【ツアー報告】ブッポウソウとチゴモズが棲む松之山の森 2016年6月2日~3日

(写真:ブッポウソウ 撮影:柳由紀子様)

ブナ林と棚田の風景がどこか懐かしさを感じさせる新潟県の里山を訪れる恒例の温泉泊の12日のバスツアー。このツアーには長い歴史があり、そもそもはブッポウソウを観察することに主眼を置いて企画されました。ただ、数年前の下見時にたまたまチゴモズに出会ったことから、この鳥との出会いにも期待した行程になりました。また以前からアカショウビン、サンコウチョウ、ミゾゴイ、イヌワシ、クマタカといった種との出会いもあったことから、今回訪れる探鳥地がいかに貴重な場所であるかがわかります。またこの場所は豪雪地帯としても知られ、この時期でもあちらこちらに残雪があるのですが今年は全くなく、聞くところでは昨冬は記録的な雪の少なさだったとか。ただ、例年は暑さを感じることが多いにもかかわらず、今回は寒さを感じるような時間帯が多かったことも印象的でした。

2日、ほぼ予定通り08:00に東京駅前を出発し新潟県を目指しました。片道おおよそ4時間ほどかかることから、今回は途中の休憩を2回とりお昼頃に現地に到着しました。まずは各自昼食をとっていただき、その後はブナ林で森林浴を楽しみました。昼食をとっている間にも周囲からはキビタキ、ホトトギス、ニュウナイスズメなどの声が聞かれ、林の中でも同様にキビタキ、ヒガラ、クロツグミのさえずりを聞くことができました。その後は過去、チゴモズが見られている場所に移動し待機してみることにしました。付近ではノジコ、ニュウナイスズメが歌い、林の中ではキビタキが軽やかに歌っていました。待っている間にはこのキビタキを望遠鏡で何度も観察しました。しばらくするとチゴモズが鳴きながら現れ、その後も数回その姿を見せてくれました。また当地では珍しいコサメビタキの姿もありました。その後は最近アカショウビンの声が頻繁に聞かれているという林道を歩きました。結局、その声を聞くことはできませんでしたがミソサザイがさえずり、林の中を移動するオオルリ、キビタキ、コサメビタキ、サメビタキが見られました。そして最後はいよいよブッポウソウを求めて移動しました。到着すると早くもブッポウソウの姿があり、最も光線の良い時間帯だったため緑、紺、そして赤い嘴など独特のグラデーションを見ることができました。また周囲ではサンコウチョウ、アカショウビンの声が聞かれたため、明日の観察に期待が持てました。

3日、05:00に出発して探鳥に向かいました。出発時には宿周辺でオオルリが歌い、キセキレイの姿もありましたが、とにかく寒さが厳しい朝でした。この時間は集中的にアカショウビンを狙いましたが思ったほど鳴いてはいなくしばらくは電柱に止まっているサシバを観察するなどして待機状態でした。その後、数回のアカショウビンのさえずりが聞こえましたが距離が遠くなかなかチャンスがなかったのですが、突然飛翔して別の林に移動したことから移動して見に行くと、樹間を移動しながら採食行動する姿をなんとか見ることができました。ただ木に止まった姿を望遠鏡でじっくり観察するには至らず残念でした。その後はやや時間オーバーになりつつもまだ訪れていない探鳥地を目指して移動し、ある場所では珍しくノジコとアオジが向かい合うようにしてさえずっていたため微妙なその違いを聞き分けてみました。そして水田があることからオオヨシキリの騒がしいさえずりが聞こえてきました。我々にとっては広大な河川敷のアシ原で歌っているイメージが強い鳥ですが、森の中でも水田があれば生息していることにはちょっと驚かされます。そんな中、愛想の良いアオゲラが我々についてくるように「ピョー、ピョー」と鳴きながら飛びまわっているのが印象的でした。その後はお昼ご飯の時間として、最後は再びチゴモズの姿を観察して終了しました。

思いのほか暑さが気になることが多い恒例のツアーですが、今年は心地よい風が吹き、過ごしやすい中での2日間でした。目的であったブッポウソウは美しい姿を見せてくれ、希少種のチゴモズの姿も観察でき、じっくりとはいかなかったもののアカショウビンにも出会うことができました。松之山は野鳥たちの姿もさることながら、美しい空、そして美しいブナ林も印象的でした。皆様お疲れさまでした。

石田光史

チゴモズ 撮影:柳由紀子様

チゴモズ 撮影:柳由紀子様

 

ブッポウソウ 撮影:柳由紀子様

ブッポウソウ 撮影:柳由紀子様

 

チゴモズ 撮影:柳由紀子様

チゴモズ 撮影:柳由紀子様

 

キビタキ 撮影:柳由紀子様

キビタキ 撮影:柳由紀子様

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