【ツアー報告】関東有名探鳥地巡り 100種に会いたい! 2018年1月26日~28日

(写真:タゲリ 撮影:三井健様)

毎冬恒例となっている関東有名探鳥地巡り。主に東京発日帰りバスツアーで人気のある探鳥地を厳選して3日間で巡ります。そもそもは東京発の日帰りバスツアーに参加したいが、たった1日のために遠方から参加するのは難しいというお客様の声にお応えする形でツアー企画しました。ただ、せっかくなので100種に出会うという目標を掲げてみました。過去、雪や大雨など難しい状況になったこともありましたが、ここまで100種に届かなかったことはありません。まずは3日間の天候が気になるところでしたが、今回は幸いにも雨マークはなく、順調に探鳥ができそうな予報でしたが、何しろ過去最強の寒波が襲来する中、かなり寒さが厳しい3日間になるとのことでした。

26日、新幹線の遅れがあったことから少々遅れはしたものの大きなトラブルなく東京駅前を出発することができまずは東北道を走って群馬県に向かいました。天候は見事な晴れでしたが、朝はかなり厳しい寒さでした。途中休憩を挟んでまずは沼での探鳥です。ここではまず越冬中のシギ類に期待しましたが、湖面が凍結していたことからその姿は全くなく期待外れとなってしまいました。ただミコアイサ、カンムリカイツブリ、そしてこのツアー最初のサプライズとなる50羽ほどのマガンの飛翔が見られました。当地には毎冬来ていますがこれだけのマガンの群れを観察したのは初でした。その後はコハクチョウ、オオハクチョウを予定通り観察。周辺ではせっせと餌を探すヒバリとホオジロ、そしてオナガガモの群れを狙っているのか、枯れ木に身を隠すように止まっているオオタカの姿がありました。その後はやや風が強くなる中、移動して、バン、ホシハジロ、コガモなどをリストに加えました。この後はこの日のメイン探鳥地に向かいましたが、途中にある干拓地を走ってミヤマガラスを探すことにしました。ただこの日はなかなか群れに出会うことができず、焦りながらしばらく走ることになりましたがようやくミヤマガラスの群れに出会うことができ、その中に混じる白黒のコクマルガラスの成鳥、すすけたような灰色の幼鳥を観察することができました。たまたま先週の雪が残っていたことから雪原に群れる姿を見るという珍しいシーンに出会うことができました。また電線に群れるスズメが飛び交っていたことから、それらに襲いかかるハイタカの姿もありました。その後は園内を散策しました。冷たい風が吹く中でしたがツグミ、シメ、モズ、そしてチュウヒがゆらゆらと飛び、カワラヒワの群れに混じる1羽のアトリの姿もありました。夕暮れが迫る中、この日の最後はコミミズクを狙ってポイントに移動しました。風が強かったせいか結局コミミズクに出会うことはできませんでしたが、駐車場付近ではベニマシコに出会い、ハイイロチュウヒのオスが見事な飛翔を見せてくれ、ふいに現れたコチョウゲンボウが小鳥を捕らえて地上で食べるシーンも見られました。この日の観察種は計49種とまずまずのスタートでしたが、とにかく骨が痛くなるような厳しい寒さと強風の中の1日でした。

27日、この日は朝食後に出発して市街の公園に向かいました。お天気は見事な快晴でしたがやはり寒い朝でした。到着後は園内を散策しながら冬の小鳥類を中心に探すことにしましたが、まだまだ残る雪には驚きました。まずは池で大量にいるマガモとカルガモの中からオカヨシガモ、そしてなぜかたった1羽しかいないヨシガモがリストに加わり、林に入るとシロハラ、シジュウカラ、そして賑やかなエナガの群れが出迎えてくれました。ただいつもよりは小鳥たちの動きが悪く感じました。その後は地上で餌を探すアトリ、アオジ、樹液を吸うメジロ、さらにはジョウビタキ、ルリビタキ、当地ではあまり見かけないマヒワの小群にも出会いました。その後はこの日最大のサプライズと思われたアリスイが登場。当地にはもう10年以上来ていますがアリスイに出会ったのは初めてでした。光の方向は悪かったですがじっと木に止まっていたためじっくりと観察することができました。その後も冬鳥の出は好調で、4羽の群れで種子を食べるミヤマホオジロ、ノコノコ歩き回るビンズイの小群、そしてようやく体を揺するような独特の動きをしながら地上採食するトラツグミにも出会うことができました。そして戻る途中では愛想の良いカワセミが間近にその姿を楽しませてくれ、最後は足元にいるたった1羽のトモエガモをお客様が見つけてくださり、あまりの近さに盛り上がりました。結局、予定よりも30分ほどオーバーしてしまいましたが、その後は途中でお昼の時間をとって茨城県に向かいました。最初はヒシクイの定期越冬地に向かいました。土手に上がるとヒシクイの群れがいたため安堵しましたが、いきなり群れが飛び立って見事な編隊飛行を見せてくれました。強風にあおられていたため方向が定まらないような雰囲気も見られましたが、結局霞ヶ浦方向に飛んで行きました。良いタイミングで良いシーンは見られましたが15分遅れていたら見られていなかったわけでかなり焦りました。周辺の水田では人気のタゲリが見られたほか、タヒバリ、コチドリ、ハシビロガモ、イソシギがリストに加わりました。その後は少々時間があったことから周辺のハス田をまわってみました。まずはせっせと餌を探す6羽のオオハシシギが見られ、その後は早足で歩きながら1羽で餌を探すヨーロッパトウネン、その後はこちらも1羽で餌を探すオジロトウネン、クサシギ、タシギ、そしていつの間にか付近を歩き回るクイナの姿があり、珍しくじっくりと観察することができました。またタシギを追い回すチョウゲンボウの姿に盛り上がりました。そしてこの日の最後は昨日見ることができなかったコミミズクに再挑戦しましたが、強風のせいかまたまたその姿を見ることはできませんでした。ただこの日もほぼ予定通りに観察することができ、新たに33種を加えて観察種の合計は82種となりました。

28日、前日夜の天気予報では曇りベースで午後からは小雨もと出ていたためやや心配していましたが、早朝から晴天で珍しく3日間共に同じような好天の朝となりました。朝食後はホテルから僅かに移動してまずは池に向かいました。もちろん寒いことは寒かったのですが、昨日までがあまりに寒かったことから、この日は暖かさすら感じました。ここでは主にカモ類を観察する予定でしたが、この池も凍結していて驚かされました。まずはここまで見ていないキンクロハジロを観察し、珍しく10羽のミコアイサが群れで浮いていました。ほかにもセグロカモメ、オオセグロカモメ、ウミネコ、カモメといったカモメ類が見られ、芝生広場にはアカハラの姿がありました。そしてヨシ原ではオオジュリンとセッカが観察されました。その後は関東の探鳥地の中でも最も有名であろう銚子漁港に向かいました。まずはハジロカイツブリ、ウミウ、アカエリカイツブリ、ウミアイサ、トイレ休憩中には幸いにもイソヒヨドリが見られ、漁港ではカモメ類が大乱舞し、圧倒されるような数が堤防にズラリと並んでいる中、ユリカモメ、ウミネコ、カモメ、セグロカモメ、オオセグロカモメの中からまずはシロカモメが見つかりました。望遠鏡で捉えて背の灰色の薄さや純白の初列風切を確認しました。すると幸いにも付近に佇むカナダカモメが見つかり、背の青みがかった灰色、濃い赤色の足、初列風切裏の灰色を確認しました。その後は堤防上でヒメウ、そしてようやくワシカモメも見られ、飛んでいる状況ではありましたが我々のすぐ脇をミツユビカモメがヒラヒラと飛んで行きました。そして仕上げはここまで見られていないミミカイツブリを漁港でようやく発見してしばらく観察することができ、遠くの堤防上に佇むクロサギも見ることができました。また海上には2羽のクロガモのオス、そして珍しく3羽のクロサギが一緒に飛翔していました。その後は一旦昼食としてから途中休憩を挟んで約2時間ほど移動してこのツアー最後の探鳥地に向かいました。実はこの時点で総観察種数は102種となっていて後はどれだけ加えられるかという状況でした。移動中は雲が広がりやや天気の心配がありましたが、到着時は再び青空が広がってきていました。干潟に出るとハマシギの群れが干潟全体に広がるようにあちらこちらで採食行動していたほか、当地の代名詞である100羽単位のミヤコドリも健在でした。また良く見るとミユビシギ、ダイゼン、シロチドリの姿もあり、ふいに1羽のズグロカモメがヒラヒラと飛んできて我々の前に降り立ってくれました。やや時間に余裕があったことからその後は堤防まで歩き、海上を眺めてみることにしました。今年はどこに行ってもカモ類の個体数が少ない傾向にあり、当地も例年に比べてかなり少ない印象でした。まずはここまで見ることができなかったミサゴが遠くの杭の上でのんびりと羽繕いをしていて、海面には無数のスズガモが浮いていました。よく見ると間近にはオナガガモの姿もあり、かなり距離はあったもののスズガモの群れの中に混じるホオジロガモの姿がありました。しばらく堤防上から観察していると足元の砂浜にミユビシギとハマシギが交互にやってきては早足で歩きながら採食していて、ケンカするように追いかけっこをしているミユビシギの姿に歓声が上がりました。また最後にはオナガ、オオジュリン、ジョウビタキなどを見て観察を終了しました。この日は前日までの厳しい寒さはなく、穏やかな1日となり美しい夕陽を見ることもできました。この日は新たに27種を加え、最終的に3日間の観察種数は109種となりました。

さて毎冬恒例となっている関東有名探鳥地巡り。過去、雪や雨といった天候に悩まされた印象が強いのですが、今回は3日間を通して傘の出番がないという幸運がありました。ただ、過去最強寒波襲来の中だったため特に夕方は厳しい寒さでした。結果的には目標だった100種を大きく超える成果があり、過去最多の観察種数でツアーを終えることができました。皆様のご協力に心から感謝いたします。今回はなかなか関東圏で探鳥ができないお客様のために、関東の有名探鳥地をまとめてみました。たとえ100種に到達できなかったとしてもバラエティに富んだ探鳥地がたくさんあること、また東京湾内にあれだけのミヤコドリが群れる干潟があることなどを知っていただけたことは貴重な経験だったのではないでしょうか。ぜひまたの機会に関東の探鳥地にお出かけください。この度はお疲れ様でした。

石田光史

コクマルガラス 撮影:高木信様

 

アトリ 撮影:三井健様

 

カナダカモメ 撮影:高木信様

 

トモエガモ 撮影:三井健様

 

アリスイ 撮影:高木信様

 

アカエリカイツブリ 撮影:三井健様

 

オジロトウネン 撮影:高木信様

 

オオハシシギ 撮影:三井健様

 

トラツグミ 撮影:高木信様

 

マヒワ 撮影:三井健様

 

カワセミ 撮影:高木信様

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