【ツアー報告】ヤドリギに群れるレンジャクに会いたい! 2024年3月12日

(写真:ヒレンジャク 撮影:大澤保男様)

冬鳥と呼ばれる野鳥たちは毎冬必ず渡ってくるわけではないため、バードウォッチャーにとってはこの冬に見られるのか見られないのか気になるものです。その代表種ともいえるのが今回タイトルにもなっているレンジャクの仲間。日本では主に2種が知られていますが、いずれも独特の風貌、さらにはヤドリギとの共生という特徴などから毎冬注目されています。毎年、11月中下旬には北海道各地から飛来情報をいただいており、この冬は早い段階から飛来情報があったため期待していました。ただこの日は雨、風ともに強く大荒れの天気になるとの予報が出る中での出発になってしまいました。

12日、この日の天気予報は最悪レベルでかなりの雨と風で大荒れになるとの予報が出ていました。確かに東京都内は早朝からどんよりとしていて集合時間に合わせるかのように小雨が落ちてきてしまいました。ただ集合は予定通りに完了したことから予定通り08:30に東京駅前を出発して群馬県に向かいました。移動中は主にレンジャク類の生態の話をはじめ、この日に見られそうな鳥の解説などをしながら進み、途中休憩を挟んでも2時間ほどで現地に到着しました。途中、一時的に雨が落ちてはいたものの現地は雨は降っておらず、意外なことに空はやや明るくなっているように感じました。ひとまず各自、観察機材の準備をしていただいてから観察を開始しましたが、すでに駐車場付近のヤドリギには複数のヒレンジャクの姿があり、カワラヒワが元気にさえずっていました。しばらく見ているとヒレンジャクは間近のヤドリギの実をついばんだり、水場に降りて盛んに水を飲むなど活発に行動していました。また巣作り中と思われる尾羽の先端が曲がったエナガのつがいが見られました。ひとしきり観察した後は次のヤドリギを見てみることにしました。向かう途中にはアカゲラがやってきて間近の木に止まり、ここでもヤドリギに群れているヒレンジャクが見られました。次のヤドリギのポイントに移動する途中では地面にシメ、イカルが群れ、ほかにもムクドリ、ツグミ、カワラヒワが地上採食していました。ヤドリギが見えてくると付近にあった梅の木にもシメが群れ、メジロが蜜を吸いにやってきていました。また地上に群れていたアトリが一斉に飛び立って枯れ木に止まったことから望遠鏡で見てみると、オスはすっかり頭部が黒くなっていました。また芝生を歩き回るカケスも見られました。ここのヤドリギにもかなりの数のヒレンジャクの姿があり、水場に向って飛んで行ってはまた戻ってくるといった行動も見られました。その後はバスに戻って各自昼食の時間を取り、その後は山麓の公園に行ってみました。林に入ると珍しくキクイタダキが枯れ木に止まっていて、池まで行くとマガモ、コガモ、カルガモ、キンクロハジロの姿がありました。さらに歩くとシジュウカラが地面に群れ、付近にはヤマガラ、コゲラの姿があり、芝生から数羽のアトリが舞い上がって木に止まりました。その後は芝生に群れているツグミ、桜の木で採食しているコゲラを見ながら歩き、ふとカラ類の警戒声が聞こえたかと思うと、オオタカの成鳥が飛んできて木に止まっていました。その後は小雨が降り出す中、複数のカケスの姿を楽しむことができ、帰り間際にはシロハラ、アオゲラにも出会いました。雨がかなり激しく降っているようであれば早めに帰ることも考えていましたが、気にならない程度の小雨だったことから最後にもう一カ所立ち寄って、ここでは毎年のように見られているアメリカヒドリのオスを観察してこの日の探鳥を終えました。終わってみれば雨の影響は全くなく傘の出番もほとんどない幸いな1日でした。

この冬は早い段階からレンジャク類の飛来情報があったことから期待していましたが、その期待通りにレンジャク類が渡ってきてくれたようで、この日はキレンジャクに出会うことはできませんでしたが、数多くのヒレンジャクを堪能することができ、ほかにもアトリ、シメ、イカル、アカゲラ、アオゲラ、ハイタカ、オオタカ、カケス、キクイタダキ、そしてアメリカヒドリも見ることができました。この度はご参加いただきましてありがとうございました。またご一緒できましたら幸いです。

石田光史

ヒレンジャク 撮影:岩尾信治様

 

ヤマガラ 撮影:大澤保男様

 

シメ 撮影:岩尾信治様

 

ヒレンジャク 撮影:大澤保男様

 

ハイタカ 撮影:岩尾信治様

 

オオバン 撮影:大澤保男様

 

ヒレンジャク 撮影:岩尾信治様

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