【ツアー報告】絶景の立山 ライチョウの親子に会いたい! 2025年7月19日~21日

(写真:ライチョウの親子 撮影:栖原恵子様)

ここ数年はいつが梅雨なのかがほとんどわからず、春以降は一気に真夏に突入したかのような猛暑が続くようになっています。こうなると外出そのものが危険になるほどで、もうどこに行ったら良いのか悩むようになっています。そんな中、標高2450mの涼しい室堂に出かけて国の特別天然記念物であるライチョウを観察するツアーはこの時期、すっかり定番になっていて、ちょうど可愛らしいヒナたちを連れた親子に出会う確率が高い時期なのです。ライチョウはこの立山室堂のほか、乗鞍高原の畳平でもツアー企画していますが、畳平は晴天時にはなかなか出会うことができないというライチョウ特有のマイナス要素があるものの、ここ室堂のライチョウは天候に左右されない印象があり、過去、毎回、可愛らしい親子連れのライチョウに出会っています。ただ現地はマイカー規制がされているため室堂に行くには何度も何度も乗り換えをしなくてはならず、特に荷物が多い我々にはなにかと面倒です。そのためツアーでは専用バスを利用して富山駅から直接室堂まで行くことができるようにし、また天候の急変などの場合、専用バスであれば好きな時間に移動できるため、危険回避の面からも何かと安心なのです。今回は3日間を通して天気予報は概ね良いとのことで安心して出発できることになりました。

19日、ずっと猛暑が続いている東京都内は、この日も朝から快晴のため気温がぐんぐん上がっているように感じました。この日から3連休ということもあってか、東京駅は大混雑でしたがトラブルなく東京駅を出発して富山駅に向かいました。途中、車窓からは美しい青色の日本海を望むことができ、到着した富山駅は東京都内に負けないくらいの猛暑でした。ご集合いただいた後は資料を配布してからバスにご乗車いただき、この日の宿泊地である弥陀ヶ原を目指して出発しました。途中、15分ほど休憩をとりましたが、その暑さは変わることはありませんでした。そして再度出発後はいよいよ弥陀ヶ原に向けてバスを進めました。この時点でもとにかく珍しいくらいの快晴で、はるか遠くの山々までしっかりと見えていました。途中、その落差が日本一の称名滝を見ることもでき、その後もバスはグイグイ山道を登り、左手にワタスゲ咲く弥陀ヶ原が見え始めると、ようやく今回お世話になる宿が見えてきました。宿に到着後はロビーをお借りして観察機材の準備をしていただき、再度バスにて出発して室堂に向かいました。この時点でも空は真っ青で振り返ると富山の街並みと富山湾の見事な風景も見ることができ、到着した室堂駐車場でバスを降りると、それほど寒さを感じることはなく、イワツバメが飛び回っていました。室堂平に出てまずは室堂平から見ることができる山々を案内した看板で立ち止まって説明をし、それから歩きました。途中、チングルマ、イワカガミ、ヨツバシオガマなどを花々が見られ、タテヤマリンドウはかなりの数が咲いていました。するとまだまだ残る雪の上を歩くライチョウのヒナの姿がありました。そのためここからはこの場所に留まって探鳥を続けることにし、ライチョウのメス、そして6羽のヒナを見ることができました。観察しているとこの親子はどんどん我々のほうに接近してきて、最後は眼下の岩場を歩いて通過していきました。さらによく見ると遠くの岩場ではもう1羽のライチョウのメスが盛んに砂浴びをしていて、いつの間にか足元にカヤクグリが2羽やってきてくれました。その後はこの親子が去っていったほうに行ってみると、また別の親子のライチョウに出会うことができ、ここでは5羽のヒナを連れたメスがたたずんでいました。ヒナたちは自由気ままに歩き回っていて、中には我々の手の届くような距離を歩き回ることもあり、しばらくの間、楽しませてくれました。しばらくするとこの親子は遊歩道を渡って別のエリアに移動し、その途中では遊歩道上で親子で砂浴びをするという意外な行動をたっぷりと観察することができました。またこの時、遠くの草原にはさらに別のライチョウの親子がいました。気が付くと時間は17:00になり、きれいに見えていた山々には霧がかかり山頂見えず、かなり冷え込んできていました。

20日、この日も早朝から見事な青空が広がっていて天気の不安は全くない感じがしました。この日はまず宿周辺を歩いてみました。早くもウグイスが針葉樹でさえずり、チョウゲンボウが飛んできて建物に止まっていました。道を歩いていくとウソが針葉樹に止まり、間近の草むらから飛び立ったオスが針葉樹に止まってじっくりとその姿を見せてくれました。さらに進むと遠くからカッコウの声が聞こえ、針葉樹の枝先でさえずっている姿を見ることができ、付近ではミソサザイがさえずり、道路上には頻繁にアカハラが出てきては餌を捕っていました。また同時にクロジも出てきて歩き回っていました。時間になったことから道を戻ると、再びアカハラが道に出てきて歩き回り、枯れ木に止まったメボソムシクイをじっくりと観察することができました。またようやくクロジのさえずりが間近に聞こえたことから探してみると、針葉樹の枝先でさえずっている姿をたっぷりと観察することができました。その後は朝食をいただき再度出発してこの日も室堂に向かいました。この時間になっても晴天は変わらず、眼下にはこの時間になっても富山湾や周辺の街並みがはっきりと見え、遠くには剣岳もはっきりと見えていました。室堂平に出るとさらに山々は美しく見え、この日は新たなライチョウの親子を探して歩いてみました。途中、美しい剣岳が見え、その後は足元に咲く、タテヤマリンドウやイワイチョウを見ながら歩きましたがここではライチョウの姿はなく、キセキレイが見られたのみで、その後は別の場所を歩いてみました。ここでも過去、何回もライチョウの親子を見ていますが、この日も幸いなことに数羽のヒナを連れたライチョウのメスが見られ、湿地帯を歩く姿が見られ、最後は斜面を登っていってその姿は見えなくなりました。ただ室堂平方面を見ると昨日見た親子と思われるライチョウの姿があったことから、予定していたコースを変更して向かうことにしました。最初に見つけた親子は早々にいなくなってしまいましたが、新たな親子がいたことからこちらを見に行くことにし、ここでは間近に歩き回るライチョウのメスと5羽のヒナを見ることができました。探鳥後は少々時間があったことから自然保護センターに立ち寄ってライチョウ観察記念のステッカーをいただいてから宿に戻って昼食の時間としました。そして午後からは13:30にご集合いただき宿に滞在している富山県の自然ガイドさんと共に弥陀ヶ原を歩くツアーに参加しました。この頃には日差しはさらに強烈になっていて暑さが増しているように感じました。まずはワレモコウ、ゼンテイカ(ニッコウキスゲ)、タテヤマウツボグサなどを見ながら弥陀ヶ原特有の地形の解説を伺い、木道を歩いていくと各所で池塘とワタスゲの見事なコラボレーションが見られました。さらに進むと各所にタテヤマリンドウが咲き、弥陀ヶ原特有の白い花であることから、シロバナタテヤマリンドウと呼ぶのが相応しいとの解説もいただきました。さらに池塘をよく見ると傍らには食虫植物として知られるモウセンゴケも見られ、最後は針葉樹に止まっているモズ、そしてウソを見て2時間ほどの弥陀ヶ原ウォークを終えました。毎回のことながら担当してくださったガイドさんのおかげで楽しく過ごすことができました。その後はまだ少々時間があったことから16:00からカルデラ展望台に向かいました。この時間になるとやや霧が出てはいましたがまだまだ視界はあり、途中ではクロジやメボソムシクイのさえずりが聞こえました。また途中ではサンカヨウの花が見事で、傍らには存在感のあるキヌガサソウが咲いていました。展望台までくるとまだまだ視界ははっきりしていてカルデラ状の地形を見ることができました。

21日、この日はお昼前後から雨が降るとの予報を出しているところもありましたが、前日同様に早朝から快晴でした。この日もまずは宿周辺を歩くために外に出てみましたが、早速、針葉樹でウグイスがさえずっていました。ほかにも周辺からはクロジ、メボソムシクイ、アカハラのさえずりが聞こえ、これらの声を聞きながら歩きだしました。するとこの日もアカハラがつがいで道路上を歩きながら餌を探していて、大きな昆虫らしき餌を咥えているシーンが見られました。また付近の針葉樹ではさえずっているアカハラも見られ、朗々とさえずる姿も見ることができました。その後は朝食をいただき再度出発してこの日も室堂に向かいました。ツアーとして3日目でしたが、この日もすっきりした快晴だったことから、途中、天狗平で少々バスを止めて全景を見せてくれた剣岳を見る時間をとりました。室堂到着後はライチョウはひとまず置いておいて、この日はイワヒバリを探しに行くことにしました。ただその途中ではかなり小さなヒナを連れたライチョウのメスに出会うことができ、このツアーでまた新たなライチョウの親子に出会うことができました。その後はたまたま良いタイミングでイワヒバリが飛んできて岩に止まってくれました。そして最後は幼鳥と並んだシーンまで見せてくれました。観察後は来た道とは反対側の遊歩道を歩き、さきほど出会ったライチョウの親子に再び出会うことができました。このライチョウのメスは足輪をしておらず、明らかにここまで見てきた個体とは異なっていました。また連れているヒナは5羽でかなり小さなヒナで、時々、メスの体の下に身を隠すような行動をとっていました。少々、時間が伸びましたが12:00で観察を終え、最後にタテヤマチングルマの花を見て室堂を後にしました。

今年の夏の立山ツアーはたまたま梅雨明けのタイミングに当たったこともあって、3日間を通してほぼ雲一つない快晴続きとなりました。主役のライチョウは計5親子を見ることができ、全体的にヒナの成長が早い印象でしたが、最後の最後でかなり小さいヒナを見ることができました。生存率はかなり低いそうですが、今回出会ったヒナたちが順調に育ってほしいと思いました。ほかにもイワヒバリ、カヤクグリがたっぷり見られ、雄山の景観をはじめとした見事な風景を堪能できました。花々は少々時期遅れでしたがチングルマやイワカガミ、イワイチョウ、ハクサンイチゲ、ヨツバシオガマ、タテヤマリンドウ、ハクサンイチゲ、シナノキンバイなどの花々が見られ、今回はタテヤマチングルマも比較的よく見られました。また弥陀ヶ原ではアカハラ、クロジ、メボソムシクイ、カッコウ、モズ、ウソ、そしてわずかながらホシガラスも見られ夕景の富山湾も印象的でした。次回は白いライチョウの姿を求めて雪原の室堂にぜひお出かけください。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

イワヒバリ 撮影:栖原恵子様

 

カヤクグリ 撮影:栖原恵子様

 

クロジ 撮影:栖原恵子様

 

ライチョウ 撮影:栖原恵子様

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