【ツアー報告】アカショウビンを求めて!初夏の戸隠高原 5月31日(日)~6月1日(月)

夏鳥たちを繁殖環境で観察するのに最も適した5月。特にこの戸隠高原は私が最も得意としている探鳥地で、もう20年近く季節を問わず通っている場所です。鳥たちの個体数が多く、環境が良いせいか鳥が探しやすい印象があります。そしてここ数年、アカショウビンとの遭遇率が高いことから今回はよりその確率を上げるために、ツアー時期を遅めに設定しました。雪解け時期の関係からアカショウビンを探せる探鳥地にベストシーズンに行くことができない状況が多い中、なんとかこの地で出会いたいものです。
31日、梅雨入り前の快晴の中、東京駅を出発しました。今回は北陸新幹線かがやきで長野駅を目指しましたが、東京から新幹線だと長野はとても近く、あっという間という感じでした。長野駅で現地集合のお客様と合流後は、まず今回お世話になるホテルに向かい、到着後は各自昼食をとっていただいてから探鳥に出かけました。出発前からホテル周辺ではカッコウの声が聞かれ、集合時にはその姿を見ることができました。暖かかったことからヒバリがさえずり、繁殖中と思われるニュウナイスズメのオスとメスが活発に動き回っていました。この日は日曜日ということもあり、全体的に賑やかな印象がありましたが、最初に訪れた場所では川沿いにキセキレイ、餌を探しているモズの姿があり、アマツバメが飛翔していました。その後は人の気配が少なくなった林に入ることにしました。まずは残雪の影響からか、ようやく咲いたばかりと思われるミズバショウの花を楽しみました。付近では枯れ木にとまってさえずるアオジの姿があり、観察していると2羽のアカゲラが追いかけっこをしている場面に出くわしました。またここでもニュウナイスズメの姿を見ることができました。今年はキビタキの姿が目立ち、あちらこちらで軽快にさえずる姿を見ることができ、望遠鏡を使ってその姿を楽しんでいただくことができました。その後は再び2羽で追いかけっこをしているアカゲラの姿を楽しむことができ、樹上で歌うイカル、餌を探すサンショウクイ、帰りがけには保護色で見づらいキバシリの姿を見ることができ、この日は18:00まで観察して終了しました。
1日、天候が良いとのことから日の出時間の04:30にホテルを出発して森に入りました。昨日見ることができなかったクロツグミのさえずりが響いていたことから探してみると、針葉樹のてっぺんで歌っている個体がいました。なかなか角度が難しかったですが、なんとか望遠鏡で観察していただくことができました。またキビタキは昨日同様に至る所で見られ、同様に望遠鏡を使ってじっくりと観察していただきました。別の場所では2羽のコルリがなわばり争いをするかのように歌い合っていて、そのうちの1羽が道端に出てきたため、美しい青い姿をじっくりと観察することができました。早朝はアカショウビンが歌う確率が高いため、過去に観察記録のあった場所を中心に巡りましたが残念ながらその声を聞くことができませんでした。朝食後は鏡池を目指して歩きました。途中、巣穴を出入りするゴジュウカラが見られ、鏡池では青空を舞う2羽のノスリの姿がありました。戻りのルートでは愛想の良いミソサザイが間近に現れ、ゆっくりとその姿を楽しませてくれただけでなく、ソングポストに止ってしばらくの間、その美しい歌声とコミカルな姿を楽しませてくれました。またキクイタダキのさえずりが良く聞かれ、探してみると針葉樹の枝先を動き回っている姿が見られ、独特の行動で木の幹を登るキバシリの姿を観察することができました。一旦ホテルに戻って戸隠蕎麦をいただいた後の最後の数時間は別のポイントに向かいました。ここでは環境の違いから、ここまで見られていない種に期待しました。まずは地面にちょこんと佇んでいるキセキレイの巣立ちビナを観察し、ようやく高原の代表種であるコムクドリの姿も見ることができました。そして最後はノスリの飛翔を見て観察を終了しました。
今回は幸いにも2日間共にほぼ晴天となり、暑さを感じる時間帯もありました。期待されたアカショウビンに出会うことができませんでしたが、キビタキ、アカゲラ、キバシリの姿が目立ち、クロツグミ、コルリ、ミソサザイ、サンショウクイなど、この地を代表する種をそれぞれじっくりと観察することができました。また、雪解けが遅い場所があったことからミズバショウも楽しめました。次回は秋にひっそりとした森でムギマキとマミチャジナイを中心にカラ類、ケラ類などを観察します。ぜひ季節を変えてまたご参加ください。皆様お疲れ様でした。
石田 光史

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