【ツアー報告】カンムリウミスズメを求めて!早春の三宅島 2017年4月28日~30日

(写真:カンムリウミスズメ 撮影:須崎明男様)

三宅島のシンボルバードといえばアカコッコですが、ほかにもイイジマムシクイ、ウチヤマセンニュウ、カラスバトなど魅力的な野鳥たちが生息しています。ただ、この時期はそれらの野鳥を見るにはまだまだベストシーズンとは言えません。一方、近海にある大野原島に繁殖のため訪れる国の天然記念物、カンムリウミスズメを観察するには最も良い時期です。カンムリウミスズメは日本の近海にしか生息していないとされる海鳥で推定生息個体数は約5000羽。この貴重な海鳥がこの時期、大野原島周辺では高い確率で観察できます。ただ、観察には漁船を使い、また必ずしも海況が良いとは限らないため条件が重要になります。そのためツアーでは2日間に渡って漁船をチャーターできるよう準備しています。直前の予報では幸いにも天候は良く、海も穏やかになるとの予報でした。

28日、連休前の週末ということもあり集合場所の竹芝桟橋はとても賑やかな状況でした。集合時間の21:30には集合は完了し、資料の配布、翌日の連絡などをしてから22:10に乗船開始、東海汽船「橘丸」は予定通り22:30に三宅島に向けて出港しました。乗船時は長い長い列ができ驚かされました。

29日、思った以上に海が穏やかだったことからか、04:30には船内は通常照明に変わり、04:55に橘丸は三宅島伊ヶ谷港に着岸しました。外を見ると空はみるみる青くなり、何より心配だった海もかなり穏やかに見えました。バスにて一旦宿に向かい、朝食を食べながら船を出してくださる業者さんからの連絡を待っていると今日はコンディションがいいので大丈夫だとの連絡がありました。宿を07:00に出発して阿古漁港に向かい、担当の方から注意事項をいいただいた後に乗船し、ライフジャケットを装着して出港しました。波の予報は1.5mとのことで低めの予報でしたが何しろ漁船なので時には大きく船が揺れることもありました。30分ほど走ると目の前に大野原島が迫ってきてなかなかの迫力でした。この辺りからは速度を緩めてカンムリウミスズメの姿を探しながらの航行となりました。この日は風も弱くそれほど寒さを感じることはなく、逆に追い風になる時間帯は暑さを感じるほどでした。結局カンムリウミスズメは60羽ほどが見られ、時には間近にその声を聞くこともできました。カンムリウミスズメは漁船に対してはあまり警戒しないらしくゆっくりとした航行をすることによりかなり近い距離感で見られるのがうれしく、尾羽を上げる独特のポーズやウミスズメに似ていながらも首を立てるような姿勢になることがあり、それらのシーンをじっくりと観察することができました。また海上では少ないながらもオオミズナギドリがスイスイと飛びまわり、海が穏やかだったこともあってか群れで着水している様子も見られました。また後半には数十羽の群れで浮いているカンムリウミスズメの群れを見る幸運もあり、一列に並んで浮いている姿を観察することができました。海況が良かったことから少々時間オーバーして観察をさせていただき11:00過ぎに阿古漁港に戻り、その後は一旦宿に戻って昼食としました。昼食後はひとまずアカコッコ館に向かい情報収集をした後はせっかくなので水場で1時間ほど観察をさせていただきました。ここ数日はあまり鳥がやってきていないとのことでしたが、たまたま天気が回復して暑くなってきたからか、イイジマムシクイが数回水浴びにやってきてくれ、その後はオーストンヤマガラの姿もありました。またすぐ近くの草むらからひょっこりとアカコッコが現れて、しばらくの間地面をつついて採食してくれました。その後は大路池周辺を歩きましたがやはり鳥たちのさえずりの量は今ひとつといった感じでした。湖畔ではダイサギ、チュウサギ、コサギ、アオサギのサギ類4種が揃って採食しており、観察しているとここ数日見られているというアカガシラサギの美しい夏羽個体が現れてくれまました。また、ミサゴが魚を狙って飛び交い、森の中からは不気味なカラスバトの声がしていました。帰り間際にはどこからともなくゴイサギが現れて飛び、一旦見失っていたアカガシラサギが再び現れてしばらくの間飛翔してくれたため思いのほかじっくりと観察することができました。夕方は再びアカコッコ館周辺で探鳥を行い、最後はほとんど逃げる様子がないアカコッコが間近に地上採食している様子をじっくり観察して終了しました。ただ夜には突然風が強まり一時的に雷雨となって心配でした。

30日、早朝05:00、外に出ると昨夜の風はピタリと収まっていて天候も良くなっていました。この時間は宿の周辺からカラスバトの声が聞かれ、何回か飛翔する姿を見ることができました。また相変わらず宿の餌台にはオーストンヤマガラ、カワラヒワ、シジュウカラ、スズメの姿がありました。その後は早朝から開館しているアカコッコ館に向かい、この時間帯によくさえずっているタネコマドリを狙いました。ひとまず水場で待っていましたがなかなか姿を現さないことから外に出てみると、ちょうどさえずっている個体を見る機会があり、珍しく一箇所に留まってさえずってくれたため望遠鏡を使って観察することができました。一旦宿に戻って06:00から朝食をとった後はこの日も海況が良いことから前日に引き続き大野原島に向かうことになりました。前日同様に07:00に宿を出て阿古漁港に向かい、07:30に出航しました。この日は前日に比べても見た目の状況はさほど変わりませんが、この後風が強まってくるであろうとの予報でした。海上に出ると一時的ではあるものの波が高い箇所があり、船が大きく揺れる時間帯がありました。ただ大野原島付近ではこの日もコンスタントにカンムリウミスズメの姿が見られ、時には間近にじっくりと観察することができ前日同様にその声を聞くこともありました。また最後にはかなり港から近い場所でも10羽程度の群れが見られ大きな波にもまれながら懸命に生きている海鳥の生命力の強さを感じることもできました。下船後は宿にて昼食をとり、その後は三宅島の東側にある三池港に向かいました。橘丸は13:20に着岸、乗船後は東京竹芝桟橋に向かいました。ただここからの数時間は海鳥観察が可能であることから5デッキに集合していただき海鳥観察を行ないました。伊豆諸島近海での海鳥観察はすでにベストシーズンを過ぎてしまっていますが、御蔵島で繁殖しているオオミズナギドリの群れが見られ、14:00、14:20にはやや距離があるもののアホウドリ亜成鳥が飛んでいました。また14:30には着水しているアホウドリ亜成鳥が間近に飛び立ち、優雅な飛翔を見せてくれたほか、直後には数百羽のオオミズナギドリの大群の乱舞を見る機会もありました。

さて、小鳥類がベストシーズンを迎える前の早春の三宅島を訪れ、国の天然記念物であるカンムリウミスズメを観察する春恒例のツアーでしたが、今回は幸運にも2日間に渡って漁船からの観察が叶いました。過去には両日共に海に出られないこともあり企画するにも勇気がいるのですが、今回は本当に幸運でした。カンムリウミスズメは両日で80~90個体を数え、過去に観察した記憶がないような大きな群れでの観察機会もありました。彼らは繁殖期を終えると足早に北上していくため観察にはタイミングも重要です。いずれにしても小さな海鳥が荒波にもまれながらも生きているというその現場を実際に見られたことは貴重な機会でした。現地、三宅島でお世話になったスタッフの皆様、ありがとうございました。またご参加いただきました皆様、お疲れ様でした。

石田光史

カンムリウミスズメ 撮影:須崎明男様

 

アカコッコ 撮影:須崎明男様

 

オーストンヤマガラ 撮影:須崎明男様

 

アカガシラサギ 撮影:須崎明男様

 

タネコマドリ 撮影:須崎明男様

 

イイジマムシクイ 撮影:須崎明男様

 

アホウドリ 撮影:須崎明男様

 

オオミズナギドリ 撮影:須崎明男様

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