【ツアー報告】カンムリウミスズメを求めて!早春の三宅島 2015年4月24日(金)~26日(日)
バードアイランドとして知られる三宅島はさまざまな野鳥たちが生息し、アカコッコをはじめ魅力的な種が多く生息しています。ただ、これらの森林性の野鳥たちを観察するのは、さえずりがさらに増える5月の方が良く、そのため梅雨入り前の5月中旬にツアーを企画しています。ではなぜこの時期にあえて三宅島に向かうのか?それは三宅島近海にある大野原島で繁殖するカンムリウミスズメが最も個体数を増やす時期だからです。春は海況が悪いことが多く、漁船を使っての観察はリスクを伴いますが、このチャンスを逃すことはできません。
24日、集合時間の21:00には皆様ご集合いただきましたので、三宅島に向かうために乗る「橘丸」の乗船案内、明日の予定、ツアー全体の流れなどについて説明を行い22:10に乗船開始となりました。この日は波が穏やかだったため条件は付かず、翌日の海況も良いとの予報でした。
25日、予定よりも10分ほど早い04:50に三宅島錆が浜港に着岸し、下船後はバスにて宿に向かい、到着後は各自で朝食を食べていただき、この日の漁船が出せるかどうかの連絡を待つことにしました。待っている間は本州のものとは全く姿が異なる、亜種オーストンヤマガラをたっぷり観察することができ、宿前の電線にはカラスバトが止まり驚かされました。06:30には漁船が出せる旨の連絡があり08:00出航で進めることになりました。漁船は阿古漁港から二隻に分かれて予定通り出航しましたが、見た目には穏やかに見えた海ですが、実際に海上に出るとベタ凪といえるほどではなく、やはり体を何かで支えるか座って観察することがベストという状況でした。結果的には3時間ほどの観察で複数のカンムリウミスズメ、アホウドリ、クロアシアホウドリ、オオミズナギドリ、そしてこの日は大野原島のかなり近くまで行ったことから迫力ある景観を楽しむことができました。11:30には宿に戻り、昼食を食べた後は徒歩にて探鳥に出かけました。天気が良かったことから汗ばむような陽気だったため水場に行ってみるとアカコッコ、イイジマムシクイ、メジロ、ヒヨドリなどがコンスタントにやってきていたため、残りたい方には残って観察を続けていただき、それ以外のお客様と大路池周辺を歩くことにしました。今年はカラスバトの声がよく聞かれ、ある場所では2羽で仲良く止まっている姿を見ることができました。またイイジマムシクイ、コマドリは勢いは今ひとつながらいたる所で声が聞かれ、湖畔ではゴイサギ、ササゴイ、コサギ、ダイサギ、アオサギといったサギ類が多く見られました。
26日は05:00から宿周辺を歩き、お馴染みのアカコッコ、イイジマムシクイ、僅かな時間ながらコマドリ、ミソサザイの姿も見ることができました。そしてこの日も海況が良かったことから08:00から漁船に乗ってカンムリウミスズメ観察に出かけることができました。この日は海水温が比較的高いエリアで探しましたが、前日以上のカンムリウミスズメを見ることができたほか、クロトウゾクカモメ、クロアシアホウドリ、コビレゴンドウの群れなども見ることができました。11:30には宿に戻って昼食を食べ、その後は東京へ向かうため錆が浜港から橘丸に乗船しました。乗船後は僅かな時間ながら海鳥観察ができることからデッキに出て観察を行ないました。この日はかなり穏やかだったため14:35には着水している3羽のクロアシアホウドリが見られ、14:40にはアホウドリ成鳥が着水から飛び立ち、しばらくその姿を楽しませてくれました。15:00には数千羽のオオミズナギドリの大群が見られ、15:30には2羽のトウゾクカモメ、16:00以降は立て続けに5個体のクロアシアホウドリを観察してツアーを終了しました。
毎回海況が心配なツアーですが、今年は幸運にも海況の良い状況で3日間を過ごすことができ、漁船からの探鳥を二度共行なうことができました。アカコッコ、イイジマムシクイ、コマドリ、ミソサザイなどの声はまだまだ少なくベストシーズンとは言えませんが、カンムリウミスズメに関してはベストシーズンでした。リスクはありますがその可愛らしい姿はぜひともご覧いただきたく思いますので今後もチャレンジを続けます。海況が良かったとはいえ、漁船からの観察はとてもお疲れだったと思います。お疲れ様でした。
石田 光史