【ツアー報告】タカ渡る白樺峠と渡りの小鳥たち(追加設定) 2016年9月25日~26日
(写真:ハチクマ 撮影:五月女憲様)
タカの渡りが見られるのはこの時期限定ということもあり、今期は追加設定も催行されることになり3度目の白樺峠&乗鞍高原に出発できることになりました。ただ、今期はとにかく台風が多く、その関係からここまで渡りらしい光景が全く見られていません。今回も残念ながら期待が持てるような天気予報ではなかったですが、25日は曇り時々雨という予報だったためなんとかなるのではないかと期待しての出発でした。
25日、前回同様に新宿から特急で松本駅に向かい、そこで現地からご参加のお客様と合流して10:50に松本駅を専用バスにて出発しました。この日も天気予報は曖昧な感じでしたが、現地は早朝から青空が見え、すでにかなりの数のタカたちが渡っているようでした。途中に立ち寄った道の駅では、すっかり空は青くなり飛翔するタカ類やイワツバメなどを見ることができました。そこからまた45分ほど走り到着した白樺峠駐車場は、日曜日ということもありすでに車が溢れていました。バスから降りて空を見上げると早速サシバの群れが次々に流れていく様子が見られました。ただ、焦ることはありません。白樺峠のタカ渡りのピークは昼過ぎからでまとまった群れが観察できるのはこれからです。また光線のこれからが良くなるのです。タカ観察ポイントに到着するとかなりの人がいて場所探しもままならないほどでした。またちょうどサシバの群れが旋回して次々に我々の頭上を越えていくシーンを見ることができました。天気予報では午後からは曇りとなっていましたが視界は青空のエリアが多く観察には問題ない状況で、やや蒸し暑さも感じました。ここから14:30まではほぼ休むことなく次々にタカたちが出現して楽しませてくれました。ここまで来る間にバス車内である程度タカ識別の話しはしていましたが、トラベルイヤホンを通して次々に現れるタカの種類や位置、またその特徴や識別ポイントを次々に説明しました。以前は声の届く範囲内での観察をお願いしていましたが、このトラベルイヤホンがあることから観察場所はそれぞれにお任せし、私は大声を張り上げることなくお客様に確実に声を届けることができ、なおかつほかのバードウォッチャーさんの迷惑にもならないのです。そのためハチクマのオス、メス、幼鳥、サシバのオス、メス、幼鳥の識別ポイントや今、まさに上空を通過する個体の解説まで息つく間もない時間を過ごしました。14:30には一旦タカの渡りは小休止となりましたが、ミサゴ、ノスリが飛びました。ただ、この日はここまでのタカ渡りの不調からか渡りは観察終了予定の16:00を過ぎても続いたことから16:30まで時間を延長しました。最後も頭上を旋回するサシバとハチクマの姿を見ることができ、これぞ渡りという風景を楽しむことができました。終了後は一旦宿に入っていただき18:15から夕食。そして夕食後は1時間弱のお時間をいただき、写真パネルや図鑑、資料などを使いながらタカ識別講座を行い、今日の復習をしました。
26日、06:00から早朝探鳥を行うため外に出ました。予報では雨でしたがまだ雨は落ちていなかったため、やや明るい曇り空の下、早朝探鳥を行いました。宿付近で早速サメビタキの姿がありましたが視界が今一つでした。またミソサザイが鳴きながら飛び、川沿いではカワガラスの声もしていました。やや鳥の声が少ない朝でしたが、ある場所まで行くとヒガラ、コガラ、シジュウカラ、エナガの混群に出会うことができ、その中にコサメビタキ、キビタキ、メボソムシクイの姿がありました。またそこから少し行った場所では小鳥たちが集まっているハリギリを見つけることができました。まずはオオルリのオス成鳥と若いオスが2羽並んで止まっている姿が見られ、ほかにも付近では2羽のエゾビタキ、サメビタキ、キビタキのメス、コサメビタキなどが入り乱れるように見られ、イカルの声も聞こえました。一旦朝食のために宿に戻りましたが、この頃からは小雨が降り、霧がかかってきました。改めて天気予報を確認したところ10:00以降は雨とのことでしたので今回もまたまた急遽スケジュール変更をして畳平に向かうことにしました。激しい雨や深い霧を予想していましたが、この日の畳平は幸いにも雨は小雨程度で霧もそれほど深くはありませんでした。到着後は雨具の準備をしてから歩きだしました。途中では警戒心の薄いイワヒバリに出会い、いよいよライチョウ観察のポイントにたどり着きました。ゆっくりと歩きながら探しましたがなぜかこの日はその姿がありません。代わってノビタキやカヤクグリの姿はありましたが、とにかくどうにもその姿がなかったのです。小雨模様で霧もわずかに出ているためライチョウの出現率は高いはずです。ひとまず周辺を探してみましたがやはりその姿はありませんでした。ただやや距離のある岩場にライチョウがいるとのことで見てみると3羽のライチョウの姿があり、なんとか出会うことができました。また帰り道でも3羽のライチョウが採食する様子を間近に観察することができ、終わってみればライチョウ三昧の時間を過ごすことができました。また観察中にはホシガラスが現れて岩の上でポーズをとってくれました。ふと時計を見るとお昼を過ぎてしまっていたことからバスに戻ると、その途中でも間近にホシガラスの姿を見ることができました。バスに戻った後は各自昼食とし、その後は畳平を後にしましたが、その頃には再び雨足が強まっていました。宿に戻る途中ではビジターセンターに立ち寄ってタカ渡りのデータを見てみましたが、昨日の25日はサシバ3,986羽、ハチクマ648羽、総数は4,824羽ということで言うまでもなく今期一番のピークでした。
とにかく今秋は天気が悪く、今回も2日目はタカの渡りを観察することができませんでした。ただ、ようやくこれぞタカの渡りというシーンを見ることができたことは幸運でした。また渡り中の小鳥類もよく見られ、この時期の代表種のエゾビタキをはじめ、サメビタキ、コサメビタキ、オオルリ、キビタキ、そして2日目は急遽畳平を訪れ、ライチョウなども観察できました。タカの渡りは何度見ても感動的で、仮に毎年訪れても全く違った光景が見られます。ぜひ来秋も当地を訪れてタカの渡りを観察していただければと思います。この度は大変お疲れ様でした。
石田光史