【ツアー報告】関東有名探鳥地巡り 100種に会いたい! 2022年1月21日~23日

(写真:コミミズク)

そもそもは関西方面のお客様から、日帰りツアーに参加するために1日だけ東京に行くのはなかなか難しいとのご意見をいただき、それを機に始まったのがこの関東有名探鳥地巡り。東京発日帰りバスツアーで好評をいただいている関東圏を代表する探鳥地を8カ所ほどまとめ、できる限りその時期の旬の野鳥も見られるよう東京、群馬、栃木、茨城、千葉と3日間かけて関東を時計回りに探鳥しながら巡ります。ただ、単に探鳥するだけではおもしろくないだろうと思い、サブタイトルとして100種に会いたいとしました。過去には雪や大雨といった不運もありながら、なんとか100種観察を継続することができています。もちろん天候を含めた観察条件が重要なのですが、今回は3日間を通して雨予報は出ておらず、ひとまず条件面での不安はなく出発することができました。

21日、このツアーは遠方からご参加のお客様が多いだろうとのことから集合時間を09:00としています。関西方面の雪の影響で少々のトラブルはあったようですが、大きな問題なくご集合いただき、早朝から快晴の東京駅前を予定通り出発し、まずは東北自動車道を走り群馬県を目指しました。到着後は湖畔を歩きながら探鳥し、このツアー最初の出会いは意外にも真っ赤なベニマシコでした。周辺にはカワセミ、ダイサギ、アオサギの姿もあり、さらに進むと当地の代表種であるオオハクチョウ、コハクチョウが見られました。ただこの冬を象徴するかのようにカモ類の姿は少なく残念でしたが、干潟状になっている場所では橙色の足が特徴的なハジロコチドリをはじめ、シロチドリ、オジロトウネン、さらに周辺にはヒバリ、タヒバリの姿もあり、その後はもう一か所をめぐり、ここでは越冬中のマガンの群れに出会う幸運があり上々のスタートとなりました。その後は一旦、各自昼食の時間とし、昼食後は近隣にある湖沼に立ち寄りました。やや風が吹き出して寒さが厳しくなってくる中、ここでもオオハクチョウ、コハクチョウの姿があり、ミコアイサ、ホシハジロなどを観察してから渡良瀬遊水地に向かいました。ただまだ時間があったことから周辺の干拓地をめぐってみました。ここでは200羽ほどのミヤマガラスの群れに出会うことができ、その後は渡良瀬遊水地内を歩きました。アキニレにはアトリの群れとそれに混じるカワラヒワの姿があり、広場ではツグミ、モズ、シメ、そして飛び回るハイイロチュウヒのメスが見られ、湖畔を眺めると2羽のコウノトリをはじめ、チュウヒ、タゲリ、カワアイサ、そして地上で魚を食べるミサゴが見られました。そして最後は寒風吹き続く中ではありましたが、塒に帰ってくる猛禽類を土手から観察しました。するとキジバトを追いかけるハヤブサが飛び、その後はハイタカが通過、そして16:20には美しいハイイロチュウヒのオスが舞い、複数のチュウヒが風に乗って飛翔する姿を見てこの日の観察を終えました。風が強く寒い1日でしたが、この日は計51種を観察し、まずまずのスタートとなりました。

22日、この日も幸い早朝から快晴の中、公園に向かいました。到着すると早速、駐車場内からビンズイを見ることができ、周辺からはシジュウカラが地面で餌を探していました。園内に入ると2羽のカケスが現れ、凍った池ではオナガガモ、ヒドリガモ、ハシビロガモに混じるヨシガモが見られ、さらに進むとジョウビタキのメス、アカゲラが見られ、マガモの群れに混じる美しい2羽のミコアイサのオスをじっくりと観察することができました。ほかにも地上で餌を探すルリビタキ、シロハラが見られ、薄暗い針葉樹林ではシジュウカラ、ヤマガラに混じってキクイタダキの姿があり、枝先で盛んにホバリングしていました。また落ち葉が敷き詰められた場所にはトラツグミの姿があり、トイレ休憩に立ち寄った場所では間近にエナガの群れがやってきて楽しませてくれ、美しいブルーのルリビタキも間近に見ることができました。その後はシロハラ、ビンズイ、ジョウビタキなどを見ながら歩き11:00頃には次のポイントに向かって現地を出発しました。ここからは北関東道から常磐道に入り、途中にあるパーキングエリアにて昼食の時間としてからさらに進み、この日最後の探鳥地までやってきました。まずはヒシクイが毎年越冬している干拓に向かいました。バスを降りると真横にある電柱にチョウゲンボウが止まっていて1種観察種を増やすことができ、その後はかなり遠くの畑に降りている212羽のヒシクイの姿を見ることができました。その後はトイレ休憩を挟んで淡水のシギ類を探しました。この冬は越冬シギの数が少ない状況でしたが、この日はまずタシギ、オオハシシギ、ハマシギを見ることができ、別の場所ではセイタカシギ、イソシギ、最後はクサシギを観察中に突然、オオタカが飛んできて杭に止まったことからラッキーな出会いもありました。そしてこの日の夕方はコミミズクを狙って稲敷市内の荒れ地に向かいました。バスを降りるとどこからともなくコチョウゲンボウが飛んできて畔に止まったことから観察してみると、今年、なかなか見る機会がなかった美しいオス個体でした。そして最後は狙った通りにコミミズクが現れて杭に止まってくれました。しばらくするとどこかに去ってしまったことから浮島湿原に移動すると、木々に止まっている10羽ほどのチュウヒが見られたほか、間近を飛翔するハイイロチュウヒのメスも見ることができ、この日は計31種を加えてここまでの観察種は合計82種となりました。

23日、この日は快晴とはいきませんでしたが天気予報に雨マークはなく、ひとまずホテルを出発して港に向かいました。この冬は各地でカモ類が少なく、同様に漁港内は閑散としていました。ただ丹念に見てみると少ないながらも、ユリカモメ、ウミネコ、シロカモメの姿があり、カンムリカイツブリ、アカエリカイツブリが点々と浮いていました。またこの日は外洋に生息しているシロエリオオハムも見られました。その後は付近を歩いてみました。ここも鳥の数は少なかったものの、ウミアイサの群れがスイスイと泳ぎ、イソヒヨドリの姿もありました。また間近にハジロカイツブリが浮上し、さらに進むと堤防上にはオカヨシガモが群れ、ここでようやくキンクロハジロの姿もありました。その後は堤防上にズラリと並んだカモメ類を観察し、セグロカモメ、オオセグロカモメ、さらにはワシカモメ、小型のウミネコ、カモメを観察し、いつの間にか30羽ほどのハジロカイツブリの群れが泳いでいました。その後は別の港に移動しました。ここも同様にカモ類がかなり少ない印象でしたが、ここまで見ていないウミウ、ヒメウを見ることができたほか、最後はミツユビカモメに出会う幸運もあり、その後は各自昼食をとっていただいてからこのツアー最後の探鳥地である公園に向かいました。ただ途中にある池にアメリカヒドリがいたことから立ち寄ってみると幸いにもかなり近い位置に浮いていたことから見事に出会うことができ、やや雲が多くなってくる中、公園に到着しました。まずは干潟を眺めてみるとミユビシギ、シロチドリが間近を歩き回り、水たまりにはハマシギ、ミヤコドリ、ダイゼンの姿がありました。またこの日はかなりの数のユリカモメが群れていて観察していると、どこからともなくズグロカモメが飛んできてくれました。そして最後は堤防まで歩き、途中、オオジュリン、メジロ、そして最後はビロードキンクロのオスが見られ、この日は新たに21種を観察し3日間の観察種合計は103種となり、なんとか目標を達成することができました。

まずは3日間を通して天候悪化がなく幸いでした。この冬は全国的に冬の小鳥類とカモ類が極端に少ないようで、今回も常連のクロガモ、ホオジロガモ、シノリガモといったカモ類が見られませんでした。ただ、マガン、ヒシクイといった越冬中のガン類に出会えたほか、カモメ類がズグロカモメやミツユビカモメを含む8種見られ、オオタカ、ハイタカ、チュウヒ、ハイイロチュウヒ、ハヤブサ、チョウゲンボウ、コチョウゲンボウ、そしてコミミズクに出会うなど猛禽類が好調に出現してくれました。またビロードキンクロ、アメリカヒドリ、シロエリオオハム、ハジロコチドリ、オジロトウネンなど意外な種にも出会えました。コロナ対応で何かとご不便をおかけしましたが成果ある3日間で幸いでした。またの機会にご一緒できましたら幸いです。

石田光史

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