【ツアー報告】秋のシギチドリ巡り 東京湾と霞ケ浦A 2023年10月10日

(写真:ハジロコチドリ 撮影:小林浩様)

1日という限られた時間の中で海水域と淡水域の両方をめぐりながら、それぞれの環境に生息するシギチドリ類を集中的な観察する秋定番の日帰りバスツアー。淡水域での探鳥では道幅が狭い県道を走らなくてはならないため、車幅が狭い小型のマイクロバスを利用した少人数でコンパクトなツアーとし、アクセスを良くして歩く距離もできる限り軽減しています。また淡水域での探鳥ではさまざまなトラブル事例があることから、それらを回避するための探鳥ルールについて説明してから現地に向かうようにしています。秋のシギチドリ類の渡りは比較的長い期間見ることができる反面、ピークを当てることが難しいためツアーでは過去のデータを基にして種類数が安定している時期、また海水域に関しては潮位を見て日程を決めています。秋はなかなか天候が安定せず、晴れたり雨が降ったりと毎回毎回悩ましく、今回も前日の雨の影響がどこまで残るかといった状況ではありましたが、幸いにも当日早朝には雨が上がり、この日の日中は晴れ間が出るとの予報の中で出発することができました。

10日、この日は潮位の関係から集合時間は08:30。早朝の東京駅前は雨上がりといった感じで、各所に水たまりができてはいたものの空は曇りから次第に晴れ間が見えてくるような状況になっていました。ほぼ時間通りにご集合いただいたことから、まずは海水域での探鳥のため千葉県に向かいました。移動中のバス車内ではわずかな時間ながら、秋の地味な色合いのシギチドリ類識別のポイントを説明しながら進むとともに、この日に見られる可能性が高い種について解説しました。到着後は長靴に履き替えるなど準備をしていただいてからトイレに立ち寄り、それから干潟に向かいました。ひとまず干潟を見回してみるとこの日はシギチドリたちはちょうど干潟の中央部に集まっているような状況だったため、ほぼ中央部での探鳥となりました。それほど水気のないところではメダイチドリの姿が目立ち、シロチドリも走り回っていました。さらに進んで干潟まで来るとハマシギ、ミユビシギ、ダイゼンの群れ、そしておなじみのミヤコドリもかなりの数が見られ、やや遠くの浅瀬にはかなりの数のウミネコ、セグロカモメが群れ、杭には魚を持ったミサゴが止まっていました。1羽1羽を丁寧に見ていくと、ハマシギの群れに混じるコオバシギが見られ、ゆっくりと接近しながら観察しました。また遠くの浅瀬には1羽のオバシギが佇んでいました。さらに見回すと2羽のチュウシャクシギが干潟を歩き回り、特徴的な湾曲した長い嘴を見ることもできました。そしてこの秋の特徴としてはトウネンの数が多く、普段、海水域ではそれほど見られないものの、この日もかなりの数のトウネンの出会うことができました。探鳥後は靴や三脚の泥を落としていただいてから再びバスに乗っていただき茨城県に向かいました。途中、サービスエリアで各自昼食をとっていただき、その後は車内で淡水域でのシギチドリ観察のルールについて説明しながら進み、最初のポイントでバスを下りて探鳥スタートとなりました。足元の水田では1羽のコアオアシシギが歩き回り、水深のある場所では6羽のセイタカシギが佇んでいました。よく見るとさらに2羽のツルシギが佇み、クサシギ、タカブシギが歩き回り、干潟状になっている場所にはトウネン、コチドリの姿もありました。そしてどこからともなくタシギも飛んできて、気が付くとかなりの種類のシギチドリ類が同時に見られました。その後は下見時に最も多くのシギチドリ類が見られた場所に行ってみましたが、前日の雨で水位が増してしまったことからか、全く環境が変わってしまい、シギチドリの姿が全く見られなかったことから、さらに異なる場所に行くことにしました。ここでも水位が上がり環境の変化が大きかったのですが、わずかに残った浅瀬に1羽のウズラシギが佇み、付近ではセイタカシギが見られ、やや異動した場所ではコアオアシシギの小群やクサシギを見る事ができました。ただ各所で水位が上がってしまったことで小型種が見られなかったことから最後に予定外のポイントに行ってみました。ここでも残念ながら水位が上がってしまってはいましたが、まずは2羽のエリマキシギが見られ、その後は比較的水位が低いハス田で群れるトウネン、コチドリ、さらにはヒバリシギ、オジロトウネンといった小型種が勢ぞろいし、赤みが強く美しいウズラシギの幼鳥の小群も見ることができました、またコチドリに混じるハジロコチドリにも出会うことができ、見上げるとかなりの数のショウドウツバメが飛んでいました。そして最後に再び最初に立ち寄ったポイントで探鳥して終了しました。

この日は前日の雨のせいか各所でハス田の水位が上がってしまい、下見時に数多くのシギチドリ類が見られた場所には全くシギチドリ類がいないという状況になってしまい、下見時に見られたアメリカウズラシギ、キリアイの姿が見られず残念でした。ただ海水域ではチュウシャクシギ、ミヤコドリ、ダイゼン、オバシギ、コオバシギ、ミユビシギ、ハマシギ、シロチドリ、メダイチドリ、淡水域ではセイタカシギ、タシギ、ツルシギ、コアオアシシギ、クサシギ、タカブシギ、トウネン、オジロトウネン、ヒバリシギ、ウズラシギ、エリマキシギ、コチドリ、ハジロコチドリなど計25種のシギチドリ類に出会うことができました。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

ミユビシギ 撮影:須崎明男様

 

ハマシギ 撮影:三井健様

 

ヒバリシギ 撮影:小林浩様

 

ツルシギ 撮影:須崎明男様

 

セイタカシギ 撮影:三井健様

 

コオバシギ 撮影:小林浩様

 

ミヤコドリ 撮影:須崎明男様

 

コアオアシシギ 撮影:三井健様

 

エリマキシギ 撮影:小林浩様

 

トウネン 撮影:須崎明男様

 

トウネン 撮影:三井健様

 

オジロトウネン 撮影:小林浩様

 

ウズラシギ 撮影:須崎明男様

 

コアオアシシギ 撮影:小林浩様

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