【ツアー報告】春の渡り鳥を求めて!新潟県・粟島 2015年4月25日(土)~27日(月)

25日、岩船港から海を眺めると、沖は白波ひとつ無いおだやかさで、欠航どころか、揺れもほとんど感じない海を粟島へ向かいました。その航路では定番のオオミズナギドリのほか、夏羽が美しいオオハム、シロエリオオハムも至近距離に現れ、しっかりと観察しました。粟島に到着した後は内浦の農耕地から探鳥を開始しましたが、今年は例年より春の渡りが1週間~10日前後早いという話を耳に挟んでいたので、夏鳥のなかでも渡来が遅めの種が主役になるかと思いきや、ツグミ、カシラダカ、アオジの3種が圧倒的に多く、ほかはルリビタキ、シロハラ、アトリと冬鳥ばかりの姿が目立ち、繁殖のために渡って来た夏鳥がほとんど見つかりません。内浦をひととおり見た後は、島の北部にある牧平地区まで移動して観察をおこない、初日の探鳥を終えました。
26日、早朝の探鳥に出かけようとしたところ、漁船が停泊する港内の水際にセイタカシギの姿がありました。関東地方では一年を通して観察する機会が少なくない鳥ですが、日本海側ではいまだに見る機会が少ない鳥らしく、この鳥も遠路、ここまで渡っているのだと思い観察をすると、これからの旅路を応援したくなりました。
向かった島の北側では、ヒヨドリの群れが賑やかにしていることが多いのですが、この日は目立たず、カシラダカやアオジの群れのほかに、まとまった数のコムクドリの群れが見られました。この日は前日と比べて、コムクドリの姿が多くなったことから、コムクドリは前夜のうちに、まとまった数が到着したようです。その一方で、昨日は多かったカシラダカやアトリなどは数を減らしていることから、昨晩のうちに島を旅立ったようです。このように一晩で鳥の様子が、大幅に変わることを体感することができるのも、渡りの時期の離島ならではの楽しみといえるでしょう。
27日、本日も昨日から続く好天に、島に入ってくる鳥よりも、島を旅立つ鳥のほうが多いのではないかという予測はついていましたが、実際に探鳥をしてみると、まさにその通りで、鳥の数はかなり減っていました。それでもサンショウクイ、オオジュリン、クロジなど、昨日までは観察することが無かった種も見ることができました。島を離れる帰路の航路も大変に穏やかで、浮かぶウトウの小群を繰り返し観察していたら、目的地の岩船港が見えてきました。
穏やかな天気に恵まれた3日間となりましたが、期待していた離島ならではの渡り鳥と出会えなかったのは残念でした。しかし、鳥の顔ぶれが毎日変わるという、この時期の離島ならではの様子を体感してもらえた3日間になったかと思います。離島の渡り鳥たちが同じということがありませんので、次回はまた違う鳥たちと出会えることでしょう。また、渡り鳥に会いに粟島まで足を運んでもらえたらと思います。どうもありがとうございました。

田仲 謙介

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