【ツアー報告】初夏の知床沖・根室沖クルーズと羅臼のシマフクロウ 2017年5月26日~28日

(写真:エトピリカ 撮影:坂東俊輝様)

一年を通して20℃を超えることがめったにない道東地方。まだまだ花盛りではない時期ですが、海の生き物を観察するには良い季節です。中でもこの時期に突如として知床沖に出現するハシボソミズナギドリの大群を観察すにはベストシーズンと言えるでしょう。早春の頃に繁殖地を離れたハシボソミズナギドリたちはぐんぐん北上し、その群れは時に巨大な群れとなって知床沖に出現します。またそれに合わせるように知床沖はシャチやナガスクジラが見られる確率が高くなり楽しみも増えるのです。また根室での落石クルーズでは繁殖羽に換羽したエトピリカが見られるようになるため、この2つの海域のクルーズをメインにしました。ただ初日は知床沖は海況が悪いとの連絡があり心配しながらの出発となりました。

 26日、羽田空港での集合は順調に完了したため資料配布、また連絡事項をお伝えして中標津空港に向かいました。今日の午後に予定していた知床沖でのクルーズに関しては空港着後に判断することになりました。飛行機は15分ほど遅れたものの無事中標津空港に到着。ひとまず船長に電話で連絡しましたが、やはり海況がかなり悪く欠航とのことで、結果として翌日に変更することにしました。そのためこの日は翌日に予定していた原生花園での探鳥を行うことにしました。東京は暑さすら感じる陽気でしたが、さすがに道東は肌寒く、半袖から一気にフリースやダウンジャットを着こまなくてはならないほどでした。バスの車窓からはエゾシカやキタキツネ、オジロワシなどが見られ、最初にバスを止めた場所では50羽ほどのヒドリガモ、オナガガモの中に混じるヨシガモの姿がありました。また海上に目を向けるとウミアイサの群れがディスプレイを繰り返し、周辺にはクロガモ、そしてアビの姿がありました。その後は原生花園に沿って歩き、さえずるノゴマやアオジ、ノビタキ、カッコウ、群れで飛翔するキョウジョシギなどを観察してから宿に向かいました。宿に到着後は防寒装備と観察機材をもってシマフクロウ観察に向かいました。到着後は夕食とし、その後観察に入りました。結局この日はシマフクロウはなかなか現れてはくれず、やってきたのは空が薄明るくなるころでした。ただ長らく待っただけに感動的な出会いとなり、一旦森に消えたものの再び現れて付近にある大木の横枝に止まっている姿を見ることができました。その頃には周囲はすっかり明るくなっていて自然光の中で観察する貴重な機会となりました。そして現地を離れる際にはオオルリ、センダイムシクイなどが歌っていました。

 27日、一旦宿に戻った後は少々の睡眠をとり港に向かいました。この日は風はなく、波が立っている様子もありませんでした。クルーズは予定通り08:50に出港してすでに発見されていたシャチのいる場所に向かう予定でしたが、残念ながらシャチたちが国後島側に去ってしまったとのことでミズナギドリ類の群れを見ながら進んで行きました。途中、イシイルカの群れが船体に沿うように泳ぎ、しばらくの間盛り上げてくれました。双眼鏡で国後島側を見ると水平線上に無数のミズナギドリ類が乱舞している様子が見え、船が進むにつれて着水しているミズナギドリ類が次々に舞い上がる様子が見られました。そしてその後はようやく2頭のシャチが登場してくれました。1頭は見事な背びれが特徴的なオスで、数回船のすぐ脇まできては潜水、浮上を繰り返してくれ間近にその迫力する姿を堪能することができました。また後半は船体をかすめるようにフルマカモメが飛び、着水しているアカエリヒレアシシギの群れ、さらにはミンククジラも見ることができました。終始曇り空でしたが知床の山々を眺めることができたクルーズでした。クルーズ後はやや早いながらも昼食としてその後は再び探鳥に向かいました。ただ見る見るうちに霧が濃くなってしまったことから早々に移動しました。この辺りから小雨が降り出してしまいましたが、まずは途中にある漁港に立ち寄って、車内からオオセグロカモメ、ウミネコに混じるユリカモメ、川ではハシビロガモ、カワアイサ、ホオジロガモを見て、その後、湿地帯で餌を探すタンチョウのつがいを間近に見ることができました。そしてやや時間があったことから別のポイントにも立ち寄り、再度タンチョウが見られましたが雨が激しくなってきたためホテルに向かいました。

 28日、早朝04:45からホテル近くの公園に向かいました。深夜まで激しく降っていた雨は上がりましたが、やや霧がかかっていました。雨あがりのためか芝生には複数のアオジが降りて採食し、一緒に真っ赤なベニマシコも地上採食していました。またどこからともなくコムクドリのつがいがやってきて美しい姿を間近に見せてくれました。しばらくするとノゴマが歌いはじめたため探してみると枯れ木の上で歌っていました。ルビー色の喉が美しく特に人気があるようでした。またヒガラ、ミソサザイ、ツツドリの声が響き、いつの間にかノビタキも芝生にやってきていました。さらに進むと数羽のベニマシコが種子を食べていて、ここでも真っ赤なオス個体を見ることができました。一旦朝食に戻った後は07:30に出発してこのツアーのもう一つのメインである根室落石クルーズに乗船するため落石港に向かいました。途中、霧が出ていましたが次第に霧はなくなり晴れ間がでてきていました。出港を待っている間にもノゴマがさえずってくれたため、またまた人気のノゴマの姿を見ることができました。今回はお客様が11名を超えたことから2隻に分かれての運航となり、船は並んで静かな海へと進みました。出港後は周囲をヒメウ、ウミウが飛び、より高いところを飛ぶシロエリオオハムの姿が目立ちました。島に近づくにつれてウトウの個体数が増え、さらには数十羽のケイマフリが鳴き交わしている海域にやってくると、ようやく目的のエトピリカが登場してくれました。赤い嘴も特徴的ですが海上では顏の白い部分と金色の飾り羽が目立ちます。観察していると水浴びと伸びを繰り返してリラックスしているようでしばらくの間、観察することができました。またこの日は幸運なことにラッコの姿を見る機会にも恵まれ、約2時間半のクルーズは最後は青空が広がる中、ベタ凪という最高の状況の中で終えることができました。

 今回は出発日に予定していた知床沖でのクルーズが海況悪化により欠航となるアクシデントがありましたが、翌日に変更することによりクルーズに乗船することができ、目的だったハシボソミズナギドリの群れを見ることができたほか、フルマカモメ、アカエリヒレアシシギ、シャチ、ミンククジラ、イシイルカといった海の生き物を楽しむことができました。また時間がかかってしまったもののシマフクロウも現れてくれ、最終日の落石クルーズでは根室特有の霧が晴れる中、ベタ凪のクルーズを楽しむことができました。第一の目的だった繁殖羽のエトピリカのほか、ケイマフリの求愛行動も見られ、さらにはラッコも登場して盛り上げてくれました。一方、昼間の気温が10℃にも満たない状況だったこともあり原生花園は彩がなかったですが、ノゴマ、ノビタキ、カッコウ、公園ではベニマシコ、コムクドリといった小鳥類が楽しませてくれました。海の生き物観察は海況に影響されるため運不運があり難しい部分がありますが、今後もこの知床沖と根室沖のクルーズはさまざまな季節に企画して参ります。次回は季節を変えてまた別の海の生き物を見にお出かけください。この度はお疲れさまでした。

 石田光史

シマフクロウ 撮影:須崎明男様

 

エトピリカ 撮影:鈴木利幸様

 

シャチ 撮影:坂東俊輝様

 

アカエリヒレアシシギ 撮影:須崎明男様

 

シマフクロウ 撮影:鈴木利幸様

 

ハシボソミズナギドリ 撮影:坂東俊輝様

 

ハシブトウミガラス 撮影:須崎明男様

 

ラッコ 撮影:坂東俊輝様

 

アビ 撮影:須崎明男様

 

ケイマフリ 撮影:坂東俊輝様

 

コムクドリ 撮影:須崎明男様

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