【ツアー報告】フォトツアー 冬の道東巡り 2018年2月23日~26日

(写真:シマエナガ 撮影:岡山絵里様)

ここ数年、野鳥を撮影されるお客様が増えていることからツアーの細分化が進んでいます。その中でも毎冬に大好評を頂いている冬の道東も撮影に魅力的な種が多く、また比較的撮影しやすい種が多いことから通常のツアーと分けてこのフォトツアーを企画しています。このツアーは最大募集人員を10名様に絞り、荷物置き場に困らないようバス席をお一人様2席としています。冬の道東巡りではオオワシ、オジロワシ、タンチョウ、シマフクロウ、コオリガモ、ウミバトなどのウミスズメ類を軸にツアー企画していますが、このフォトツアーではこれらに人気のあるシマエナガ撮影も組み込み、まさに冬の道東の撮影ツアーの完成形と謳っています。今回は幸い天気予報も問題なく出発することができました。

23日、快晴の羽田空港を予定通り出発して現地に向かいました。現地到着後は各自観察機材の準備をしていただき、この日の宿泊地に向いました。ただ、少々時間があったことから途中にある漁港に立ち寄りました。ここでは堤防の上にいきなりオオワシの姿があり、背後に見える国後島の雪景色とあいまって美しい姿に見えました。また漁港内は半分ほどが氷に閉ざされていましたが、カワアイサ、ウミアイサ、ホオジロガモ、ヒメウ、ワシカモメが見られました。海ガモ類を撮影した後は宿泊地まで移動して一旦宿に入っていただき、観察機材の準備をしていただいてから食堂に移動していただき少々早い夕食をいただきました。ただこの日は周囲が暗くなった頃からシマフクロウの声が響き、驚いたことに早くもシマフクロウが姿を現しました。結局その後も複数回シマフクロウを撮影する機会があり、最終的には4度目の撮影機会を終了した時点で就寝することにしました。

24日、昨日の移動中にバス車内から流氷が帯状に見えてはいましたが、流氷は風の影響であっと言う間に動いてしまうことから心配でした。またこの日は朝にかけて低気圧の通過に伴い風が強いとの予報が出ておりより心配していました。ただ、04:30に外に出ると空には星が輝き思ったほど風はありませんでした。ひとまず05:00に宿を出発して港に向かい、到着後は早速乗船しました。沖は風が少々あるがとりあえず流氷がある場所まで行くとのことで出航後は30分ほど沖に向いました。到着時は少々風があり船体が揺れるシーンもありましたが、船が流氷内に入った頃からは船体は安定してさらには見事な日の出を見ながらオオワシ、オジロワシの撮影が叶うという幸運がありました。間近に見るワシたちの迫力はすさまじく時間を忘れて2時間半ほどの時間を過ごすことができました。一旦朝食のために宿に戻った後はリクエストのあったシノリガモを求めて港に立ち寄り、その後は別のポイントに向かいました。ここではユキホオジロの姿を探しましたが残念ながらその姿はなく、少々早めにこの日の宿泊地に向かいました。この日の宿泊地ですが、同時に撮影地でもあり到着後は一旦お部屋に入っていただきその後は宿の庭にてシマエナガの撮影をしました。毎冬何度もお世話になっていますが、この冬はシマエナガの出現状況が安定していないとのことで長期戦を予想していましたが、この日は午後の僅かな時間の中で複数回シマエナガがその姿を見せてくれたためひとまず撮影をすることができました。またほかにもハシブトガラ、シロハラゴジュウカラ、シジュウカラ、ヒガラ、コゲラ、アカゲラが頻繁に姿を見せてくれ、突然現れたオオモズに小鳥たちが蹴散らされる場面も見ることができました。

25日、この日は快晴もあって早朝の気温は-23℃。外に出ると見事な朝日が昇り、何もかもが美しく見えました。ただこれだけの寒さの中でも小鳥たちが元気で、ハシブトガラ、シロハラゴジュウカラ、シジュウカラ、ヒガラ、コゲラ、アカゲラは相変わらず引っ切り無しにその姿を見せてくれ、新たにミヤマカケスが何度もやってきては楽しませてくれました。また主役のシマエナガも比較的ゆっくりと撮影させてくれたことから早めに宿を後にしてタンチョウのポイントに向いました。ただ前日夜の話し合いの結果、この日はチシマウガラスの撮影にチャレンジしたいとの意見でまとまったことからタンチョウ撮影の時間は1時間ほどしかありませんでした。到着時には期待していたクロヅルの姿がなく残念に思っていましたが、どこからともなくクロヅルが飛来し、その後は短時間ながら飛び立っていくタンチョウ、また飛んでくるタンチョウ、またダンスをする姿などを撮影することができ、短時間ながらさまざまなシーンを撮影することができました。その後は途中にある道の駅を経由して撮影地にたどり着きました。しかしこの日はやってきているはずのヒメウの姿がなくヒヤリとさせられましたが、僅かにやってきていたヒメウの中に2羽のチシマウガラスの姿がありなんとか撮影することができました。また海上にはゴマフアザラシ、クロガモ、シノリガモの姿もありました。

26日、事前の天気予報や波予報には全く問題がなかったことからそれほど心配はしていませんでしたが、ほぼ予想通りのクルーズ日和の朝を迎えることができました。朝食を06:30からいただき07:30にホテルを出た後は落石漁港に向かい、準備後は08:30から2時間半ほどのクルーズを行ないました。この落石クルーズには長らく乗船していますが、この冬はウミバトの出現状況は良かったものの、なぜか小型ウミスズメ類の出現状況が悪くどうしたものかと思っていましたが、前週の嵐の後、流氷が押し寄せるのと共に小型ウミスズメ類の個体数が増えてきたとのことでした。出航後はまず漁港内でコオリガモ、クロガモ、ウミアイサといった海ガモ類の撮影を行ってから外洋に向いました。今回は一部でうねりはあったものの快適なクルーズを行なうことができ、主役のウミバトをはじめ、ウミガラス、ハシブトウミガラス、ケイマフリ、シロエリオオハム、そして期待していたコウミスズメ、エトロフウミスズメといった小型種とも複数回出会うことができ、特にエトロフウミスズメを間近に撮影するという貴重なシーンが2回、そして1度だけでしたが2羽のコウミスズメを間近に撮影する機会にも恵まれました。またなぜかこの海域でしか見ることができないウミバトに関しても比較的警戒心の薄い個体に出会うことができたことから間近に撮影する機会がありました。ツアーにクルーズを組み込むということには少々リスクが伴いますが、やはりこの海域でしか出会うことができない貴重な海鳥が生息していることを見逃すわけには行きません。今後もより冬の道東の野鳥たちを網羅するという点にこだわってこのツアーを継続企画して行く予定です。

さて今回のフォトツアー冬の道東巡りは概ね好天に恵まれ、また穏やかな4日間だったことから順調に運行することができました。厳冬期には出会うのに時間がかかると予想されていたシマフクロウにあっさり出会うことができたほか、流氷ともタイミングが合ったことから流氷と海ワシのコラボレーションも撮影できました。また短時間ながらタンチョウのさまざまなシーンを撮影するこができ、珍しいクロヅル、さらにはシマエナガ、エゾフクロウ、チシマウガラスの撮影も叶いました。そして我々が最も得意としている海鳥観察クルーズでは幸運にも穏やかな海況の中、主役のウミバトをはじめ、ケイマフリ、コウミスズメ、エトロフウミスズメ、ウミガラス、ハシブトウミガラス、コオリガモなども間近に撮影することができました。次回はまた季節を変えて北海道にお出かけください。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

オオワシ 撮影:小柳勝様

 

シマフクロウ 撮影:柴山勝様

 

エトロフウミスズメ 撮影:岡山絵里様

 

オジロワシ 撮影:柴山勝様

 

ミヤマカケス 撮影:岡山絵里様

 

コオリガモ 撮影:柴山勝様

 

羅臼岳とオオワシ 撮影:岡山絵里様

 

ウミバト 撮影:柴山勝様

 

クロヅル 撮影:柴山勝様

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