【ツアー報告】ボルネオ バードウォッチング 2023年6月19日~26日

(写真:クロアカヤイロチョウ)

19日、成田空港第1ターミナル集合。成田空港の出国手続きは電子化が進んでおり、以前よりもスムーズに搭乗口へと向かう。ほぼ予定通りにブルネイ国際空港に着陸し、乗換えに進むと、手荷物検査のみで次便の搭乗口へ。4時間ほどの待ち時間があったので、各自で軽食を食べた後、コタキナバル便も予定通りに出発。コタキナバルに到着すると入国審査もスムーズに終えて、到着ロビーでガイドさんと合流し、市内のホテルへ。

 20日、昨日の到着が遅かったが、今朝は朝早く出発して、最初の目的地へと向かう。到着すると、ボルネオの山地を代表するボルネオチャガシラガビチョウ、アイイロヒタキ、キバラウグイスなどが次々と現れる。これらをひと通り観察、撮影した後に、キジ類のポイントへ。ここではまずアカガシラシャコ、ついでボルネオミヤマテッケイと、ボルネオの山地に固有のキジ類が続けて現れる。どちらの種も見づらい種だけに、このようにしっかりと観ることができるポイントが開拓されたのは嬉しい限りである。次なる目的地の最大の狙いはオジロウチワキジだ。ボルネオのキジ類のなかでも特に観察の難しい種として知られていたが、コロナ禍の最中に観察ポイントが開拓され、レギュラーで観られるようになった。そのポイントにはしっかりとしたハイドが設けられ、そこで待っていると、ワキアカムジチメドリ、ダヤクヒメアオヒタキなどが次々と現れ、正午を過ぎると、名前通り赤い冠羽が美しいカンムリシャコも現れた。そのカンムリシャコの観察を終えて、そろそろ主役が…と思い始めた時に、本命の美しいオジロウチワキジのオスが現れた。1500に観察を終えて、キナバル公園の麓まで移動して、ロッジにチェックインする。

21日、早朝、世界遺産にも登録されているキナバル公園へ向けて出発。到着後、カオグロオオサンショウクイ、ビロウドゴジュウカラ、ミヤマタイヨウチョウなどを観察した後、舗装道を登りながら、ボルネオタンビヘキサンなどを観察して、途中で朝食を食べていると、潜在性の強いボルネオヤブサメが現れた。登山口のゲート下まで進んだところで、ここのハイライトのひとつであるキンガオサンショウクイと高地性のカオジロヒヨドリを観て、午前中の観察を終える。昼食をとっていると雨が降り始めてきたが、幸いにも30分ほどで止んでくれたので登山口ゲートまで再び上がり、ここで高山性のメグロメジロや、チャバネガビチョウなどを観察する。その後にトレイルを歩くが、トレイルにぬかるみが多く足場が悪いうえに、鳥の気配がほぼ無い。山の上のほうは霧が立ち込めてきているため、公園内でも標高の低い場所に移動して、そこでアカガシラシャコ、ボルネオエンビシキチョウ、ボルネオルリチョウ、ボルネオノドアカハナドリなどの固有種を観察していると、ここでも霧が立ち込めてきたので、探鳥を終えて、ロッジへと戻る。

22日、本日はまず登山口のゲートまで向かい、アイイロヒタキ、キエリゴシキドリ、キバラウグイスなど高地性の種を観察した後に、昨日の鳥果が良かった周辺に場所を移し、沢の上下を飛び交う2羽のボルネオエンビシキチョウを観察、撮影したところでタイムアップとなる。本日はサンダカン郊外のセピロクまでの長い移動だ。途中の街で昼食、車の乗り換えを行い、再びの移動で、セピロクのレインフォレストディスカバリーセンター(通称RDC)に向かう。RDCに到着すると、今までのキナバル公園の涼しい気候が懐かしくなるほど熱帯ならではの暑さに包まれる。本日の探鳥時間が2時間ほどしか残されていないことから、まずは狙いのクロアカヤイロチョウBlack-crowned Pittaを狙う。声を頼りに待ち続けると、1時間ほどしたところで谷の下から声が近づき、その美しい姿を観察することができた。ヤイロチョウを観終わると、少し離れたところでこれまた美しいバラエリキヌバネドリの姿を観察することができて、セピロクでの幸先の良いスタートを切ることができた。

23日、今朝はまずRDCの名物ともなっているキャノピーウォークへと向かう。入り口そばの池にはアジアヘビウがじっと佇み、池の上空をチビハリオアマツバメが飛び交っている。その池の脇を通り、キャノピーウォークへと進むと、多くのバードウォッチャーで賑わっていたが、このキャノピーウォークには3つのタワーがあり、人の少ないタワーを選んで観察を行う。最初に上がったタワーでは雌雄のクビワヒロハシが至近距離に現れ、盛り上がる。最後に訪れたタワーでは、見えるところでウォーレスクマタカが営巣しており、その巣では時折、真っ白いヒナの頭がのぞいていたほか、このツアーでは初めてのサイチョウ類となる、キタカササギサイチョウとの出会いも楽しむことができた。キャノピーウォークを降りてからは林内を歩き、マレーミツユビコゲラやセアカミツユビカワセミなどを観察する。昼食をセピロクのレストランで食べた後はキナバタンガン川沿いのスカウまで移動して、ロッジ到着後にひと休みして、リバークルーズへと向かう。オランウータン母子やテングザルなど、キナバタンガン川の動物観察のハイライトとなるものは現れるが、鳥の出は今ひとつで、特にキナバタンガン川を代表する野鳥のひとつであるサイチョウ類がほとんど現れず、日没後にライトの灯りに映し出されたサイチョウをようやく観察することができた。ロッジでの夕食後、2000から有志でロッジ周辺を1時間ほどの観察に出掛け、鳴き声を頼りに森を進み、オオガマグチヨタカとニセメンフクロウを観察する。

24日、朝食後にボートクルーズに出かけると、キナバタンガン川クルーズの面白さはここにありといった内容で、サイチョウ類は観察が難しいシロクロサイチョウを含めて6種を観察することができたほか、稀少なスンダエンビコウも繰り返し現れて、しっかりと観察、撮影できた。猛禽類もシロハラウミワシ、ウォーレスクマタカ、コウモリダカ、カンムリオオタカ、ウオクイワシ、カワリクマタカなどが次々と現れ、ボートの上から次々と現れる野鳥の姿を楽しむことができた。午後のクルーズでは少し雨に打たれたものの、幸いなことに短時間で止んでくれて、ここでも再びシロクロサイチョウやサイチョウを楽しむことができたほか、ボルネオでは数回の記録しかない非常に珍しい渡り鳥のハチクイの姿も観察することができた。

25日、早いもので午前中のボートクルーズが最後のクルーズとなる。キナバタンガン川に注ぎ込む支流のひとつへと向かう。ここでは美しいコシアカキヌバネドリのオスが現れたほか、東南アジア全域で絶滅が心配されているキガシラヒヨドリと出逢うことができたのは大きな収穫であった。この支流は川幅が狭いため、河畔林から聴こえてくるアオアシミヤマテッケイ、ズグロヤイロチョウの声を頼りに挑戦するも、残念ながら、こちらはその姿を確認することができなかった。ボートクルーズを終えてロッジに戻った後は休憩を取って、昼食後にサンダカンまで戻る。道路の渋滞も無く、予定よりも少し早く空港に着いたので、コーヒーショップで軽食を食べてから登場口へ。搭乗口で待っている間に、機材到着遅れによる、搭乗便の出発遅延の放送が入る。国際線の乗り継ぎが控えているため少し焦ったが、コタキナバルにはほぼ予定通りに到着し、予定通りにブルネイ行きの国内線に搭乗する。

26日、日が変わったところで、成田空港行きの便が予定通りに離陸し、予定より15分ほど早く成田空港に着陸する。預け荷物を無事に受け取ったところで解散する。

田仲謙介

シロクロサイチョウ

 

ウォーレスクマタカ

 

オジロウチワキジ

 

カンムリシャコ

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