【ツアー報告】渡良瀬遊水地と城沼・多々良沼 2017年12月19日

(写真:コクマルガラス(左)とミヤマガラス 撮影:添田修様)

12月下旬恒例の日帰りバスツアーは見所も多く、さらには観察種が比較的多いことから人気がある渡良瀬遊水地周辺を巡ります。このツアーでは探鳥ポイントが狭い範囲に集中していることから日帰りツアーにも関わらず1日に4ヵ所を巡ることができます。ただ渡良瀬遊水地は強い風が吹くことが多い探鳥地のため、特に夕方は寒さが厳しくなることが多く毎回心配しています。しかし今回は前日まで続いていた厳しい寒さが和らぎ、天気予報も概ね問題なく、しかも日中の気温も高めという絶好の探鳥日和となりました。

 19日、快晴の東京駅前を予定通りもやや早く出発して群馬県方面に向かい、移動中のバス車内ではこの日に観察できそうな種についての解説を行い、あらかじめ予習をしていただきました。バスは順調に進み2時間ほどで現地に到着したためまずは各自観察機材の準備をしていただき、その後探鳥を開始しました。この日は湖面に浮かぶカモ類の数が極端に少ない印象でしたがカンムリカイツブリが多く、遠くにミコアイサの姿もありました。ただ越冬中と思われるツルシギ、ハマシギ、コチドリの姿があり近い距離でじっくりと観察することができました。また遠くの木にはノスリの姿があり、次に訪れた場所ではオオハクチョウ、コハクチョウの群れが見られ、その中に亜種アメリカコハクチョウが見られました。観察していると幸いにもコハクチョウの群れが飛んできて青空を背景に美しい飛翔形を見せてくれました。次に訪れた湖沼ではミコアイサ、コガモ、ホシハジロ、オナガガモなどのカモ類のほか、カワセミの姿がありました。ここからは干拓地を走りながらミヤマガラスの群れを探しました。とにかく干拓地内は道が狭いため彼らを探すにはマイクロバスでなくてはなりません。しばらく走ると遠くの電線に群れるミヤマガラスの群れがいたことから近づいてみると数百羽のミヤマガラスが農耕地で採食していました。電線に止まっている個体もいたことから望遠鏡で見てみるとその中にコクマルガラスがかなりの数混じっていました。ほとんどが黒っぽい幼鳥でしたが、観察しているとその中に2羽の成鳥が混じっていました。そのため少しずつ近づいて観察しましたが意外なほど警戒せずじっくりと観察することができました。このツアーでは比較的よく見る光景ですが、これだけの個体数のコクマルガラスを見たのは初めてだったので少々驚きました。その後はやや遅い昼食をとっていただき公園内を歩くことにしました。ただたまたま間近のアキニレにベニマシコがやってきたことからしばらくの間、観察することにしました。観察していると複数の個体がやってきて懸命に採食していてかなりの時間を割いて観察することができました。その後は園内を歩きながら探鳥し、モズのオスとメス、シメ、ジョウビタキ、ツグミ、そしてカワラヒワの群れに混じる2羽のアトリ、池では同様にカモ類は少なかったですが、カンムリカイツブリ、ミコアイサ、さらには飛翔するチュウヒやカモ類を狙ってやってきたオオタカの姿も見ることができました。そして予定よりもやや早い15:30から猛禽類の塒入り観察に向かいました。この日はずっと風もなく穏やかでしたがこの時間になって少々風が吹いてきました。実は塒入り探鳥は無風時にはタカたちがあまり飛んでくれないことから実は風がある方が良いので良いタイミングでした。早速2羽のチュウヒが風に乗るように飛びはじめ、遠くのアシ原を見るとハイイロチュウヒのオスも飛んでいました。観察していると見る見るうちに寄ってきて反対側のアシ原上を飛んでくれました。1時間ほどの観察でしたがチュウヒは5個体ほどが引っ切りなしに飛んでくれ、ハイイロチュウヒのオスも2個体、さらにはハイタカ、コチョウゲンボウも姿を見せてくれました。

 12月恒例となっている日帰りバスツアー。今回はカモ類がやや少ない中でしたが越冬中のツルシギ、ハマシギといったシギ類が見られ、名物のミヤマガラス、コクマルガラスもよく見られました。またベニマシコ、アトリ、最後はハイイロチュウヒ、チュウヒが見られ、主役たちが出そろってくれた1日でした。強風が吹き荒れることが多い探鳥地ですが、この日はとても穏やかで幸いでした。皆様お疲れ様でした。

石田光史

チュウヒ 撮影:山岸俊文様

 

コハクチョウ 撮影:脇正太郎様

 

ハイイロチュウヒ 撮影:刈田宏様

 

チュウヒ 撮影:添田修様

 

ベニマシコ 撮影:山岸俊文様

 

ベニマシコ 撮影:脇正太郎様

 

ミヤマガラス 撮影:刈田宏様

 

ツルシギ 撮影:添田修様

 

ベニマシコ 撮影:脇正太郎様

 

コクマルガラス 撮影:刈田宏様

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