【ツアー報告】ベストシーズンに行く三宅島 2017年5月12日~14日
(写真:タネコマドリ 撮影:早川弘美様)
魅力的な野鳥が複数生息する三宅島をベストシーズンに訪れる人気ツアー。野鳥たちの声が最も多く、新緑の状況もベスト、そして帰りの航路探鳥も5月中旬以降はほとんど海鳥がいなくなることからこの時期にツアー企画しています。三宅島のシンボルバードといえば国の天然記念物に指定されているアカコッコですが、ほかにもカラスバト、イイジマムシクイと一気に3種の天然記念物に出会える可能性も高く楽しみです。ただ今回は土曜日の天気予報が極めて芳しくなく心配でした。そのため出発前にあれこれ対応してからの出発となりました。
12日、集合場所の竹芝桟橋は週末ということもあって賑やかな状況で、特に神津島行きのフェリーが混んでいるようでした。集合予定の21:30には集合が完了したため資料配布、翌朝の連絡などしてから22:10に乗船開始、東海汽船「橘丸」は予定通り22:30に三宅島に向けて出港しました。この日は海は穏やかで大きな揺れを感じることはありませんでした。
13日、船は順調に航行したため予定よりもやや早い04:45に三宅島三池港に着岸しました。予報では雨はまだ降り出していないはずでしたが残念ながら小雨が落ちていました。本来であれば探鳥地に直行する予定でしたが、雨の中での観察機材の準備は難しいと判断し、一旦宿に向かうことにしました。到着後は観察機材、雨具など必要なものだけを持ってバスに乗車し、最初のポイントに向かいました。幸いなことに雨は降っておらず、空は明るい状況でした。到着すると狙い通りにウチヤマセンニュウの声が響き渡っていました。最悪の状況も予想されましたが幸いにも無風で雨も落ちていなかったことからウチヤマセンニュウは比較的高い場所に出てきてさえずってくれたため探しやすく、望遠鏡を使ってじっくりと観察することができました。また海上に目をやるとオオミズナギドリの群れが飛び、時よりアオウミガメが頭を出していました。また周囲ではカラスバトの姿も目立ち、複数の個体が木に止まっていたため望遠鏡を使ってしっかりと見ることができました。さらには雨が止んだことからツバメ類の乱舞が始まり、ツバメ、アマツバメに混じってコシアカツバメ、ショウドウツバメ、ヒメアマツバメも飛び、ふと見ると渡り途中と思われるコサメビタキの姿もありました。ウチヤマセンニュウの観察が意外なほど順調に進んだことから、付近の森に行ってみることにしました。薄暗い小道では早速アカコッコが地上で採食し、イイジマムシクイ、モスケミソサザイ、タネコマドリ、カラスバトの声が降り注いでいました。たまたますぐ近くでタネコマドリが鳴き出したことから見てみると珍しく見晴らしのよい場所でさえずっていたことから望遠鏡を使って観察することができました。見ることが難しい種だけにラッキーでした。また帰り際にも地上採食するアカコッコを見ることができました。ただこの後は雨が降り出すことが予想されたため、一旦アカコッコ館に向かい軒下から観察させていただくことにしました。1時間強の観察でしたがアカコッコが何度もやってきて楽しませてくれたほか、タネコマドリも見ることができました。ただ予想通りこの頃からは雨が激しく降り出してきたため宿に戻って11:30から昼食としました。その後は雨が続くことが予想されたためこのツアー恒例となっている島内一周を行うことにしました。13:00にバスに乗車し、三宅島を時計と逆回りに一周しました。ドライバーさんの案内で三宅高校、三宅空港、三七山、椎取神社、伊豆岬、めがね岩、阿古小学校などを見つつ噴火の歴史を見ることができるポイントではバスを降りて見学しました。島内一周が終わるころには雨はさらに激しさを増していたことから、その後は希望者の方と一緒に16:30まで探鳥してこの日の探鳥を終了しました。夜には雨と共に風も強くなってしまいやや心配でした。
14日、早朝05:00から探鳥に出かけました。心配された雨はもう上がっていて風も収まり、うっすらと晴れ間が出ていました。この日は早朝によく鳴いているタネコマドリを狙って出かけました。宿周辺では早朝にアカコッコの出現率が高く、この日も複数の個体が道端で餌を探していました。途中では2羽のカラスバトが飛んできて1羽が電線に止まりましたが残念ながらすぐに飛び去ってしまいました。薄暗い小道ではアカコッコが餌を探し、間近にタネコマドリが現れて地上採食していました。到着すると早速タネコマドリが鳴き出したことから待っているとまずは大木の横枝で歌い、その後は屋根の上を歩き回ったり立ち止まってさえずったりとしばらくの間、楽しませてくれました。その後は小道でイイジマムシクイの姿を見て一旦宿に戻りました。07:30から朝食をいただき、08:30に再度出発して大路池周辺を歩く班と撮影する班とに分かれて出発しました。小道ではやはりイイジマムシクイの姿を何度か見ることができ、池が一望できる場所からはダイサギ、チュウサギ、コサギ、ゴイサギが見られました。途中にある道端ではモスケミソサザイが賑やかに歌い、雨水がたまっている場所ではイイジマムシクイのほか、アカコッコ、オーストンヤマガラ、そしてアオジの姿も見ることができ、その後は11:30に合わせて宿に戻って昼食としました。昼食後は荷物を整理して錆が浜港に向かい東京に向かう橘丸に乗船しました。乗船後も東京湾に入る17:00まで海鳥観察を3時間ほど行い、おびただしい数のオオミズナギドリの大群やそれに混じる数羽のハシボソミズナギドリ、またクロアシアホウドリを15個体ほど、またコアホウドリを1度観察することができました。ただ、やはりこの航路の海鳥観察はすでにシーズンオフという感じでした。
今回は事前の天気予報が芳しくない中、ご参加いただきましてありがとうございました。土曜日の朝は幸いにも雨が降っておらず、その間にウチヤマセンニュウ、カラスバト、アカコッコ、タネコマドリなどが見られ幸運でした。また雨が降っている間に恒例の島内一周を行うことができたため時間をムダにせず助かりました。翌日は天候も回復してタネコマドリやイイジマムシクイ、オーストンヤマガラなどの姿が見られ終わってみれば時間を有効活用することができました。三宅島のベストシーズンは短いですが、魅力的な鳥たちを効率よく観察できる貴重な島です。ぜひまた訪れていただければと思います。ご参加いただきました皆様ありがとうございました。また軽快なおしゃべりで楽しませてくれたドライバーさん、毎回、家庭的な雰囲気で癒してくださる宿の皆様にも合わせて感謝申し上げます。
石田光史