュウマツにとまっているズアカアオバトを全員でじっくりと観察、撮影する。天気が変わり、今日の午後から明日は鳥たちがどっと入ってきそうな感じなのだ。そんな後ろ髪を引かれながら朝食。その後はフェリー乗り場へ行き出港。着岸後は急いで南下して耕作地へ行き、コアオアシシギ、アオアシシギ、タカブシギ、セイタカシギなどのシギ・チドリ類やサギ類、シマキンパラ、コムクドリなどを観察、撮影。12:10昼食。その後は池へ行きハシビロガモ、コチドリ、ヒバリシギ、オジロトウネン、アカアシシギ、クロツラヘラサギ、ヘラサギなどの新しい種を観察、撮影して、14:30に那覇空港へ到着したのである。みなさま、お疲れ様でした。

宮島 仁

ミフウズラ 撮影:SS様

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