【ツアー報告】フォトツアー シマエナガとタンチョウの塒 2025年1月24日~26日
ここ数年、圧倒的な需要増になった野鳥の撮影。これを主な目的としてシリーズ化しているのがフォトツアーです。通常のバードウォッチングツアーでは多くの探鳥地に出向き、数多くの野鳥たちに出会うことを主なコンセプトにしていますが、野鳥を撮影するとなるとそれなりの時間を要し、また条件も選ばなくてはなりません。そのためフォトツアーでは目的とする種を絞り、厳選した探鳥地でなるべく時間をかける行程にしています。今回はここ数年、大人気になっているシマエナガの撮影を中心に、早朝に幻想的な風景の中でタンチョウの撮影、さらにはエゾフクロウを主な目的とし、訪れるエリアが1時間圏内であることから宿泊を連泊にして、2日目、3日目の行動を臨機応変にできるようにしました。出発前、ずっと現地の状況をSNSで確認していましたが、我々が訪れる前週は気温が下り、-20℃超えの日もあったことから期待していましたが、我々が訪れる週はどうも気温が高くなってしまうとの予報が出ていて、天気も曇りベースとのことでした。
24日、早朝の東京都内は春のような陽気で早朝からほぼ快晴でした。この日は北海道東部には積雪があるとの予報が出ていたことからやや心配していましたが、我々が搭乗する便には影響はなく、ほぼ予定通りご集合いただいたことから、資料、搭乗券の配布、そしてこの日の行動予定をお伝えしてから搭乗して現地に向いました。到着後は荷物をそのままバスに積み込んで出発し、この日の宿泊地に向いました。到着時は薄曇りで雪は降っておらず、外に出ると例年に比べて積雪は少なく、気温がかなり高い印象でした。事前の天気予報は雪とのことだったので、この後はどうなることかと思っていましたが、ちょうど峠に向うあたりからは小雪が舞い始め、峠にさしかかるとかなりしっかりした雪が降ってきました。その後も雪が降り続く中、14:30過ぎに宿泊地に到着しました。到着後は一旦お部屋に入っていただいて各自機材の準備をしていただいてから撮影を開始しました。この時間はまだまだかなりの雪が降っていましたが、小鳥たちの動きは活発で、シジュウカラ、ハシブトガラ、シロハラゴジュウカラはほとんど途切れることなくやってきては餌をついばんでいて、主役のシマエナガも10羽ほどの大きな群れで何回も何回もやってきて、その可愛らしい姿をしっかりと見せてくれました。そして後半にはアカゲラもやってきて我々の間近で餌を食べていました。ただ16:00になると、小鳥たちの動きがピタリと止まってしまったことから撮影を終了し、16:30からはオーナーのご厚意でエゾモモンガの観察をしていただきました。この時間になってもまだまだ雪は降り続いていましたが、今年は3~4個体が見られるようで、この日も巣穴から飛び立っていくエゾモモンガの姿を見ることができました。
25日、事前の天気予報ではこの日は曇りでやや風が残るとの予報でした。この日は早朝にタンチョウの塒に行く予定のため04:45出発で準備をしていました。この場所は気温が急激に下がることによって川霧が立ち、それが霧氷となって周辺の木々を覆い、そこに朝日が当って橙色に輝くという幻想的なシーンが見られることで知られています。先週は気温が-20℃を下回る日が続いていたものの、今週は残念ながら気温が高く、この日の朝もダウンジャケットがいらないくらいの気温でした。途中、朝食を買い込んで鶴居村に向いましたが、この日は想定外に積雪が多く、到着した駐車場は車が入れる状況ではありませんでした。しばらく車内で待機した後はそれぞれ外に出て撮影をはじめましたが、曇天のせいか気温は高く、期待したような条件にはなりませんでした。ただかなり雪が降ったことから、周囲の木々には雪が積もり、風景としては見事なものでした。早速、ヤマセミが鳴きながら飛び、遠くのカラマツには3羽のオオワシが止まっていました。タンチョウたちはやや遠めの場所に群れていて、明るくなってくるにつれて鳴き交わしを始めたり、飛び立って畑地に降りたり、中には我々のすぐ頭上を通過していく個体もいました。この日はほかにもマガモ、カワアイサ、オオハクチョウ、アカゲラ、ハシブトガラなどが見られ、わずかながらコアカゲラ、そして3羽で飛んできて餌を探しているベニマシコも見られました。その後は昨年に引き続いてこの冬もやってきたマナヅルを見てからサンクチュアリーに行ってみました。この時間になっても相変わらず雪は降り続いていて、その向こう側にはかなりの数のタンチョウの姿がありました。この日は最初、一カ所に固まるように佇んでいましたが、次第に鳴き交わしも盛んになってきて賑やかになり、雪原から飛び立って行く様子も見ることができました。そして11:00には現地を出てエゾフクロウがいる場所に行ってみました。この日は積雪がかなりあったことから、歩いていくにもかなり苦労するほどでしたが、この日は幸いにも1羽が樹洞の縁に止まっていて、なぜかずっと目を開けていたのが印象的でした。その後は鶴居村で昼食を買ってから再び宿まで戻り、再びシマエナガをはじめとした小鳥類の撮影を行いました。雪が降り続く中でしたが、この日もシマエナガは頻繁にやってきてくれ、時には10羽を超えるような比較的大きな群れでやってきてくれました。また例年に比べて滞在時間が長いように感じ、そのせいかゆっくり撮影ができたように感じました。ほかにもシジュウカラ、ハシブトガラ、シロハラゴジュウカラは途切れることなく見られ、この日はアカゲラ、コゲラ、そしてオオアカゲラのメスも見られ、ハンノキにはマヒワの群れがやってきていました。
26日、この日はどうするか悩みましたが、前日の天気予報では早朝に晴れマークがあったことから05:00に出発して鶴居村に向いました。ただ早朝はやはり気温が高く-2℃でこの日はやや風がありました。前日のドカ雪の影響はなく順調に進み、現地が近づいてくれるにつれて一部で雲が切れて明るくなってきているように感じました。現地に到着後は朝食を食べながら、外が明るくなってくるのを待ってそれぞれ撮影に出ていただきました。この日は気温は低くなかったことから、必ずしも良い条件ではなかったですが、塒となっている川面からまずオオハクチョウが飛に立って我々の頭上を通過し、追って次第にタンチョウも飛び立って行き、特に3羽で飛び立った親子のタンチョウは我々のすぐ頭上を飛んで盛り上がりました。ただ、この日は風も強く、条件的にさほど良くなかったことから予定よりもやや早い08:00に現地を出発して宿に戻り、残りの時間はシマエナガの撮影をすることにしました。この日はやや風があったものの次第に空には晴れ間が見えてくる中、相変わらずシマエナガはかなり大きな群れでやってきては可愛らしい姿を存分に見せてくれ、シジュウカラ、ハシブトガラ、シロハラゴジュウカラ、アカゲラもやってきて楽しませてくれました。そして撮影を終えて室内で荷物整理をしていると、オオアカゲラのメスがやってきて、最後にはオオモズがやってきて小鳥を追い回す姿をご覧になった方もいらっしゃいました。そしてバス出発時には空はすっかり快晴になっていて空港に向かう途中では屈斜路湖が見え、周囲は見事な霧氷の世界へと変わっていて、最後に北海道らしい風景を楽しむこともできました。
今回は前週の気温低下でかなり期待していましたが、ツアー中は気温が高く、結果的にはタンチョウの塒では期待したような幻想的な風景にならず残念でした。ただ雪景色の中で塒に佇むタンチョウや飛翔する姿、そしてサンクチュアリーでは求愛ダンスや鳴き交わしが見られ、さまざまなシーンを撮影することができました。一方、シマエナガは今年は群れの規模が大きく、滞在時間が長いように感じたことから、じっくり撮影ができ幸いでした。ほかにもオオワシ、オジロワシ、アカゲラ、オオアカゲラ、エゾフクロウ、そしてヤマセミやコアカゲラ、マナヅルのおまけもついてくれました。この度はご参加いただきましてありがとうございました。
石田光史