【ツアー報告】秋のシギチドリ巡り 東京湾と霞ケ浦 2025年10月1日
1日という限られた時間の中で海水域と淡水域の両方をめぐりながら、それぞれの環境に生息するシギチドリ類を集中的な観察する秋定番の日帰りバスツアー。淡水域での探鳥では道幅が狭い県道を走らなくてはならないため、車幅が狭い小型のマイクロバスを利用した少人数でコンパクトなツアーとし、アクセスを良くして歩く距離もできる限り軽減しています。また海水域に関しては潮位を見て日程を決めています。そして淡水域での探鳥ではさまざまなトラブル事例があることから、それらを回避するための探鳥ルールについて説明してから現地に向かうようにしています。ただ秋はなかなか天候が安定せず、晴れたり雨が降ったりと毎回毎回悩ましく、今回は残念ながら終日雨模様で、一時的に強く降る時間帯もあるとのことでした。
1日、この日は潮位の関係から集合時間は08:00。早朝の都内はどんよりとした曇り空で早くも小雨が落ちてきていました。順調にご集合が完了したことから予定通り出発することができ、まずは海水域での探鳥のため千葉県に向かいました。移動中のバス車内ではわずかな時間ながら、秋の地味な色合いのシギチドリ類識別のポイントを説明しながら進むとともに、この日に見られる可能性が高い種について解説しました。到着後は幸いにも雨が降っておらず、長靴に履き替えるなど準備をしていただいてからトイレに立ち寄り、それから干潟に向かいました。この時間はまだまだ潮位は上がっておらず、比較的干潟部分が多かったですがシギ類の姿は少なく、中央に密集している状況でした。まずは距離をとって観察し、ミユビシギ、ハマシギ、トウネン、ダイゼン、オバシギ、オオソリハシシギなどを観察しました。その後は群れに次第に接近して観察し、新たにソリハシシギ、シロチドリも加わり、最後はどんどん接近してきたオバシギ、ミユビシギ、さらには間近にハマシギ、トウネンを観察してから干潟の西側に移動しました。ここでは渡ってきたばかりのヒドリガモの群れが休み、付近には多数のミヤコドリの姿があり、これらを観察して終了しました。探鳥後は靴や三脚の泥を落としていただいてから再びバスに乗っていただきましたが、ここまで幸いなことにほぼ雨に打たれることはなかったものの、バスに乗ったとたんに激しい雨が落ちてきてしまいました。その後は茨城県に向かい、途中にあるサービスエリアで各自昼食をとっていただき、出発後は車内で淡水域でのシギチドリ観察のルールや識別方法について説明しながら進めました。現地に到着すると幸いにも空は明るくなっていて雨の気配がなかったことから、少々歩いて探鳥するポイントからスタートすることにしました。ここでは休耕田にシギ類が群れ、かなりの数のトウネンをベースに10羽ほどのウズラシギ、そしてたった1羽ながらツルシギ、オグロシギ、オジロトウネンの姿もありました。しばらく観察して次の場所に到着した頃からは突然、激しい雨が降ってきたことから、一旦バスに戻ることにしました。その後はしばらく雨が止まない予報だったことから、バス車内から観察できる場所をめぐってみました。まずはタカブシギ、タシギ、コチドリなどが見られ、次の場所ではセイタカシギ、ヒバリシギ、タシギなどが見られ、最後はシマアジにも出会えました。そうこうしているうちに雨が一時的に上がったことから、最後に少々歩いて探鳥する場所に行ってみました。ここではまずクサシギが見られ、その後は別の水田に群れる7羽のセイタカシギが見られ、付近にはコアオアシシギ、アカアシシギの姿もあったことから比較しながら観察することができました。その後は再び雨が落ちてくる中、トウネンの群れ、ウズラシギ、アカアシシギ、ツルシギ、オジロトウネンなどをじっくり観察し、いつしか雨が上がるとともにショウドウツバメの群れが飛び回りはじめていました。
まずは終日ほぼ雨の中の探鳥になり、お疲れさまでした。ただ意外にもシギチドリ類はよく見られ、海水域では基本種のハマシギ、ミユビシギ、ダイゼン、シロチドリをはじめ、ソリハシシギ、オオソリハシシギ、オバシギ、ミヤコドリなどが見られ、淡水域ではセイタカシギ、タシギ、ツルシギ、コアオアシシギ、アカアシシギ、クサシギ、タカブシギ、トウネン、オジロトウネン、ヒバリシギ、ウズラシギ、コチドリなど計23種のシギチドリ類に出会うことができました。この度はご参加いただきましてありがとうございました。
石田光史