【ツアー報告】秋のシギチドリ巡り 東京湾と霞ケ浦B 2023年10月11日

(写真:アメリカウズラシギ 撮影:衣川直美様)

1日という限られた時間の中で海水域と淡水域の両方をめぐりながら、それぞれの環境に生息するシギチドリ類を集中的な観察する秋定番の日帰りバスツアー。淡水域での探鳥では道幅が狭い県道を走らなくてはならないため、車幅が狭い小型のマイクロバスを利用した少人数でコンパクトなツアーとし、アクセスを良くして歩く距離もできる限り軽減しています。また淡水域での探鳥ではさまざまなトラブル事例があることから、それらを回避するための探鳥ルールについて説明してから現地に向かうようにしています。秋のシギチドリ類の渡りは比較的長い期間見ることができる反面、ピークを当てることが難しいためツアーでは過去のデータを基にして種類数が安定している時期、また海水域に関しては潮位を見て日程を決めています。秋はなかなか天候が安定せず、晴れたり雨が降ったりと毎回毎回悩ましいのですが、この日は終日穏やかに晴れ、心地よい陽気になるとのことでした。

11日、この日も潮位の関係から集合時間は08:30。早朝の東京駅前はほぼ快晴で、天気予報通りこれといって天気に心配はないように思えました。ほぼ時間通りにご集合いただいたことから、まずは海水域での探鳥のため千葉県に向かいました。移動中のバス車内ではわずかな時間ながら、秋の地味な色合いのシギチドリ類識別のポイントを説明しながら進むとともに、この日に見られる可能性が高い種について解説しました。到着後は長靴に履き替えるなど準備をしていただいてからトイレに立ち寄り、それから干潟に向かいました。ひとまず干潟を見回してみるとこの日はシギチドリたちは干潟の左右に分かれていたため、まずは左手の干潟から見てみました。向かう途中では間近に複数のメダイチドリが見られ、1羽で歩き回るダイセンの姿も見られました。干潟ではハマシギとミユビシギが歩きまわり、たまたまトウネンの小群の中にハマシギが混じっていたことから比較しながら観察することができ、この日は1羽でしたがチュウシャクシギも見ることができました。その後は一旦、反対側の干潟に移動し、途中では杭に止まるミサゴ、また干潟に群れるウミネコ、セグロカモメ、さらにはユリカモメの姿もありました。こちらでも干潟にはハマシギやミユビシギ、さらにはシロチドリ、メダイチドリ、ミヤコドリの姿は数多くありましたが、新たな種には出会えず、最後はミユビシギに混じるトウネンを比較しながら観察して探鳥を終了しました。探鳥後は靴や三脚の泥を落としていただいてから再びバスに乗っていただき茨城県に向かいました。途中、サービスエリアで各自昼食をとっていただき、その後は車内で淡水域でのシギチドリ観察のルールについて説明しながら進み、最初のポイントでバスを下りて探鳥スタートとなりました。足元の水田では2羽のエリマキシギと1羽のコアオアシシギが歩き回り、畔に乗って休むかのように5羽のセイタカシギの姿がありました。ほかにも2羽のツルシギやクサシギ、ハマシギが見られ、観察しているとどこからともなくツルシギ、コアオアシシギ、エリマキシギが飛んできて新たに加わり賑やかな状況になりました。その後は水位が増してしまった場所は避けて次の場所に移動し、5羽で忙しく餌を探すコアオアシシギ、さらにはクサシギを観察してから前日と同じ場所に行ってみました。シギチドリ類の数はさらに減ってしまった印象でしたが1羽でたたずむトウネン、そしてオジロトウネンを間近に観察することができ、その後はトウネン、コチドリ、さらにはウズラシギの小群が歩きまわるハス田に行ってみました。前日に見られたハジロコチドリの姿はありませんでしたが、ウズラシギはわずかに増えた印象で、赤みの強い幼鳥に混じって成鳥個体も見られました。またトウネンとともに歩き回るヒバリシギも複数見られ、足の色の違いなどを見ることもできました。観察していると周辺をムナグロが飛び回っていたことから近くのハス田を見てみると、かなり数のタカブシギの姿がありました。探鳥後は戻りながら同じ場所を見てみると、先ほどを見ることができなかったアメリカウズラシギがたった羽ながら餌を探していて、最後に良い出会いがありました。またダイサギ、チュウサギの群れの乱舞に混じるように飛び回るアオアシシギ、コアオアシシギが最後に見られ、飛び回るショウドウツバメの群れを観察してこの日の探鳥を終了しました。

この日は心地よい秋晴れの中で終日探鳥ができ幸いでした。全体的にシギチドリ類はさらに少なくなってしまった印象で、前日に見られたハジロコチドリ、コオバシギ、オバシギには出会うことができませんでしたが、最後の最後にアメリカウズラシギに出会うことができました。また海水域ではチュウシャクシギ、ミヤコドリ、ダイゼン、ミユビシギ、ハマシギ、シロチドリ、メダイチドリ、淡水域ではセイタカシギ、タシギ、ツルシギ、アオアシシギ、コアオアシシギ、クサシギ、タカブシギ、トウネン、オジロトウネン、ヒバリシギ、ウズラシギ、エリマキシギ、ムナグロ、コチドリなど計22種のシギチドリ類に出会うことができました。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

ウズラシギ 撮影:pterosaur様

 

オジロトウネン 撮影:衣川直美様

 

ヒバリシギ 撮影:pterosaur様

 

エリマキシギ 撮影:衣川直美様

 

ツルシギとクサシギ 撮影:pterosaur様

 

ミユビシギ 撮影:衣川直美様

 

アメリカウズラシギ 撮影:pterosaur様

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