【ツアー報告】東シナ海の秘島 平島 2015年5月1日(金)~7日(木)
1日、鹿児島空港に全員集合して、鹿児島港南埠頭から「フェリーとしま」に乗船する。このフェリーは十島村が運航している村営のフェリーだが、総トン数1,391トン、全長85.5mの立派なフェリーなのである。
23:50 「フェリーとしま」は静かに錦江湾へと滑り出した。明朝にはトカラ列島の平島に着く。トカラ列島という響きだけでわくわくする。今年はどんな鳥たちとの出会いがあるのだろうか。
2日、朝、5:20 に甲板に出ると、オオミズナギドリやカツオドリが飛んでいた。口之島から中之島へ向かう間、数百羽のオオミズナギドリが次々と流れて行き、カツオドリも数羽がフェリーに付いてくる。
08:50平島に到着。民宿に荷物を置き、直ちに鳥見を開始する。民宿の周りではアカヒゲが朗々と囀り、色の濃いアマミヒヨドリ、腹部が灰色のリュウキュウメジロなどを見ながら歩くと、マミチャジナイがとまっていた。さらに行くとガジュマルでシベリアムクドリが餌をついばみ、アトリ、シロハラホオジロ、ズアカアオバトなどがいる。さらに山の方へ行くとキビタキの雄の第1回夏羽、コサメビタキ、エゾビタキがたくさんいて三種混合で道路の脇で餌を採っていた。昼食後、シマノジコの情報を頂き、ポイントで待つがなかなか出てこない。しかたないので、ここで待つ人と別の場所へ行く人に別れる。平島での探鳥は、一度、全員で島内を廻ってポイントの名称を確認し合い、後は自由行動として、ひたすら歩きまわる人、写真撮影の人、のんびり見たい人などに別れ、何か出たら携帯電話で連絡をするというスタイルである。見上げると何十羽というツバメが乱舞し、コシアカツバメ、イワツバメ、アマツバメが混じっている。千年ガジュマルに行きアカヒゲを堪能する。男女諸島から奄美諸島にいるアカヒゲが亜種アカヒゲであるが(沖縄本島は亜種ホントウアカヒゲ)、奄美諸島より以北のものは夏鳥として渡来し、サイズが大きく、中でもトカラ列島のアカヒゲが最も美しいと思う。そして、奄美諸島や沖縄本島のものは物凄く恥ずかしがり屋で、しかも早朝しか鳴かないのに、平島のアカヒゲは日中でも何度もみんなの前で歌ってくれる目立ちたがり屋なのである。森の中からサンコウチョウやアカショウビンの声がする。全員、シマノジコを見ることができ、本日は40種の鳥たちに出会えて終了。
3日、朝、05:45民宿の近くでミゾゴイ、アカハラダカを見る。昨夜が土砂降りだったので期待していたのだが、鳥が少ない。さらに雨がぽつりぽつり。グランドでダイサギ、チュウサギ、タカブシギを見ていると遠くでジュウイチが鳴いている。ムクドリ類の群れがいくつも飛び廻るが種の識別には至らない。朝食後、シロハラ、リュウキュウサンショウクイなどを見ていると土砂降りとなり、さらに雷が落ち、全員、宿へと避難する。午後は横殴りの風雨と雷で宿待機だが、小降りになると元気な方が宿の周りを歩き、風雨が強くなると引き返すを繰り返す。夕方、1人だけオウチュウを見てみんなに羨ましがれて終了。こんな日でしたが30種の鳥たちに出会えました。
4日、朝、05:45神社の近くでオウチュウを発見。みんなでじっくりと堪能する。しかし、昨日よりもさらに鳥が少なくなった。ビンズイがたくさん入ってきたらしく、あちこちで見かける。朝食後、サメビタキ、ササゴイ、キマユムシクイなどを見ているとアオバトの声がする。アオバトとズアカアオバトが同時に見られる場所は国内にそうそうないだろう。午後、他のバーダーからコシャクシギの情報を頂き、慌てて南之浜に行くと綺麗な夏羽のツバメチドリがいた。しかし、コシャクシギは見つからず、諦めて東之浜に行きツメナガセキレイ、イソヒヨドリ、キアシシギ、ツツドリなどを見る。すると、なんと海岸に綺麗な夏羽のアカガシラサギが5羽もいるではないか。渡って来て海岸に到着したのだろう。再び、南之浜に行き、なんとかコシャクシギを発見。みんなでじっくりと堪能する。アトリやムネアカタヒバリなどを見て、本日は48種の鳥たちに出会えて終了。
5日、朝、05:30鳥たちの賑やかな声がするので早めに外に出るとみなさん揃っていた。昨夜、鳥たちがたくさん入ってきたようで、民宿の前のガジュマルやマキの木にキマユムシクイ、センダイムシクイ、メボソムシクイ、エゾムシクイなどのムシクイ類がたくさんいる。特にキマユムシクイはたくさん入ってきたようで島のいたるところにいる。ムギマキも入ってきたようであちこちで見るが全て雄の若鳥だ。朝食後、グランドに行くとコシャクシギがいたのでじっくりと観察したり写真を撮ったりする。するといきなりハヤブサが現れ、コシャクシギを襲ったのだ。しかし、間一髪のところでコシャクシギは難を逃れ、慌てて飛び去ったのである。リュウキュウサンショウクイやムギマキの雌も入ってきたようであちこちで見る。神社でベニバトを発見するが、直ぐにガジュマルの葉陰に隠れてしまい出てこない。昼食後、再び神社へ行くとベニバトが見やすい所に出てきてみなさんで堪能する。コサメビタキとエゾビタキがたくさん入ってきて、どんどん増えていく。ヒレンジャク2羽がガジュマルの実を食べている。ガジュマルの実なんて見たことあるのだろうか?どうして食べられると分かるのだろうか?などと考えていると、コウライウグイスの情報を頂いた。急いで現場に行くと、松林からさえずりが聞こえる。島中のバーダーが集まって探すが見つからない。ちらちら見え隠れし、残念ながら数名が見ただけでどこかへ行ってしまったので、手分けして島中を探すが見つからなかったのである。本日は44種の鳥たちに出会えて終了。
6日、朝、05:35グランドにいくとアカコッコがさえずっていた。平島の鳥たちは、ツバメ、モズ、ウグイスなどの本土系の種とズアカアオバト、アカヒゲ、リュウキュウメジロの琉球系の種、さらにアカコッコのような伊豆諸島の種が混在するという不思議な島なのだ。上空をツバメが次々に流れていき、イワツバメ、ハリオアマツバメ、ヒメアマツバメが混じっている。アナツバメを見つけるがヒマラヤなのかマレーなのかムジなのか分からない。そして、後ろ髪を引かれる思いで、10:00 「フェリーとしま」は鹿児島に向けて平島南之浜港を出港したのである。
とにかく、よく歩いた5日間でした。皆様お疲れ様でした。
宮島 仁