【ツアー報告】出水・諫早・有明海 冬の九州縦断 2024年2月11日~13日

(写真:ソデグロヅル 撮影:武藤政男様)

2月11日、全員集合後、鹿児島空港を出発。まずは調整池に到着すると、晴天ながら風が強く肌寒い。池で休むカモ類ではツクシガモがよく目立ち、水際にはアオアシシギやタシギの姿があるほか、クロツラヘラサギ22羽とヘラサギ2羽が観られた。観察を終えると、次なる探鳥地である出水へと向かう。今年、越冬しているツルのなかで観察したい鳥はやはりソデグロヅルである。事前に聞いていた採餌しているエリアへ向かっていると、車中より白い大きなツルの姿を発見する。しかし、先ほど観察したそばに車を止めると、なぜか見当たらない。走っている車中から見つけられたくらいなのに・・・不思議に思っていると、300mほど先に2台の車が止まっているのが目に入る。もしやと思い、そちらに移動すると、2枚先の畑地で数羽のナベヅル、1羽のクロヅルと共に採餌している。ソデグロヅルを充分に観察した後に、「ツル観察センター」に立ち寄ってから干拓へ。すると、目の前に3羽のカナダヅルがいる。人に臆することなく向こうからどんどんと近づいてくるため、「近すぎる」、「フレームアウトする」と、嬉しい悲鳴が出るほどであった。夕方までソデグロヅルが戻ってくるのを待つも、現れなかったためにホテルへと向かう。

12日、今年のソデグロヅルは日の出と共に飛び立つ、という話であったので朝食を食べずに早朝に出発する。到着するも、さすがにまだ暗い。10分ほど車中で待機して、ようやく外の景色が見え始めてきたところで観察を開始し、群れの手前側に2羽のクロヅル成鳥、奥に6羽のヒシクイ、そして群れの右側にソデグロヅルの姿を見つける。日が昇ると、塒のツルの動きも活発になり始め、ソデグロヅルもゆっくりと歩いたり、羽繕いをしたりと動き始め、和名が示す通りの黒い翼先を見せながら飛び去っていった。その後はツルの塒を後にして、ミヤマガラス群中に白黒のコクマルガラスなどを探した後、ホテルへ戻って朝食とする。朝食後は昨日、ソデグロヅルを観察した場所を再訪すると、本日は目の前の畑で餌を採っている。間近にその姿を観察、撮影してから、熊本県に向けて出発する。熊本港からのフェリー上からはカンムリカイツブリは多く観られたものの、残念ながら期待したカツオドリの姿は無かった。島原港に到着後、諫早干拓まで向かうが、途中渋滞しており、到着が少し遅れる。堤防に上がると、眼下に広大なヨシ原が広がる景色は広がっている。堤防上を歩くも、ヨシの穂先でオオジュリンたちがゆっくりと採餌しており、こんな状況だと猛禽類は飛ばないな、と思っていると、遠いところをハイイロチュウヒの雌が飛び始めた。出始めると、断続的に次々と出てくるため、出たという声にも驚かなくなり始めたころ、「2羽で飛んでいる」という声の方角に眼をやると、ハイイロチュウヒとコチョウゲンボウが一緒に飛んでいる。そろそろバスへ引き返そうと方角を変えたところ、正面の山を背景におびただしい数の鳥が飛んでいる。山が背景だと目立たないが、空を背景にすると黒い塊が移動しているのがよく分かる。話としては聞いていたが、これだけの数のトモエガモはやはり圧巻であった。

13日、ホテルを出発して 昨日、話が舞い込んできたニシオジロビタキが出現しているという場所へ行く。出現ポイントを予め聞いていたが、その周辺では見つからない。諦めるかと思い始めたところで、鳴き声が聴こえてきた。その声を頼りに場所を特定するも、すぐに飛び去られてしまう。しかし、移った木が孤立した木でそこでようやく、しっかりと観察することができたので、この旅の最後の探鳥地となる干潟よか公園に移動する。駐車場でバスを降りると、枝先の黒っぽい鳥の姿がすぐに見つかる。双眼鏡を覗くと、ホシムクドリであった。すでに夏羽になっており、てかてかと輝き、斑もほとんど見られない。その個体を観ていると、1羽、また1羽と合計3羽が同じ視界に現れ、最後の個体は斑がはっきりした個体であったので、夏羽と冬羽を見比べることができた。幸先の良いスタートである。到着時には干潟が広がっており、鳥が遠かったため、まずは鳥の群れを目指して歩くと、ヨシ原にツリスガラの群れが見つかる。こちらもホシムクドリ同様、今回の旅でまだ観察していなかった種なので嬉しい出会いとなった。干潟のうえにはツクシガモ、ズグロカモメのほか、多数のハマシギ、ダイゼンなどのほか、アカアシシギ、オオハシシギ、嘴の色が変わり始めたハジロコチドリなども見つかるが、目当てのソリハシセイタカシギの姿がなかなか見つからない。潮もだんだんと上がって来たので、来た道を戻りながら探していると、ようやく3羽のソリハシセイタカシギが見つかった。上がってくる潮のなかで泳ぐように浮かんでいる。そしてこのような潮が上がって来て、降りるところを求めて右に左に移動するハマシギの群翔は美しく、いつまで観ていても見飽きることが無かったが、後ろ髪を引かれながら福岡空港へと向かった。

出水のツルの大群に始まり、諫早のトモエガモの大群、東与賀のハマシギの群翔と連日、鳥の数に驚き、好天のなかでソデグロヅル、ニシオジロビタキ、ソリハシセイタカシギなどにも出逢うことができました。みなさま、お疲れ様でした。

田仲謙介

コクマルガラス 撮影:伊原やよい様

 

ソリハシセイタカシギ 撮影:武藤政男様

 

カナダヅル 撮影:伊原やよい様

 

ダイシャクシギ 撮影:武藤政男様

 

クロツラヘラサギ 撮影:伊原やよい様

 

トモエガモ 撮影:武藤政男様

 

マナヅル 撮影:伊原やよい様

 

マナヅルとナベヅル 撮影:武藤政男様

 

ハマシギ 撮影:伊原やよい様

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