【ツアー報告】西日本屈指の渡り鳥の中継地 春の対馬 2023年5月2日~4日
(写真:キガシラセキレイ 撮影:天野昌弘様)
2日朝、羽田空港からいつもお世話になっている対馬野鳥の会の方に連絡を入れて、最新の情報を教えてもらうと、数日前に見つかったシベリアオオハシシギと昨日見つかったキガシラセキレイは今朝も観られているとのことなので、期待を胸に対馬へと向かう。今年から航空便のスケジュールが変更になったこともあり、初日の探鳥時間が残念ながらあまり取れなくなってしまったので、本日はこの2種に狙いを絞ることとする。対馬空港到着後、先ずはキガシラセキレイが確認されている場所へと向かい、湿地、隣接する畑地を注意深く探すが、その姿が見つからない。次の探鳥地も控えているので、いよいよ諦めようかと思った時に「出ましたよ!」のひと声。急ぎ、声の方向を探すと、湿地の草の中から鮮やかな黄色い色が見え始めてきた。いつ見てもキガシラセキレイの頭の黄色は独特の鮮やかさがあり、本当に美しいと思う。発見当初は草の茂みの中にいて見やすいところになかなか出てこなかったが、次第に活動が活発になり、最後には観察している私たちの足元まで飛んできて、その美しい姿を楽しませてくれた。満足いく観察ができたので、次なるターゲットを求めて移動する。シベリアオオハシシギが観察された場所では、出現した場所のおおかたの推測がついていたが、水田を見渡してみても、こちらもいない!太陽も傾き始め、焦りが出てくるなか、探す範囲を広げていると、意外なことにタマシギの姿が見つかった。タマシギは対馬では数回の記録しかない珍鳥だが、今探しているのはこの鳥ではない。より探す範囲を広げていくと、ようやく遠方にそれらしき姿を発見する。少し近づいて確認すると、間違いない。美しい夏羽のシベリアオオハシシギを堪能して、笑顔で宿泊するホテルへと向かった。
2日目は春の渡りを彩るホオジロ類を観察するため、まずは農耕地へと向かった。畑地ではキマユホオジロ、コホオアカ、シベリアアオジが多く見られたが、現れるホオジロ類はこの3種であることがほとんどで、他の種はなかなか見つからない。そんななか、前方の常緑樹に飛び込む、鳥の小群が視界に飛び込んできた。急ぎ、そこに目を向けるとコイカルであった。嬉しいことに雄も雌もいる。しかし、観察している途中に次々と木から飛び出し、山の斜面へと飛び去り見失ってしまったが、小川で水浴びをしていたらしく、枝先で羽繕いをする姿を再度、観察することができた。しかし、昨日から続く好天の影響かその後がなかなか続かない。それでも渡り鳥の中継点となる島だけに、次なる瀬の水田地帯ではツメナガセキレイ、マミジロツメナガセキレイ、キタツメナガセキレイの3亜種が土手に並んで現れたり、お昼を食べた食堂上空をハチクマとノスリが通過して行ったりと、数は少ないながらも渡り鳥たちの姿が見つかる。午後は、今朝見つかったマミジロタヒバリから探しに向かうと、こちらは簡単に見つかった。夕方は新たな渡り鳥の姿を期待して、対馬の渡り鳥の玄関口へと向かうも、先に観察をされていた方々が口を揃えて「鳥が少ない」という通り、鳥の姿が少なく、残念ながら新たな渡り鳥の発見にはいたらなかった。
3日目、本日は午前中のみの探鳥となるので、移動時間の多い対馬では、どこを訪れるかがとても重要となる。昨晩のうちに探鳥をしていた数人と連絡を取るも、特にこれといった話が伝わってこない。そこで、ホテルからも近い場所から探鳥を開始していると、友人から電話がかかってきた。浅藻の水田にきれいなアカガシラサギが出ているという。移動時間を考えるとぎりぎりであったが、向かうこととする。すると電話をくれた友人が待っていてくれ、到着後すぐに発見することができた。幸運なことに開けた水を張った水田に出てきていたので、その美しい姿をしっかりと楽しんで、今回の旅行の締めくくりとした。この度はご参加いただきましてありがとうございました。
田仲 謙介